【発酵食品】新島のムロアジくさやをストーブで焼いてみた【臭い】

 前記事(沼津港へドライブ(後編):沼津港でムロアジくさやをゲットし、刺身定食をいただく)で記載したように沼津港で新島産ムロアジの「くさや」をゲットした。

 これを何時食べるか。匂い問題があり、通常の住宅街で焼くと近所に匂いが充満し、悪臭放出として近所迷惑、更にはあらぬ疑いを招く可能性もある。

 というのもくさやの悪臭の主成分は酪酸で、酪酸とは要するに「死臭」なので、意味合いとして、我が家のような近所付き合いを積極的にしない孤立家庭との相性が悪すぎる。

 だが、くさや自体の食べ物としての旨さは捨て難く、じっくり考えた末に「他人の家で焼く」という選択を決めた。厳密には他人ではなく、八王子の実家である。

 八王子の実家はそこそこの山奥であると同時に、50年以上住んでいる。地域としては古株、すなわち多少の異臭を出してもそこそこなんとかなる。ただ、老夫婦(要するに私の両親)が住んでいるので、先ほどの違う意味に捉えられると私に連絡が来てしまうが、ここはノリで何とか頑張るしかない。

  レシピに従い、解凍したくさやを弱火で背側から8分焼きする。既に不穏な臭いが立ち上る。

  そこそこ脂というかくさや液が垂れてくる。

  裏返し、腹側を2分焼き。この時点で不穏な空気が漂う。

  開封時に手についたくさや液の匂いが臭い。同時に焼く匂いがだんだんと空間に充満し始める。

  例えるなら、生ゴミというか、腐敗臭(身もふたもない)である。

 身をほぐす。ここでも臭い。ただし嗅覚がすでに麻痺しているので、良くわからない状態になっている。

   やはり何もつけずに食べるとうまい。脂の少ないムロアジに、くさやによる発酵の旨さが加わり単純な「旨味」を堪能できる。醤油はいまいちだが、大根おろしはなかなかマッチする。

 食べ終わると石鹸で手を入念に洗った。だが、帰宅する途中で、もはやくさやの影はどこにもないはずなのに、ふと鼻に漂う「あの」匂い、いや臭い。要するに服だの髪の毛だのにしつこく吸着しているのである。

 帰宅後服を洗濯して、風呂に入った。

 しかし、まだ気をぬくと、どこからともなく私に憑依した「くさや」の臭いが、その存在をアピールしてくるのである。

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