年末の大掃除で見つかった「COMICばく」(日本文芸社)。
No.11,12,14,15の4冊である。
この雑誌は1987年の通刊15巻目で休刊となっているので、当時私は最終巻も含む後半を読んでいたことになる。
もともと、つげ義春の復活に合わせて発刊された経緯をもつ「COMICばく」は、名作「無能の人」が連載されていた初出誌である。
最終号はそのつげが原稿を落としてしまい、代わりのインタビューが掲載されている(このインタビューも「無能の人」の単行本に掲載されている)。
そんな「COMICばく」の当時の連載陣は何だったかというと、つげ義春、つげ忠男、やまだ紫、近藤ようこ、末永史、林静一、ユズキカズ、花輪和一、菅野修、津山週三、三橋乙椰など。
つげ忠男は、これも名作「けもの記」も連載しており、この雑誌の休刊と共に「第一部完」となっている(参考記事:【書評】つげ忠男『けもの記』の続きが読みたい)
最終巻の発行は1987年。やまだ紫や末永史は既に亡くなっている。
やまだ紫はこの雑誌ではないが「しんきらり」という名作もあった。
花輪和一は、古代日本の姿をリアリティかつイマジネーションあふれるビジュアルで描いた「更級日記」を原作としたマンガもこの雑誌で発表している。
そして私的にはいわゆる日本マンガの極北of極北と言える悪夢シュール系マンガ家(?)菅野修を掲載する幅広さがあったのである。「夜行」(北冬書房)しか読めない作家だと思っていたが。
この雑誌を立上げ、最後まで看取った編集長、夜久弘も2015年には亡くなっている。
時代は遠くなってしまった。
この雑誌によって、私はガロ系の劇画系マンガの系譜と出会えた訳で、マンガ表現の奥深さを、ほんの少しであるが理解できたように思える。