【レシピ紹介中】低糖質食材+三五八潰けという「三五八潰けダイエット」とは「あり」であろうか(結論なし)

 10/1からダイエットをしている。

 私は、食べること、飲むことは大好きで、人生の愉しみである。

 しかしその結果として、肥満、成人病リスクなどが発生し、 こうした状況に追い込まれることは仕方がない、と自分で納得はしている。そういう意味ではこれまでの食生活に後悔はしていない(偉そう)。また痩せたらガッツリいけば良いだけのことである。

 今回のダイエットの基本方針は、 栄養士さんと相談した結果、糖質制限としているので、御飯、パン、パスタ、ラーメン、うどん、蕎麦などはNGである。とはいえ、摂取ゼロにはできないので少量でチンマリと 食べることになる。

 何とも味気ないのである。

 これまでは、唐揚げと山盛り御飯とか、ラーチャー(ラーメン+チャーハン)とか、うどん+ヒレカツ丼 とか、”炭水化物のマルチプル”があたり前だったので、この喪失感はきつい。こうしてタイプしているだけでも誕が出てきている。

 結局「何か」で代替することを考えてしまう。

 生野菜ばかり食べていてもやはり味気ないのだ。

 炭水化物、特にコメのもつ旨味を補償する方法はないであろうか。

 そこで着目したのが、米、米麹で漬ける漬物「三五八漬け」である。

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 クリームチーズとプロセスチーズの三五八漬けにトライ(追記:モッツアレラにもトライ→美味い)

 ここで、三五八潰けはダイエット食として「あり」なのか、「なし」なのかを考えてみたい。(ただし、この先読んでも結論は出ていないことを事前に宣言しておきます)。

 生野菜など、それだけは味気ないものに、一味つける意味で有効なのではないか。その一方で、それは栄養的に(ダイエット的に)どうなのか気になる。

 三五八漬けの”床”は、米、米麹、塩なので、糖質たっぷりである。

 しかし、食べる際にはその”床”は除去する。これを直接食べるわけではない。したがって、三五八漬けの素に表示されている指標は、可食分を含んでいないわけで、 厳密に言えば正しくないのだ。

 漬物の味付けのメカニズムは概略、以下のようであろう。

・野菜の持つ純粋な水分が、周囲の漬け床の塩分により、その濃度差による浸透圧で抜ける。

・逆に漬け床と野菜の発酵によるアミノ酸などの旨味成分と塩分が、濃度差により野菜の中へ染み込む

 このように、野菜の水分と、漬け床由来の発酵成分の交換(濃度均等化)が行われると理解している。

 では、この漬け床由来の野菜へ移動する発酵成分の栄養素、熱量(カロリー)が、ダイエット見地で見たとき、どうなのであろうか。

 ビタミンなどの栄養素は、ダイエットにおいて不足する要素であり、むしろ「とるべき」 であろう。

 しかし、旨味成分の一部をなす”甘味”は、感覚的にはいわゆる糖類由来のように思える。

 とすると、実は糖質ダイエット的にとって、実は逆効果になっている可能性がある。

 しかし、それも糖質の量によるであろう。総量として、多いのか少ないのか。

 つまり、三五八潰けにおける糖質制限ダイエット食としての論点は「そもそも三五八床自体は糖質のかたまりだが、そこで漬けられて素材に移動した成分に、糖質がどれほど含まれるのか」ということになる。

 要するに、周囲にふんだんな糖質があって、そのエキスを物理的に移動しているだけだとすれば、三五八床を直接摂取していることと何も変わらないことを恐れているのである。

 一つの仮説としては「日本酒」の糖質からの推定である。日本酒も発酵により作られた成分が旨味となっている。日本酒の糖質は、「日本食品標準成分表」によれば100gあたり、約4gである。従って、三五八漬けのエキスの糖質も同等と仮定し、キュウリ1本がちょうど約100gなので、キュウリの大半を占める水分が全て交換されたとしても糖質は4g程度と思われる。サイズに対して低糖質と言えるのではないだろうか(あくまで仮説です)。

 かように、現時点では明快な回答を持っていない。

 塩分取りすぎについては、ダイエット中だとカロリーの基本ベースラインが低いので、リスクとしては比較的低めと考えて良いであろう(勝手に)。ただ、この糖質問題だけは、モヤモヤした形で残っている。

 とはいうものの、プログラムはスタートしている。結果にはコミットしなくてはならない。見切り発車で三五八漬けの生産設備を増強し、さえないダイエット食に変化を与えるべく製造を開始してみた。

 ”低糖質食材+三五八漬け”というコンセプトである。

 ただ、これもさきほどの懸念があって、食材の低糖質を台無しにしている可能性が否定できない。以下の実際の感想も、低糖質を否定しそうな食感もあり、非常に危うい立脚点なのである。

①ヤングコーンの三五八潰け

 ヤングコーンは低糖質食材で0.33g/1本であり、さっそく水煮を手に入れて作ってみた。もともとの水分が多く、1日程度で味はついたが、水臭さがあり、あまり食材として の相性は良くなかった。

②うずらの卵の三五八潰け

 うずらの卵は糖質ゼロらしい。塩分なしの水煮を投入したが、素材に水分少なめなので味が染み込むまで、3日程度かかった。味にはコクが出て非常に良いが、何かカロリー高めな味になっている気がする。確かにうまいのだが、本当に大丈夫かと思える味なのだ。これで低糖質+低カロリーならベスト解になりうるが、何か微妙な気がする。要するに”うますぎる”ので、何か足元をすくわれる要素がありそうなのである。

③アボカドの三五八潰け

 アボカドも1.8g/個と、低糖質らしい。これはもともと相性が良いので、非常にうまい。ただ実が柔らかいので、製造が難しいのが難点である。ダイソーの豆腐保存用タッパーを利用してみたが、皮むきの段階で崩れが起こってしまい、なかなか難航している。

 関連記事:
   アボカドの三五八漬けが、トロのような濃厚な味になって旨すぎる

④キュウリの三五八漬け

 低カロリーかつ低糖質(1.7g/100g)。これは腹持ちのために常に常備して、連続的に製造している。もともとの素材が低カロリーのため、沢山食べてもちょっとやそっとではインパクトがないと見ている(個人の解釈です)。ダイエット時の常備食で、1日1本くらいは食すようにしている(塩分が気になるが、そもそもの食事量も制限しているのでトー タルOKであろうと判断;個人の解釈です)。三五八漬けのコンディションによって、旨味や酸味(乳酸発酵)など日々の変化があり、なかなか飽きないのである。

⑤煮干しの三五八漬け

 ”食べる煮干し”も気を紛らわせるために結構食べているが、これを三五八漬けにしたらどうなるかとふと考え、実行してみた。これも、水分が戻って、複雑なコクのある味が追加され、かなりうまい。安定のうまさである。

⑥サラダチキンの三五八漬け

 ローソンで売っている低糖質(0.1g)のサラダチキン、プレーン味を漬け込んでみた。水分が少なめそうなので3日ほど漬け込んでみた。意外に水分が出てくる。味はと言うと、当然の旨さ。しかし水で洗うと、せっかくの締まった肉が水っぽくなるのが難点か。また煮干しでもそうだが、三五八床が動物性っぽくなるので、時々キュウリでリセットをする。

⑦大豆水煮の三五八漬け

 大豆水煮パックを用いて1週間漬け込んでみた。冷静に考えると、登場人物的には、ほぼ「味噌」であり、水洗いせず少々の床が付いている状態で食べてみる。”食べる味噌”のような風味で、これも非常にイケる。

⑧オクラの三五八漬け

 オクラはお湯で2分程度茹でて、ヘタをとった状態で、粗熱を取り漬け込む。

 旨いは旨いのだが、今一つパンチに欠ける。

 かように、生兵法のような気もするが、こんな感じで色々試すことで、味気ない食事から少しでも気を紛らわせている側面の方が大きいのかもしれない。とにかく、何かしていないとすぐに飢餓感に襲われるので、日常が大変である。

 結果であるが、もちろん三五八漬けだけの効果ではないものの、短期的にはダイエット成功。

 【目標;3ヶ月で-5kg】ダイエット第13週(12/24〜12/31)の結果報告;とりあえずの3ヶ月の結果は三五八漬けダイエットで-18.6kg減!

  注記:色々書いているが、ほとんど個人の解釈・感想なので、読者各位にはくれぐれも注意いただきたい。

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クリームチーズとプロセスチーズの三五八漬けにトライ(追記:モッツアレラにもトライ→美味い)

 最近続けている三五八漬けであるが、少し変わったものにトライということで、「チーズの三五八漬け」にトライすることにした。よく居酒屋にある「クリームチーズの味噌漬け」は結構珍味として食べる。これが家でできれば結構楽しそう、ということで早速トライしてみた。

 まずは、Kiriのクリームチーズと、キャンディタイプのプロセスチーズを、小型タッパーで漬け込んでみた。ただ様子を見る限り、進行は遅そう。なかなか味が染み込まない。もともと水分がないので、水分が出てくることもないので、これは漬け込み時間を稼ぐことで対応することとした。

 こんな感じで漬け込む(というか見えない)。

 クリームチーズは柔らかいため、三五八床のコメがめり込んでしまい、取り除くのが難儀する。結果、少し形が崩れてしまうのが、見た感じの難点である。

 こんな感じ。丁寧に扱ったが、全体の形は崩れていないが見た目がイマイチ。

 プロセスチーズとクリームチーズ(部分)。漬け時間1週間くらいつけてみたものである。食べた瞬間の香りは結構複雑になり、漬け込んだ感が出てくる。しかし内部までは完全浸透はしていない。もう少し時間が必要かもしれない。

 漬け込み時間1週間時点での試食の感想では、プロセスチーズは結構酒のツマミとして濃厚な味になるが、クリームチーズは三五八漬けにより、フルーティかつ僅かな甘みが増えている感じがして、酒のツマミというよりちょっとしたデザートに近づいていくのかもしれない。

 追記:モッツアレラにもトライしてみた。固めなので崩れずいい感じ。濃厚な味になり、お酒のツマミに非常に良い。

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アボカドの三五八漬けが、トロのような濃厚な味になって旨すぎる

 既報の通り(関連記事:最近の三五八漬けの成功要因について)継続できている、我が三五八漬けであるが、毎日仕込んでいたら、ネタがマンネリ化し始めた。

 主にはキュウリ、ダイコンがメイン。どちらも水分多いのでうまい。キュウリは安く、ツマミとしても良いので主力である。

 ニンジンは上記2種類と同じ時間で着けた場合、ちょっと浸かりがイマイチであった。水分が少ないからであろうか。時間をもっと掛けた方が良いのかもしれない。

 ナスは何かと手に入り安いのでこれも時々浸ける。ただ水分少なめなので、これも毎日漬けたいとは思わない食材である。変化球であろうか。

 カブはもともと甘めで、かつ食感がダイコンより柔かいのでこれはうまい。ただ若干高めなので毎日漬けるのはやりにくい。

 そこで、このマンネリを打破すべく、試してみて上手くいったのは「アボカド」である。

アボガドとカブの三五八漬け

 アボカド自体の持つ脂肪分と甘さが、三五八漬けの旨味と塩みにマッチし複雑な味になる。塩味のあとに、旨味とトロみがやってくる面白い時間差攻撃である。食感はクリームチーズであるが、味はトロのような旨味があり、ゴハンが進む一品になった。酒のアテにも十分である。

 味は満足であるが、唯一の懸念点は熟したアボカドを使ってしまったため身崩れを三五八床の中で発生させてしまった。その結果、三五八漬床にコンタミを発生させてしまった感じがある。一応塩追加で、殺菌を行い、一晩三五八床を寝かして確認したら、なんとか床に問題はなさそうである。焦った。アボカドの場合には、肉と同様に床とは別にジップロック方式が良いかもしれない。

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最近の三五八漬けの成功要因について、生産技術的観点から検討してみる

 この夏始めた三五八床はうまくいっており、もう1ヶ月くらい毎日お手製の三五八漬けを食べている。例年始めては見るが、放置したりして何度も腐らせていたのだが、今回は上手く継続している。

大根とキュウリの三五八漬け

 ちなみに三五八漬けとは、塩、米麹、蒸米を3:5:8の割合で入れることで漬け床を作るもので、山形県など東北で良く知られている発酵を利用した漬物である。

 関連記事:三五八漬け(さごはちづけ)に再チャレンジとその感想(追記あり)

 その要因について考えてみた。

①容器を小さめにし、透明で内部の様子(特に水)がわかるようにしたこと:

 使用しているのは100円ショップの円形タッパーで700mlくらいの容量である。これだとキュウリ2本入れたら満タンになってしまう。しかし、その方が小まめにチェックができる上に、補充もしやすい。要するに小ロットにし、見える化を進めたということである(職業病)。大きいサイズを漬けたいケースは実はあまりなく、そのような場合、例えば肉や魚を漬けたい場合には、小分けしてジップロックでやれば良いのである。

透明タッパーの容器。
水が出ているが、これを小まめに除去する

 更に透明であることで、染み出した水の処理に気を配れる。毎日チェックが習慣になる。蓋を開けずに確認できるので良い。また、水の存在は、塩分濃度に大きく影響する。これは味の問題と保存性の問題というトレードオフ問題を孕む(職業病)。つまり、三五八の旨味は麹によるアミノ酸の旨味であるが、塩分がこれと喧嘩してしまう。最初の段階はかなり辛い。しかし、塩辛いということは腐敗を防ぐという側面もあり、旨味を追求するには水分が、さりとて水分が多くなり塩分濃度が低くなると腐敗リスクがある。つまり、絶妙な管理が必要になるのである。これは結構理系ゴコロをくすぐる。

②冷蔵庫保管とし、反応の進行速度を遅くしたこと

 夏場は特に室温環境だと、温度が高いことによる反応の進行と、温度変化がある。これを抑えるために冷蔵庫に入れる。若干浸けるスピードは落ちるが、毎回晩御飯に出す分だけ補充するのであれば問題ないのである。プロセスの速度を自分の行動サイクルに同期、律速させたのである(職業病)。

食べた分だけ、キュウリを1本補充である。

 この2点ではなかろうか。深夜帰宅して、コンビニ弁当が置いてあったとしても、三五八漬けがあればちょっとした家庭の味になるのである(強がりではない)。

 ちなみに先日秋山温泉の前の農家直売店で売っていたジャンボキュウリを三五八漬けにしたら、更に美味かった。みずみずしさとキュウリの甘みがマッチして絶品であった。

 

 

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山形県鶴岡市へドライブ①:常磐道 谷田部東PA下りの”焼き納豆ねばーる丼”が、なかなかの問題作

 先日の休みでは二泊三日で、山形(鶴岡市)に行ってきた。手段はクルマで高速を使い、東京から片道約500kmを走破してきた。

 高速で怖いのは渋滞であるが、圏央道から山形県鶴岡方面に行く場合、

 ①鶴ヶ島JCTから関越道を北上して新潟、新潟から日本海側で鶴岡市へ

 ②久喜白岡JCTから東北道を北上して仙台、山形自動車道で鶴岡市へ

 ③つくばJCTから常磐道を北上していわき、いわきJCTから磐越自動車道で東北道へ

という主なルートがある。

 ①が私の出発点である多摩地方からは距離的には無難なのだが、渋滞が頻発し、①関越②東北道ルートの下りが真っ赤になってしまい、最も迂回する③を選択した。太平洋沿岸から日本海へ到達するという結構なルートである。

 とはいえ常磐道は休憩できるSAやPAが多く、車も比較的少ないので走りやすい。ただ、”茨城流”なのか車の流れがものすごく早いのにはまいった。昔つくば方面の長期出張の際に、レンタカーを借りて下道を走っていた際にも、周りの車のスピードが早く閉口した記憶がある。それが高速でも同様の感じで、一番左の走行車線を走っていても、平均的な流れが100km/hオーバーなのである。とほほ。

 まずは勘を取り戻すべく、谷田部東PAで昼食を。

 こんなポスターが。何やらご当地グルメがある。しかも納豆。「焼き納豆ねばーる丼」(650円)である。

 説明文には”茨城県水戸市が全国に誇る栄養満点の納豆は、焼くとさらに美味しくなります!”とある。期待が高まるが、焼くとどうなるんだろう。

 ちなみに、NEXCO東日本の”第3回どんぶり王座決定戦”に出場している模様(決勝進出にはならず)。

 これがねばーる丼。豚汁もついている。焼き納豆の上に、目玉焼き、岩のり、ネギが乗っている。納豆と相性が良い食材で固めている。ご飯も結構な量(茶碗2杯分くらいであろうか)である。

 焼き納豆のアップ。少し焦げ目が残っており、食感はサクサク、パリパリ。暖かい納豆は、匂いが遅れて漂ってくる。

 ただ焼き納豆自体にはあまり味がついておらず、これに醤油をかけて食することになる。その結果、納豆ご飯のように上記の具材を混ぜることになってしまう。そうすると、あまり焼き納豆自体は”混ぜられる”ことと相性がいまいちなのであることに気づいた。特にパリパリの焦げ目が。

 焼き納豆自体も、匂いが薄めであるが結構自己主張が強く、通常の納豆のソフト感との裏切りが大きく、混ぜたことによる違和感が強くなった。

 結果的には「納豆は焼かない方が美味いのではなかろうか」「麺つゆのような旨味系の味付けをした方が良いのではなかろうか」という思いを消し去ることができなかった。

 とはいえ「焼き納豆」という独立な料理が主役と考えれば成り立っているのも事実。しかし、通常の納豆ご飯が容易に比較対象として想起されてしまうことで、ちょっと惜しいのであった。

 ということで、食事を終えて常磐道を北上するのであった。

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【発酵食品】新島のムロアジくさやをストーブで焼いてみた【臭い】

 前記事(沼津港へドライブ(後編):沼津港でムロアジくさやをゲットし、刺身定食をいただく)で記載したように沼津港で新島産ムロアジの「くさや」をゲットした。

 これを何時食べるか。匂い問題があり、通常の住宅街で焼くと近所に匂いが充満し、悪臭放出として近所迷惑、更にはあらぬ疑いを招く可能性もある。

 というのもくさやの悪臭の主成分は酪酸で、酪酸とは要するに「死臭」なので、意味合いとして、我が家のような近所付き合いを積極的にしない孤立家庭との相性が悪すぎる。

 だが、くさや自体の食べ物としての旨さは捨て難く、じっくり考えた末に「他人の家で焼く」という選択を決めた。厳密には他人ではなく、八王子の実家である。

 八王子の実家はそこそこの山奥であると同時に、50年以上住んでいる。地域としては古株、すなわち多少の異臭を出してもそこそこなんとかなる。ただ、老夫婦(要するに私の両親)が住んでいるので、先ほどの違う意味に捉えられると私に連絡が来てしまうが、ここはノリで何とか頑張るしかない。

  レシピに従い、解凍したくさやを弱火で背側から8分焼きする。既に不穏な臭いが立ち上る。

  そこそこ脂というかくさや液が垂れてくる。

  裏返し、腹側を2分焼き。この時点で不穏な空気が漂う。

  開封時に手についたくさや液の匂いが臭い。同時に焼く匂いがだんだんと空間に充満し始める。

  例えるなら、生ゴミというか、腐敗臭(身もふたもない)である。

 身をほぐす。ここでも臭い。ただし嗅覚がすでに麻痺しているので、良くわからない状態になっている。

   やはり何もつけずに食べるとうまい。脂の少ないムロアジに、くさやによる発酵の旨さが加わり単純な「旨味」を堪能できる。醤油はいまいちだが、大根おろしはなかなかマッチする。

 食べ終わると石鹸で手を入念に洗った。だが、帰宅する途中で、もはやくさやの影はどこにもないはずなのに、ふと鼻に漂う「あの」匂い、いや臭い。要するに服だの髪の毛だのにしつこく吸着しているのである。

 帰宅後服を洗濯して、風呂に入った。

 しかし、まだ気をぬくと、どこからともなく私に憑依した「くさや」の臭いが、その存在をアピールしてくるのである。

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沼津港へドライブ(後編):沼津港でムロアジくさやをゲットし、刺身定食をいただく

前編から続く。

真鶴から熱海へ。渋滞を回避したつもりが、そこそこ各地で渋滞にハマる。

熱海から沼津へ向かうと、だんだん富士山が風景として存在感を持ってくる。

函南付近で撮った富士山。雲に隠れているのが残念。

沼津港へ到着。

到着は16:00くらいであり、ちょうど観光客がはけた感じで、空いている。その代わり店も休憩タイムに入っているところも結構ある。

干物でも土産に、ということで物色していると「くさや」が入荷したというポスターを見かけた。

新島のムロアジくさや1,000円を購入。ムロアジは以前八丈島に釣りにいった時に、サビキで鬼のように釣れた魚である。楽しみ。

食事もしようかと「漁師めし食堂」に入店。

刺身定食。ご飯、味噌汁、小皿は食べ放題である。観光地価格であったが、まあ満足。

あとはどのタイミングでくさやを食べるかである。ある意味バイオテロになる可能性あるので、方法論も考えなくてはいけない。

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三五八漬け(さごはちづけ)に再チャレンジとその感想(追記あり)

 そのままでは保存期間が限られる生野菜を長期保存する手段として、さらには、発酵などにより栄養物を強化させる手段としての漬物の製法には人類の知恵が詰まっていると思う。

 キャベツを千切りし塩を加え、大気中にいる乳酸菌で発酵を行うザワークラウトはその典型的な例で、乳酸菌により保存が効くようになると同時に人間が自分では作り出せないビタミンCを摂取することを可能にした。

 生野菜には貴重な栄養素があるが、保存の問題から地産地消になりやすい。人類の海上の長期移動ではビタミン不足により壊血病などの課題があった。人類の拡散におけるこうした栄養の課題を解決することが可能になったのである。

 日本でも鮒寿司のような熟鮓(なれ寿司)や、麹漬けなどの漬物が発達している。

 三五八漬け(さごはちづけ)は、塩麹の起源になったと言われているシンプルな漬物で、日本の米文化から生まれたものである。おそらく余った米飯の処理から考えられたものではないかと思われる。東北地方の郷土料理に良く供される。

 名前の通り、塩、米麹、蒸米を3:5:8の割合で入れることで漬け床を作る。野菜や魚、肉などを漬けることで味が染み込むと同時に保存性も上がる。塩麹との違いは、米を入れるか入れないかだけである。米がある分、水分を吸収しやすく野菜などに適しているらしい。

 また糠床と異なり攪拌する必要がほとんどないこともメリットであり、酒の肴とするために糠床に手を入れることを皆で嫌がることから始まる落語の「酢豆腐」のような匂い問題もない。

 かつて原始手法で自分で米を炊いたものから三五八床を作成した際には、うまくいかず(腐ってしまった)断念していたが、最近スーパーで「三五八漬けの素」があるのを見つけ、これなら、と購入してみた。まずはここからスタートしてみようかと思う。

追記:うまくいきました。キュウリやカブを漬けてみた。1日で結構漬かる。朝漬けて夜には水分が出てシワシワになっており、なかなかの性能。若干塩味がキツめではある。

追記2:鶏肉を半日漬けて(別の容器、ジップロックとかに分ける)、三五八と一緒にフライパンで鶏肉を焼くと、非常にうまい。三五八がいい感じのタレになっていると同時に、三五八の米が”おこげ”になっており、いい感じの衣になっているのである。。

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牛乳が苦手な大人たち:蘇=コンデンスミルク説

 前にも書いたが、牛乳が苦手である。思春期の頃は背が伸びると信じてガブ飲みしていたが、良くお腹を壊していた(背も大して伸びなかった)。

 最近になって乳糖分解酵素の欠乏(乳糖不耐症→wikipediaへのリンク)が原因であることが結構知られてきており、自分だけが特別なのかと思っていたがそうではないと知って安心した。

 中尾佐助『料理の起源』(NHKブックス)の「乳製品の加工」の章においても、遊牧民であり乳を多く利用するモンゴル人が、大人が牛乳を飲まず(子供には飲ませる)、もっぱら乳加工品として摂取している実態から、上記の症状に言及している。

 大人になるにつれ、人間は乳糖を分解できなくなる(そうでない人もいる)。牛乳の成分のうち、乳糖はその固形成分の1/3を占める。乳糖のような多糖類を吸収するためには単糖類に分解するための酵素が必要で、これは赤ちゃんの頃には持っているが、少年時代を過ぎると消失してしまうという。

 そうした人間の性質、さらに加えて保存の課題から、人間は新鮮乳に対して経験から様々な処理工程を試行錯誤の中から発見し、加工品としての乳製品にしてきた。

 こうした乳製品を加工系列として図示化したものを、中尾の著書では梅棹忠夫の研究成果として紹介している。

 西欧の乳製品加工系列は、以下のようになり、まさに現代で流通しているものと等しい。

1.牛乳をクリームとスキムミルクに分離する(例えば放置していても良い)

1.1 クリームはバターやクリームチーズの原料となる

1.2 スキムミルクはカッテージチーズやスキムミルクパウダーの原料になる

2.牛乳を酵素(レンネット)によって凝集させチーズの原料にする(発酵も関与)

 西欧以外のアジア、アフリカなどでの加工系列は更に異なっており、まだ完全に体系化できてはいないようだ。しかし、モンゴルやブータンなどの調査結果では、初めて聞くような乳製品があり、興味をそそられる。

 中尾の著書で、実際に食べた感想として、賞賛しているものをあげてみる。

・ブータンの「フィルー」-柔らかいチーズ状だが弾力性があって、引きちぎると餅のように伸びる。「味は酸味がなく、非常に上等な乳製品である」「上等なフランス料理で食後に食べる多種類のチーズの中にも、これに及ぶものはないだろう」(中尾.p.164)

・モンゴルの乳酒を更に蒸留した「ホルチ」 -「非常に強い酒で、コニャックのように強い香り」「・・・このモンゴルの乳酒の一つであるホルチだけは、文明国のホテルやバーへ持ち出しても、高い評価を受けること確実」(中尾,p,182)

 どちらも調べてもなかなか手に入りそうな感じではないが、一度は味わってみたい。

また、以前の記事で言及した中国、日本での乳製品(蘇,酥)についても言及がある(中尾.p,194-195)。

 蘇(酥)がどのようなものであったか、中尾自身も決定できていないが、可能性として

・モンゴルの「べとべとウルム」(生乳を静置させ脂肪分を煮詰めたもの)

・インドの「コヤ」(生乳を攪拌しながら煮立て水分量が30-40%くらいまで濃縮したもの。コンデンスミルク)

が類似例として挙げられ、中尾はウルムよりコヤに近かったのでは、と推定している。

これも蘇=コンデンスミルク説であり、wikipedia先生とは対立している。

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砂漠における人類の友:ナツメヤシ(デーツ)と駱駝

 ナツメヤシ(デーツ)にハマっている。

 このサイトに”サバイバル”と謳っているように、人間の極限状況にも興味がある。砂漠という極限の状況でも、ヒトは自然と共生して生存してきた。砂漠には当然水も少ないので、植物も育たない。しかし、そうした乾燥・高温でも生育できる植物もあり、砂漠の環境下で寄り添うようにヒトの食料となってきたものがある。

 ナツメヤシはまさにそうした砂漠において、ヒトの生存・繁栄に大きく影響を与えた栽培植物ではないかと思う。 高温・乾燥環境下でも成長し、果実を実らせる(一つの樹木で80kg)。また、その寿命も長い(200年に及ぶものもある)。まさに、人類がまだ自然環境に対して極めて従属的だった黎明期に、命を永らえる貴重な資源だったに違いない。

 砂漠の民ベドウィンは、ナツメヤシの果実(デーツ)と駱駝の乳(駱駝の餌もナツメヤシである)で、砂漠の旅を永く続けることができた(注)。ある意味、人類にとって”幸運な”植物であったといえるのでないかと思う。

 そんなデーツがドライフルーツでありながらも購入できたので、食べてみた。非常に甘い。日本の干し柿のかなり熟した状態に似た甘さで、これを煮詰めてジャムや砂糖を作ることができるというwikipediaの記述も納得。また果実から油も取れるらしく、無駄がない。まるで、人類の繁栄のためにちょうど良く与えてくれたかのような植物である。

 また糖分があるので、樹液を発酵させると酒もできる。いわゆる”ヤシ酒”と呼ばれるものである。

 ちなみに、食べ方の変化球で、無糖ヨーグルトに入れて1日おいて食べてみた。これも元々の果実の甘さが強いのでヨーグルトと適ってうまい(乳製品との相性が良い)。おすすめです。

注: D・P・コウル『遊牧の民 ベドウィン』(教養文庫)によれば、砂漠の遊牧民であるベドウィンの主要な食物は、ラクダの乳とナツメヤシだという。本多勝一『アラビア遊牧民』(講談社文庫)によれば、ラクダは砂漠の船と呼ばれている。

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