【書評】ラズウェル細木『酒のほそ道』44巻 松島さんと岩間の関係性と情報量制限

 先日発売のラズウェル細木『酒のほそ道』44巻を読んだ。

 この所のストーリーラインの複雑化で、どうなることかと思いながらも読み進む。

第11話「6月のとうもろこし」

 物語の時間も少しづつ流れ、エビちゃんと諏訪さんは結婚式を挙げ、諏訪さんは退職した模様である。諏訪さんはこんなキャラじゃなかったんだけどなあ。

 このコマから見ると媒酌人は課長夫妻。その様子は非常に満足げであり、何か達成感すら読み取れる(これも伏線であろうか)。

第12話「納豆の糸」

 そして本命?かすみちゃんとの関係に関する諏訪さんの感想。まあ、順当路線ではあるが、今更こんなことを言わせている時点で、この後に何かブチ込んでくる予感を覚えるのは、私の穿ち過ぎであろうか。

第15話「タコばかり(後編)」

 そして最近よく事件が起こる課長、松島さん、岩間の3人飲みの風景で、タコめしが食べたい、とする岩間に対してラストの引きでの松島さんの「タコめし炊ける」発言。これをこの話のラストにするのは、なんか若干不自然であるが、まあこのくらいなら良いか、と安心していたら・・・。

第24話「戻りガツオ」

 今度はカツオの話の際に、どうよ、この課長のド・ストレートなぶっ込み。媒酌人の成功体験を回収してきたのか、ものすごい直截的な発言。これも現代のコンプライアンス的には如何なものかとも思うが、相変わらず話を勧めてくる。

第24話「戻りガツオ」

 そして更に2人を置いて先に立つという、もはや手応えのある見合いの場を設定した仲人気取りである。これだって、嫌な相手と残されたとしたら、ある意味モラハラというか、なんらかのハラスメントに該当しそうである。

 しかし、それを受けた松島さんのメガネはいつも通り逆光で見えず、その表情は読めない。

 も、もどかしい(手ぬぐいを歯で引き裂きながら)。

 やはり、このストーリーラインを進めていく場合、松島さんの本心が相変わらず読めないのが気になる。このあたりの読者への情報制限は、さすがのベテランのテクニック(ちょっと不満)。

 最近はこの会社の人事部目線で見てしまう自分がいるのであった。

Share

立ち飲み屋探訪:関内駅「かのや商店」独特な雰囲気のマスターの魅力がたまらない

 関内駅から石川町方向、横浜文化体育館やボートピアのある方向へ向かうと、葬儀屋の隣に暗めの店が。

 そう、ここが「かのや商店」である。すでに常連がたむろしている中に入店。

 優しそうなマスターが「先輩、おかえりなさい!何呑みますか?」と聞いてくる。明らかに向こうの方が年上だが、ここはスルーしホッピーセットを注文すると、何故かニヤリ笑い。

 ホッピーセット到着。なるほどの焼酎の量。500円。前払い制である。

 ツマミはおすすめのハムカツ250円を注文。

    ちょっと散らかった感じのハムカツがやってきた。

 周りの常連をよく見ると、キンミヤの一升瓶をボトルキープして、ホッピーを飲んでいる。さすがだ。

 ボートピアが近いからか、店内のテレビはボートレースや地方競馬の中継で固定され、ボートピア終わりの老人が凝視している。

 ホッピーをなんとか飲みきった。冷蔵庫からセルフでハイボールと6Pチーズをもらい、お金を払う。このあたりからマスターの様子がおかしいことに気づく。

 なかなかオーダーを持ってきてくれなかったり、逆にお釣りを多めにくれて「サービスです(ニッコリ)」と言ってみたりするのである。どうやら昨晩朝の4時まで店を開けていたらしく、寝不足でヘロヘロになっている模様。ただ、それを差し引いても面白い。温厚で独特の間があるトーク。雰囲気としてはスリムクラブの真栄田のような感じ。

 前払い制なのにマスターがいつまでも勘定しないので適当に冷蔵庫から飲み食いしている老人たちに突然「お釣り渡しましたっけ?」とマスター。「マスター、まだ俺たち金払ってないよ!いくら?」と老人たち。「まあ適当でいいですよ。1,000円で」というアバウトさ。こちらもだんだん楽しくなる。

 常連たちがそうしているように、片付けも各自で実施する。

 誰かの家に遊びに来たような雰囲気。そして帰るときのマスターの一言「行ってらっしゃい!」

 非常に面白い雰囲気の店である。

 


Share