砂漠における人類の友:ナツメヤシ(デーツ)と駱駝

 ナツメヤシ(デーツ)にハマっている。

 このサイトに”サバイバル”と謳っているように、人間の極限状況にも興味がある。砂漠という極限の状況でも、ヒトは自然と共生して生存してきた。砂漠には当然水も少ないので、植物も育たない。しかし、そうした乾燥・高温でも生育できる植物もあり、砂漠の環境下で寄り添うようにヒトの食料となってきたものがある。

 ナツメヤシはまさにそうした砂漠において、ヒトの生存・繁栄に大きく影響を与えた栽培植物ではないかと思う。 高温・乾燥環境下でも成長し、果実を実らせる(一つの樹木で80kg)。また、その寿命も長い(200年に及ぶものもある)。まさに、人類がまだ自然環境に対して極めて従属的だった黎明期に、命を永らえる貴重な資源だったに違いない。

 砂漠の民ベドウィンは、ナツメヤシの果実(デーツ)と駱駝の乳(駱駝の餌もナツメヤシである)で、砂漠の旅を永く続けることができた(注)。ある意味、人類にとって”幸運な”植物であったといえるのでないかと思う。

 そんなデーツがドライフルーツでありながらも購入できたので、食べてみた。非常に甘い。日本の干し柿のかなり熟した状態に似た甘さで、これを煮詰めてジャムや砂糖を作ることができるというwikipediaの記述も納得。また果実から油も取れるらしく、無駄がない。まるで、人類の繁栄のためにちょうど良く与えてくれたかのような植物である。

 また糖分があるので、樹液を発酵させると酒もできる。いわゆる”ヤシ酒”と呼ばれるものである。

 ちなみに、食べ方の変化球で、無糖ヨーグルトに入れて1日おいて食べてみた。これも元々の果実の甘さが強いのでヨーグルトと適ってうまい(乳製品との相性が良い)。おすすめです。

注: D・P・コウル『遊牧の民 ベドウィン』(教養文庫)によれば、砂漠の遊牧民であるベドウィンの主要な食物は、ラクダの乳とナツメヤシだという。本多勝一『アラビア遊牧民』(講談社文庫)によれば、ラクダは砂漠の船と呼ばれている。

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