【書評】谷川ニコ「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」18巻–小宮山さんがサウナで合法トリップを覚えてガンギマリ顔


 谷川ニコ「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」18巻を読んだ。

 大学受験を控えた予備校の夏合宿がメイン。キャラ総登場である。本巻は、下の毛を銀に脱色とか、温泉風呂でセクハラとか、下ネタが多い。

 繰り返しになるが、主人公黒木さんが”ぼっち”から人気の中心に移行するのは、正直なところ危うい橋を渡っている気がする。読者にしても、確かに黒木さん自体のメンタルはひねくれた”ぼっち”のそれだが、それを受容する周囲や黒木さんへ向かってくる周囲の訴求性は現実とは明らかに乖離するからだ。

 そんな中で、異彩を放ち続けるのが小宮山さんで、独立独歩というか本当の意味で”ぼっち”、孤立しても挫けないメンタルにより変態性を追求する、ある意味このマンガのメインテーマを体現しているようだ。

 今回もその変態性の追求は更にレベルが上がり、誰から教わったか(調べたか)知らないが、サウナと水風呂の連続シーケンスによる”ととのう”=合法トリップ体験を敢行し、焦点が合っていない目でガンギマリの表情をお届けしてくれている。

 その後も自動マッサージ機でも同様にトリップし幽体離脱をかましている。独自に1人精神世界への扉を開こうとしているかのようで、小宮山さんの変態ゴーイングマイウェイ路線はエスカレートしている。黒木さんがリア充となったこのマンガ世界で、今や唯一ブレないその姿勢は頼もしく安心するのである。

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