【人口ピラミッド】「定年退職の挨拶」ラッシュが起こり始めているような気がする

 最近ふと感じたことであるが、以前よりも「定年(退職)の挨拶」メールが届く周期・数が多くなってきたようだ。

 特に今年に入ってから、結構怒涛のように来ている。体感的には今まではせいぜい月1程度のペースで受けていたものが、月3,4くらいのペースで来るようになってきたのである。そんな人間関係が急激に変化する訳ではないので全体的な傾向ではなかろうか。その証拠に、社内報や通達に出る「お疲れ様でした(定年を迎えた方々)」の欄も拡大する一方である。

 もちろん、私の身の回りだけのローカルな感覚であって偶然なのかもしれない。ただ2018年の日本の人口ピラミッドをみる限り、ちょうど2018年時点での60歳付近では、59-55歳<54-50歳<49-45歳(第二次ベビーブーム世代)という急激な増加が起こっており、この増加は感覚とは合っている。

 ただこの母集団全てがサラリーマンであるとは限らない訳で、本来は現在の日本のサラリーマン全体のピラミッドを見ないとはっきりしたことは言えないはずである。しかしちょっと調べて見たものの、そうしたデータを見つけることができなかった。

 そこで、ある程度の推定から考察してみたい。

 2018年に一般の会社でサラリーマンの定年を60歳とする。そうすると生まれは1958年生まれとなる。仮に大卒(浪人を考えないとして)の場合、入社年度は1981年、高卒の場合1977年となる。

 この1980年近辺には何があったのか。

 1978年 イラン革命

 1980年 イラン・イラク戦争、第二次オイルショック

 という象徴的な出来事があった。

 第一次オイルショックと同様、に石油価格の上昇により世界的に経済への影響を受けていた。ただし、その一方で”日本では比較的影響が少なかった”と内閣府の資料(「1970年代以降の日本経済 の動向と重要なトピックス」)では総括している。一部引用する。

日本では緊縮的な財政金融政策でインフレを克服し、また、ミクロ的 にも、省エネルギー型の産業構造への転換や、商品・サービスの省エネルギー 化にある程度成功していたことから、短期的な引き締めによって、比較的容易に 石油価格の再上昇の影響を吸収し、むしろ他の主要国に比べて良好なパフォー マンスと国際競争力の強化を実現した。

引用終わり

 こうした中で、ドル安・円高傾向が進み、日本の国際競争力が高まっていた時代と見ることができるとすると、生産高の増加に伴い、この時期の労働者の雇用は比較的良好、つまり大量雇用が進み、それはバブル崩壊の1990年代まで続いたと思われる。

 いわば2018年の人口ピラミッドにおける59-55歳<54-50歳<49-45歳(第二次ベビーブーム世代)という人口増加を、1980年代においてうまく労働力(雇用)として飲み込むことに成功したと言える。

 そうすると、それから38年経過した現時点は、これから起こる怒涛の退職ラッシュの序章に過ぎず、それはバブル入社世代(1991年入社くらいか)まで、さらに増加を迎えるのであろう。その中で、役職定年、新しい働き方、第二の人生、早期退職などなど、人間の生活の変化と移動を伴うイベントが起こり、嫌がおうにでも我々は巻き込まれて行くことが予想される。

 この変化は何か我々の意識も含めて変えるのであろうか。まだ良くわからないが、送る立場としては送別会・慰労会の費用が(相対的に)嵩む事だけは間違いないのである。

おまけ:日本の人口ピラミッドのイメージ。wikipedia「人口ピラミッド」より。

 製造業で企画の仕事をしていると、将来計画などは結局こういったマクロ的な指標に頼ることが多いが、日本のこれを見るといつも何とも言えない切なさを感じる。今、この形を変えたいと思っても、もはやいかなる政策によっても短期的に修正することは不可能なのである。これはある意味、過去の施策によって約束された未来のようなもので、0歳の出生数を変え続けない限り、この形は変わらない。

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