【ダイエット】体脂肪率計の測定値とカロリー計算による脂肪減少値との差異についての考察

1.序論

 10/1から開始したダイエットは、目標を上回るペースで推移している。3か月で5kg減量に対して、1か月で6.5kg減量という好結果である。ただ、これも元々のベースラインがでかいことから、あまり凄い訳ではない(世の中のライザップ各位よりも、初期体重がでかいのだ。要するにガリガリガリクソンみたいな感じと思っていただければ(泣))。

 それはそれとして、三五八漬けダイエットだ何だと色々やっている最大の目的は、精神的な飢餓感を紛らわすために他ならない。要するに、何か”作業”をしていないと、精神が”腹へった”で充満してしまい、身動き取れなくなるのである。

 そんな背景もあって、今回も体重、体脂肪率をタニタの体重計で測定し、毎日記録するだけでなく、食べた食事や運動も記録してカロリー計算もするようにしている。ここまでしなくてもとも思うが、やはり何か記録という”作業”をしたい、という気持ちからなのであろう。

2.問題の提示

 そんな感じで1か月記録してきて、そのデータを整理してみると、ちょっとした疑問が湧いている。それは、

 ①体重計と体脂肪率で測定した結果から推定される、体脂肪の減少カーブ

 ②カロリー計算から計算される、体脂肪の減少カーブ

 この①と②に差異があり、その差異が単純に説明できないのである。

 今回は、この①②のデータを基に、その差異を説明する仮説を考察してみたい(そんなことをしないと気が紛れないでのある)。

3.測定結果および計算結果

 図1に、タニタの体重計による体重および体脂肪率の測定データを示す。体重計は、年齢・身長を入力する機能がある。測定は、夕食後、風呂に入る前、服装は一定という条件である。最初の日をゼロとした変化を示す。

図1 体重と体脂肪率の推移(初日をゼロとした差異の変化)

 図2に、測定からの体脂肪減少量とカロリー計算による体脂肪減少量の比較を示す。今回は食事および運動を全て記録し、できる限り正確にカロリーを記録した。折れ線グラフを作成するための計算式は以下の(1)(2)である。

図2 測定からの体脂肪減少量とカロリー計算による体脂肪減少量の比較
棒グラフは運動による消費カロリーの推移

 測定からの体脂肪減少[kg]=(初期体重[kg]×初期体脂肪率[%])-(その日の体重[kg]×その日の体脂肪率[%])・・・式(1)

 カロリー計算による体脂肪減少[kg]=昨日までの体脂肪減少の累計[kg]- (その日の基礎代謝量[kcal]-その日の摂取熱量[kcal]+その日の消費熱量[kcal])÷(脂肪1kg燃焼するために必要な熱量)・・・式(2)

 ここで、基礎代謝量は一定で2,000kcal、脂肪1kg燃焼するために必要な熱量は0.007kg/kcal(7g/kcal)とした。

 図2の折れ線グラフを比較すると、カロリー計算による体脂肪減少率よりも、測定からの体脂肪減少の方が減少として大きいことがわかる。本来の肉体のメカニズムからすると、脂肪燃焼による体重変化という代謝の時定数があるはずであり、両者のグラフが上下(経過日数で見ると進行方向)逆になるべきである。つまり、カロリー計算の見積が先行し、実際の体脂肪変化が追従すべきであるが、この結果では逆転している。

 更に測定による体脂肪率が持つ日々のバラツキを平均化するために、線形近似した直線を図2の点線に示した。この点線は、カロリー計算による体脂肪減少率にほぼ一定(約700g)のオフセットがあるように見える。

 この理由について、以下の仮説について考察してみたい。

4.仮説の提示

 仮説(A):カロリー消費が少な目に見積もられている

 仮説(B):体脂肪計測が多めに見積もられている

5.仮説の検討

 仮説 (A)の検討:

 式1のパラメータである、「脂肪1kg燃焼するために必要な熱量」については、オフセットではなくグラフの傾きに効くはずであり、この数値の変化が原因である可能性は低い(複雑な時間変化をしている可能性は捨てきれないが)。基礎代謝量も同様に傾きに効くので、可能性としては少なく、それに加えて今回のケースでは、カロリー計算の基礎代謝量が平均よりも大きい値である必要がある。棒グラフに示した程度の運動はしているものの、この運動量が基礎代謝を上昇させるためには時定数が必要である。何よりサンプル(私のこと)の特性(日頃から運動習慣なし、ほぼオフィスワーク)からすると、基礎代謝が平均以上であることは、ありえないと思われる。

 以上より、仮説(A)は可能性としては低いと考える。

 仮説(B)の検討:

 体重計の体脂肪率の測定原理は、体内の電気抵抗(インピーダンス)測定である。体内組織のうち、脂肪は電気抵抗が高く(電気を通しにくい)、水分や筋肉組織は電気抵抗が低い(電気を通しやすい)。これによって全体の体脂肪率を測定する。

 また、今回の測定で、実際より多めに脂肪を見積もっているということは、より大きい電気抵抗のオフセット成分が測定系に混入していることに相当する。この測定系において、ランダム成分ではなく、オフセット成分として現れる可能性のあるものは、「足裏皮膚と体重計電極の間の界面接触抵抗」である。

 当然のことながら、年齢を入力している体重計において、加齢による皮膚の乾燥など、こうした想定できる要素は内部計算に考慮されていると思われる。しかしながら、想定できない固有の要因である、足の皮膚のグローバルな物理形状の平均からの逸脱(扁平足とか)、ミクロ的な物理形状の平均からの逸脱、乾燥状態の平均からの逸脱などの要素が存在した結果により、界面に高抵抗な成分が存在していると考える。

 また、上記のうち、乾燥状態が影響として大きく効いているかどうかについては、風呂上りなどの測定条件を変化させた際の影響を調べることでより原因が絞り込めると思うが、本論では言及に止める。

6.結論

 ①体重計と体脂肪率で測定した結果から推定される、体脂肪の減少カーブ

 ②カロリー計算から計算される、体脂肪の減少カーブ

 この差異として現れたオフセット成分の原因は、足裏皮膚と体重計電極の間の界面接触抵抗に起因するものと結論する(だからどうした)。

 

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