きだみのるが20年過ごした、八王子市恩方「医王寺」の現在

 先日所用があって、八王子市恩方にある「医王寺」に行ってきた。圏央道の八王子西インターの近くにある小さなお寺である。

 この「医王寺」は曹洞宗の小さなお寺であるが、フランス文学者「きだみのる」(山田吉彦)が戦中・戦後のある期間(20年)居住したことで有名である。

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 きだがその離れに居住した当時は、廃寺に近く、建物もボロボロだったそうだが、現在は本堂含め建物も移転し、立派な寺になっている。新しい住職も隣接する住まいで常住しており、もはやかつてのような廃寺、空き寺ではない。

 マップを見てわかるように圏央道建設に伴う再開発があり、それに伴って最近になって寺を移転、再建したとのことである。とはいえ、隣接する檀家のお墓の数から檀家数を推定してみると、多く見積もって100世帯くらいで、これは運営していくにはやはり少ない。これだけでは経済的にはきついであろう(檀家からの収入で自立できるには300世帯くらい必要なはず)。

 きだみのるの著書でも檀家数は”68人”とあり、やはり当時からそのくらいの規模なのであろう。

 きだみのるは旧・医王寺の離れに住みつき、この集落の文化を観察し、映画の原作にもなった書籍を書いた。

 題名が何しろセンセーショナルで、「き◯がい」と「ぶ◯く」の二つが入っており(しかも連結している)、現在ではあまり表現しにくい表題である(ただ、その実際に意味するところには、差別的な意味はないのだが)。

 当時のきだを知っている地元の人に聞いて、きだが住んでいた離れがあった場所を教えてもらった。現在の本堂に至る参道手前の右側に、前の本堂と離れがあったらしい。現在は何もないスペースになっている。

 この辺りらしい。記念に本と一緒に撮影してみた。

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