論文検索プラットフォームCiNiiのpdfトラブルについて


愛用の論文検索プラットフォームCiNii(国立情報学研究所)で問題が起こっているらしい。

検索機能は問題ないが、これまでリンクされていた電子化論文(pdf)が見れない(リンクがなくなった)ものが続出している模様である。

以下、Buzzfeedの記事(1)から引用する。

論文をPDF化するために1997年から始まった電子図書館事業 「NII-ELS」が、2017年3月末で終了したためだ。

「NII-ELS」の終了は、国が論文電子化を新たなプラットフォーム「J-STAGE」に一本化する方針を打ち出したことを受けたもの。運営元の国立情報学研究所によると、これまで「NII-ELS」で公開された論文は430万件にのぼるという。

PDFの提供停止はもともと決められたスケジュールに沿った措置だが、移行作業が終了していない学会などの多数の論文が入手できない状況になっている。

引用終わり

CiNiiのサイトでも、ひっそりとお知らせが出ていた。

電子図書館事業(NII-ELS)の終了に伴い、発行元学協会との協力の下で他の論文公開サービスへのコンテンツの移行を進めております。移行済みの論文はCiNii Articlesにおいて論文PDFファイルのダウンロード先のリンクが表示されますが、現在移行作業中の論文についてはダウンロードを行うことができません。最新の移行状況については以下の情報をご参照ください。

引用終わり

一本化は結構なことだが、なんか移行がうまくいかないまま、あとは我々の領域じゃないから知らんもんね、みたいな「お役所仕事」の感じが拭えない。

混乱を受けての記事(1)の国立情報学研究所のコメントも、なんか他人事で、当事者意識が感じられない。

改めて、学術研究においてCiNiiが果たしている役割の重要さを痛感しています

引用終わり

みんなから怒られて、「アタシって実はみんなから頼られていたの?」みたいな感じで初めて自分の役割に目覚めた感がある。ひょっとして、今まで報われない仕事してたのかなあと勘ぐりたくなる。

J-STAGEにプラットフォームを一本化すると言うが、検索性もJ-STAGEとCiNiiは微妙に操作性が違っていて、使い分けて行くのかと思っていた(CiNiiに移行されれば結果そうなりそうだけど)。

CiNiiは著者検索があって、例えばビタミンB1の発見者「鈴木梅太郎」と入れると、

こんな感じで1920年代の論文がざっと出る。右側には著者間の関連もつけてくれる。

  • 理研酒に就て (1927)
  • う゛いたみん説ノ發達ト榮養學説ノ變遷 (1926)

なんて論文があって(しかも縦書きもある)なかなか味わい深かった。

また日本物理学会講演概要集などもあり、いわゆるトンデモ系の予稿が検索できたりして、これもなかなか面白いものだった。

J-STAGEは一つの雑誌を年代ごとに追いかける(図書館の閉架棚で文献を探すイメージ)感じがあった。こちらは「応用物理」が1号から電子化されていて日本の科学技術の進歩を戦後から追いかけることができて味わい深い。

ただ気になるのは、最近J-STAGEが異様に重かったり、謎の緊急メンテナンスをしていたりして、この界隈、なんか不穏なムードを感じる。

全く根拠はないが、予算が大幅に削られたのだろうか?

ということで、早期の事態収拾を祈念いたします。

参考記事

面白い科学①

面白い科学②

追記:4月10日で続報が。

本年4月10日より、学協会との調整が必要な論文を除き、ダウンロード機能を含む従前通りのサービスを再開しました。

平成29年度(2017年度)以降にJ-STAGEへの移行作業が行われる予定の論文のうち、NII-ELSにおいて無料で公開されていた論文(181誌・約22万件)については、科学技術振興機構との協議の結果、経過措置として移行作業の完了時までCiNii Articlesからのダウンロード機能を提供します。なお、平成28年度(2016年度)中にJ-STAGEへ移行された論文(217誌・約89万件)については、CiNii Articles上でJ-STAGEへのリンクが表示されます。

また、発行終了あるいは発行元の解散等の理由により移行作業が行われない論文(309誌・約88万件)については、代替措置としてCiNii Articlesからのダウンロード機能を継続する予定でしたが、CiNii Articlesのシステム更新の遅れにより一時的に提供ができない状態となっていました。これらの論文についても、ダウンロード機能を再開しました。

とりあえず再開できた模様である。

 

 

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