【書評】ラズウェル細木『酒のほそ道』43巻 男女関係の伏線展開とストーリーラインの複雑化に戸惑う

 「酒のほそ道」43巻が発売されたので早速購入。このところ酒ウンチクとは関係ない部分のストーリーラインに変化があったので注目していた。

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 とはいうものの、別にそれが目当てでもないし、酒がらみのネタを気軽に読もうとしているのが第一目的である。今回の43巻では、前2巻で急展開してきたエビちゃんと諏訪さんの結婚ネタはなく、若干の拍子抜け(結局、気になってる)であった。

 その代わり変な伏線があったので、そこに触れておきたい。

   主人公岩間を巡る恋愛ストーリーラインは、これまでおなじみの「かすみちゃん」と「麗ちゃん」の2人なのだが、そこに別の要素がぶっ込まれているのである。

  実は42巻でもその兆候はあった。エビちゃんと諏訪さんの結婚を課長が皆に報告する場である。

   「かすみちゃん」もいる場で、何故か課長から発せられる「松島さん」推し。

   その時は、特に意味のない会話と思いきや、今回43巻でその伏線が繋がりはじめてきた。

 課長と岩間と「松島さん」がカキフライを会食。この風景は珍しくない。カキフライの中に異なる2つの種類の牡蠣を入れる事により味が深まる、というネタをマクラに課長がこんなことを言うのである。

 現段階の認識では結構セクハラチックな発言ではある。「松島さん」は、聞きかじり知識の主人公岩間と異なり、大学で日本酒研究会に所属し、かつ、江戸文化を専攻したホンモノの知識を持つキャラで、かつ、お嬢様である。

   ちなみに初登場時の「松島さん」である。門限があるが、初手から升塩で日本酒を飲む女傑であり、不思議系お嬢様であった。

   酒の席でこんな発言されたら、普通でもパワハラ&セクハラで怒り心頭、席を立ってしまうのかと思いきや。

 最後のコマの「松島さん」。おい、何か満更でもない表情で終わらせているのである。

 おい、ちょっと!

   これって伏線がつながりはじめたぽいよね。作者は何を考えているのか。こんなところでストーリーラインを複雑にしなくていいんだけどなあ。

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