【書評】谷川ニコ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』20巻–真の”ぼっち”であるキバ子がメインの、10周年で原点回帰した傑作巻!


 連載10年、20巻に到達した谷川ニコ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』20巻を読んだ。特装版付きの記念巻である。

 今回は最近の黒木リア充路線の停滞感を脱しており、非常に面白かった。

 それはやはり表紙にもなっている「キバ子」フォーカス路線だったからであろう。ある意味、読者からもヘイトを買うヒールキャラで、主人公の黒木さん(もこっち)より、真の意味で”ぼっち”なのである。

 さらに初期のもこっちを彷彿させる孤高のぼっちであり、ストロングメンタルの”二木さん”との交流もあり、これが本巻の中で、非常に質の良い青春ドラマになっているのである。

 そして脇を固める形となってしまった、もこっちの所々出てくる下ネタも良いし、もこっちストーカーの”ウッチー”がいつの間にか少しだけ成長しているエピソードもある。各キャラもそれぞれ個性を出して登場しており、オールスター風である(特装版では”きーちゃん”も出てくる)。

 10周年で改めて原点回帰したような”ぼっち”路線であり、非常に面白く読めた。最近の「わたモテ」の中でも白眉となる巻であろう。

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