電通大附属図書館の古本市で理系×古本にときめく


2018年1月25日(木)から27日(土)まで、調布市にある電気通信大学の附属図書館で蔵書の放出、古本市を開催する情報を入手した。平日は厳しいが、土曜日の27日に行ってみることに。

web情報によれば「除籍図書(各分野の参考図書・理工系専門書・一般図書等)、約9,700冊を販売します」「1冊100円」ということで非常に気になる。

エンジニアはおしなべて、あまり技術書、特に古い技術書を活用しない傾向にあるが、私は昔の技術書、ハンドブック、便覧を集めるのが好きなので、まさに絶好の機会なのである。

技術系の古本というものは、情報が時代遅れであると思いがちであるが、実はそうではない。

もちろん例えばコンピュータ関連などは技術のアップデートが激しいのは確かだが、科学革命のような教科書を書き換えるような大事件が頻繁に起こっている訳ではなく、既にある程度の部分が確立されており、基本情報の信頼性にはほとんど問題ないことが多いのだ。

そもそも量子力学への科学革命の後も、古典力学は一定の範囲で有効であり、むしろ機械系エンジニアにとっては現在でも古典力学の範囲で仕事をしているであろう。

更にエンジニア視点から考えてみると、現状のコンピュータシミュレーション前提で、装置のエンジニアリングの基礎である、化工計算や構造計算などについては、実は昔の本の方が記述が優れていることが多いのである。

つまり、一昔前のエンジニアは、現状のように計算資源にモノを言わせて厳密モデル、大規模モデルでゴリゴリ計算することができない代わりに、モデル化、単純化して簡易計算をする工夫が優れている。

これは実はエンジニアリングの基礎部分の実力形成にものすごい差を生み出すと思う。

現在であればFOAの考え方のように、設計にあたり物理現象を短時間に、第一次近似的に早期に捉える手法が実は求められているし、計算工学の落とし穴になっていると思う。

まあ、そんな個人的な思いもあり、科学技術系古本には魅力があるのである。

電通大は、調布駅から徒歩10分くらいの好立地にある。大学構内には特にチェックもなく入れる。場所を尋ねると、警備員さんが親切に地図で教えてくれた。

この世知辛い世の中に、まだ大学の自治があるようで、何かリラックスできる。

建物の一角に古本市が開催されている。

会場の風景。古本市のセオリーは主催者側が守っているらしく、最終日の3日目昼であるが、順次図書が並べられているようで、在庫はまだ充分あるようだ。

古本市の独特な、他人を出し抜いてお宝ゲットを狙う感じの雰囲気が参加者からビンビン感じる。私も久々のハンター気分で物色である。

さすが電通大、工学系の図書は洋書を中心に多めである。それ以外にも哲学、文学系の図書もあった。

1冊100円とはいえ、ハンドブック系はとにかく1冊が大きく、重いため非常に荷物がかさばる。5冊も買うとリュックが行商人並みの膨れ具合になり、肩にズッシリと重みがかかる。

今回の戦利品の一部である「無線工学ハンドブック」。公式集や回路図、更には巻末にレトロな広告まで沢山あって良い。

またハンドブック系は技術の上位概念や体系を理解するのに非常に有用なのである。

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