【書評】ラズウェル細木『酒のほそ道』42巻 エビちゃんと諏訪さんの結婚報告と知識ロンダリングの表現


 酒マンガ「酒のほそ道」の42巻を今更ながら購入。発売日は2018年1月1日初版であり、先日amazonを見たら43巻が6月に発売することを知ったので、43巻の注文と合わせ42巻も注文した。

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 上記記事にあったようにメインストーリー(酒ネタ)とは全く関係ない脇役のラブストーリーの行方はどうなったのであろうか。

 

 たかが同僚の結婚なのに、大ゴマ+逆光表現を使った深刻な表情の課長のアップでの結婚発表である。

 そして目を見開いて驚く主人公以下。

 我々の日常では、同僚の結婚の報に、こんな深刻なリアクションはしない気がする。しかも、ここで一旦終了し、次号に続くである。そんなに引きになるネタか、これ?

 ただ単行本ではめくった次のページに収録されている続きでは特に驚きの内容があるわけではなく、別に普通の会話になっていて、この”引き”は一体何だったのか微妙である。

 話は変わって、今回42巻に収録されている「桜づくし」で”さくら納豆”(馬肉と納豆を混ぜたもの)の話が出てくる。さくら納豆を知らなかった飲み仲間にウンチクを語る主人公岩間であるが、

 ↑42巻 p.57より

 この主人公岩間の知識は、以前の「組み合わせ」で初めて知った知識で、それまで知らなかったのである。

 

 ↑「組み合わせ」より

 この辺りが成長というより、オッサンが良くやる”自分も無知だったのに、一度知った知識を、前から知っていたかのように他人に開陳する”という、いわば知識ロンダリングの典型例に見えて、サラリーマンの類型としてリアリティのある表現といえよう。

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