【書評】卯月妙子「鬱くしき人々のうた 実録・閉鎖病棟」–単純かつ当たり前と思っている”自分を維持すること”の尊さを実感する

 待望の新作である、卯月妙子「鬱くしき人々のうた 実録・閉鎖病棟」(太田出版)を読んだ。「人間仮免中」「人間仮免中 つづき」の時代から、更に遡って20歳代の頃のエピソードが満載である。

 この作品(のみならず作者の創作力)のすごいところは、様々な精神を病んだ人々(作者自身を含めて)を語っているにもかかわらず、その視座に客観性があるところである。自殺願望や幻聴など、”病んだ人”への描写は、自他問わず極めて客観的に描かれる。誤解を恐れずに言えば、常識的な多数の人間と同じ視座なのである。その結果、ここで描かれる”病んだ人々”は生き生きと、むしろ”少し違った人”として描かれている。

 その一方で、この”病気”の恐ろしさも正確かつ実感的に描かれる。

 人間が、自らの「人格」を維持することの難しさとそれが崩壊するという恐怖。

 単純かつ当たり前と思っている”自分の人格を維持すること”とは、これほどまでに困難かつ大切なものだったのか、ということを改めて実感させてくれる。尊さ、といってもよい。

 稀有な人生を背負ってきた著者の人生そのものを、こうした表現作品として久しぶりに見ることができたことは非常に貴重な読書経験であった。

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【お笑い】圧力高め+マシンガントーク+ハイテンション+ポジティブの男女コンビ「ポンループ」が面白い

 最近お笑いでハマっているのが、この男女コンビ「ポンループ」である。

 最近では「水曜日のダウンタウン」の企画では女性の「アミちゃん」が取り上げられ、少し話題になってきており、地上波の番組にも出演し始めている。


 漫才メインだが、先日はピンチヒッターで出演した「賞金奪い合いネタバトル ソウドリ~SOUDORI~」ではコントを披露、なかなか面白かった。

 同じく男女コンビである「フタリシズカ」と同様、大きめで個性のある女性(ボケ)と、頼りない男性(ツッコミ)という構造は似ている。

 しかし、テイストは明らかに異なっている。

 漫才を見てわかるように、この「アミちゃん」が超ハイテンション+強圧+激しい思い込みによるマシンガントークにより男性側を混乱に陥れていく。あまりの早口で、1人称あたし→「あーし」になっている。また、二人称は「あんた」である。

 他人(特に後輩)への礼儀なども厳しく、自分のキャラを理解した上で「他人に圧をかけまくる」のが、関西のオバはん風で面白い。そこには女性芸人にありがちな自己卑下などはなく、ポジティブさも際立っており、むしろ聴く側は好感を持ててしまうのである。

 トークでは、男性(鈴木)には喋らせず、人の話を聞かず話を奪い取り自分の論理を押し付け続ける。

 そして端々に「教養」のようなクレバーな部分もみえ、ある意味「気持ち良く」叩きのめすのである(ちなみに”裁判”ワードに敏感に反応し、かつて実体験として裁判を体験した風な雰囲気もあるが、本当なのだろうか)。

 相方鈴木も、きちんと受け止める融和型の草食系キャラで、ツッコミするときも「アミちゃん」と優しめ。これも現代風である。

 YouTubeを最近開設し、また、Spotifyでネットラジオ「でっかいあたし」も開始した(余談であるが、このネットラジオのネタコーナーで私のメールが読まれたのは嬉しい経験であった)。

おすすめ:漫才「銀行強盗」


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【書評】谷川ニコ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』20巻–真の”ぼっち”であるキバ子がメインの、10周年で原点回帰した傑作巻!

 連載10年、20巻に到達した谷川ニコ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』20巻を読んだ。特装版付きの記念巻である。

 今回は最近の黒木リア充路線の停滞感を脱しており、非常に面白かった。

 それはやはり表紙にもなっている「キバ子」フォーカス路線だったからであろう。ある意味、読者からもヘイトを買うヒールキャラで、主人公の黒木さん(もこっち)より、真の意味で”ぼっち”なのである。

 さらに初期のもこっちを彷彿させる孤高のぼっちであり、ストロングメンタルの”二木さん”との交流もあり、これが本巻の中で、非常に質の良い青春ドラマになっているのである。

 そして脇を固める形となってしまった、もこっちの所々出てくる下ネタも良いし、もこっちストーカーの”ウッチー”がいつの間にか少しだけ成長しているエピソードもある。各キャラもそれぞれ個性を出して登場しており、オールスター風である(特装版では”きーちゃん”も出てくる)。

 10周年で改めて原点回帰したような”ぼっち”路線であり、非常に面白く読めた。最近の「わたモテ」の中でも白眉となる巻であろう。

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滋賀県立琵琶湖博物館で琵琶湖情報をたっぷり見たところで、レストランで「ブラックバス天丼」を食べる

 滋賀県での仕事が多くなっており、思い返せば10年くらい訪れているが、これまで琵琶湖を湖畔から直接見たことはなかった。

 琵琶湖線の駅からは湖畔に向けてはそこそこ距離が離れていると同時に、業務上の動線から離れているのである。車がないので、なかなか琵琶湖湖畔方面には行きにくい。

 そんなこともあり、ひょっとして「琵琶湖はフェイクで、架空の存在なのではないか?」という疑念(妄想)も芽生えてきたので、烏丸半島にある「琵琶湖博物館」に訪れてみた。

 このコロナ禍の状況で、事前にWebで予約が必要である。前日に予約を取ったが比較的空いていた。

 琵琶湖の生態系(魚、水草)や歴史や民俗などが盛り沢山で、非常に面白い展示であった。

 古代湖ということもあり、複雑な歴史を持っている雄大な湖なのである。

 これは淡水魚が泳ぐトンネル。鯉や鮒が泳いでいる。水族館チックな感じ。

 そして昼食は博物館内にあるレストラン「にほのうみ」。

 外来魚の展示でもお馴染み「ブラックバスの天丼」1,120円を注文(味噌汁を小うどんに+210円でアップデート)である。白身魚のさっぱりさがあり、普通に美味い。

 外の散策ルートから眺める琵琶湖。無事、存在を確認。

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道の駅草津「グリーンプラザからすま」で「近江米おにぎり」、川魚(鮎、ワカサギ)、「あおばなソフトクリーム」をゲット

 琵琶湖の烏丸半島にある「道の駅草津」へ行ってみた。ちょっとした売店やフードコートがある。野菜や肉(近江牛)やお惣菜などが売っており、珍しいところでは「近江米」も計り売りしていた。

 そんな地元産の名物を物色し、フードコートもあるので、そこでテイクアウトでいくつがゲットしてみた。野菜や近江牛もゲットしたいところだが、ホテル住まいだと調理に無理がある。

 まずは「近江米おにぎり」250円。

 JAレーク滋賀の「もちむぎ茶」、藤亀商店の「天然鮎の甘酢漬」345円と「小鮎とわかさぎの佃煮」313円である。

 さらに草津名産の「あおばな」(オオボウシバナ)のソフトクリーム250円。元々は染料として生産されていたものだが、近年は健康食品的な狙いがあるようだ。

 まろやかな風味になってなかなか美味い。

 おにぎりと川魚は、途中の公園で弁当代わりにいただいた。ピクニック気分である。

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流行りの”マリトッツォ”を食べてみたが、アラフィフには胸焼け必須

 最近私の視界に入ってくる「白い塊」がある。

 ダイエットを続けており、危険を告げるセンサーも働いているのであるが、その一方でカロリーモンスター的なセンサーも働くのである。

 それは今流行りの「マリトッツォ」である。

 フォルムの単純な”ただただ生クリーム”感。

 これはそそる。

 が、同時にカロリーもかなりありそうな気もするので、手に取るのは躊躇う。

 しかし、ここまで流行り出し、行くパン屋などで何度も目に入ってくると、もはや一度ならいいだろう、という気になってくる。

 これが宣伝効果でもあり、私のような遅れてきた大衆にまでブームが展開する瞬間なのであろうか。

 ということで、ついにあるパン屋のイートインコーナーで注文。

 パックマンが生クリームを咥えたようなコミカルなフォルム。そしてこの圧倒的な生クリーム感がやはり期待をそそる。

 食べてみる。

 プリオッシュ生地のパンの柔らかさとクリームは確かに合う。

 ただ、シンプルといえばシンプルなので、パン+生クリームという組合せ、および、ほぼ生クリーム、この2つの状態しか口内に存在しない。そして、後者の方が当然のことながら圧倒的に多いのだ。

 結論として、甘党とはいえアラフィフの身には生クリーム連続状態はきつい。やはり乳脂肪分に少し体が悪い方向に反応してしまう。

 要するに胸焼けなのである。

 美味いは美味いのだが、この後半の胸焼けを経験してもう一度食べたいか?と自問自答しているが、今のところYesという答えは出てこない。

 とはいえ1つだけのケースで即断もできないので、別の店でもトライ。

 ここはクリームに拘りがあり、生クリームとシャインマスカットクリームが入っている。こちらはクリームに味の変化もあり、シャインマスカットの爽やかさがあり、なかなかいける。しかしながら、後半の脂質胸焼けはやはり襲ってくるのであった。

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蕎麦が食べたくなって、京そば処「志乃崎 エイスクエア店」で熊笹そば

 外食しかない出張が続くと蕎麦が食べたくなる。そんなこんなで草津市のショッピングモール、エイスクエア内にある「京そば処 志乃崎 エイスクエア店」に行ってみた。

 当然のごとくアルコールはない。店内には蕎麦焼酎などの瓶が並び、そそるが残念である。仕方ないので黒烏龍茶で。

 熊笹そばというのがあったので、「ジャンボ天ざる」1380円を熊笹そばに変更(+150円)さらに麺大盛り(+150円)を注文。ジャンボ天とはエビのことらしい。

 こんな感じ。

 笹を練り込んだ蕎麦で食感もよくツルツルと食べることができる。

 

 やはりヘルシー感(気分だけかもしれない)があり、久々の晩御飯としては良かった。

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関西で本格派”濃厚臭い系”博多ラーメン!草津市「 博多とんこつ真咲雄」の”のうとん”はハマる

 草津駅と栗東駅の中間付近、ただ徒歩圏内ではないがグッとくるラーメン屋があり、ある日意を決して徒歩で行ってみた。草津駅から往復約7kmの道のりであった。まあ、カロリー消費と思えば、ありであろう(結構きつい)

 「博多とんこつ真咲雄」である。店に近づくと、うっすらと鼻の感覚が刺激される。

 おや?

 この臭いには、記憶が。

 ・・・そう、かつて訪れた博多駅周辺の繁華街で嗅いだ感じ。ある特定のラーメン店の周辺に漂う、動物的な獣系の臭いである。

 そう、博多豚骨ラーメン界隈で、”臭い系”と言われる系統の匂いである。

 濃厚豚骨ラーメンである”のうとん”830円。それに、トッピングの”全部ちょいのせ”150円である。

 まさに博多で食べた”あの”匂い。コッテリで非常に美味い。麺も細麺硬めで美味い。これはクセになる味であるが、京都に近いこの土地で受け入れられるのか、一抹の不安もある。

 定番の変え玉レギュラーサイズ150円。

 もうちょいイケそうなので半玉80円。これで満足。

 スープまで完食。非常に美味かった。カロリーオーバーが気になるが、まあ徒歩で頑張って草津駅まで帰ることでカロリー消費を図るのであった。

 やはりこの手の臭い系は、コッテリであるが後を引く。しばらくすると禁断症状が出てくる。徒歩7kmはきつい(辛うじてコミュニティバスはあるが)ので、そこが悩みどころである。

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琵琶湖線草津駅「ラーメン餃子 なかよし」でデカ盛り「チャンポンメン」

 8/25以降の滋賀県の緊急事態宣言で、ホテル住まいの人間には深刻な夕食問題が発生している。店が軒並み休業に入ってしまったのである。

 酒類提供なしでも良いから、と琵琶湖線沿線を彷徨うが、栄えている駅はともかく、そうではない駅(失礼)周辺は何もない状況になっているようだ。特に足がない(車がない)場合には、結構深刻なのである。

 草津駅は比較的人手が多いので、まだ助かる。

 そんな中見つけた草津駅から徒歩3分の「ラーメン餃子 なかよし」である。

 ここで「チャンポンメン」700円に麺大盛り+100円をチョイス。さらに餃子300円。

 到着したチャンポンメンはかなり巨大でビビる。

 だが他のお客さんの注文したものを見ていると、軒並みでかい。なるほど。これがデフォルトなのかと納得。

 具沢山のチャンポンメンは、まさに酒のつまみにしたいが、当然メニューにはない。悲しい。スープを酢で味変もして、完食。

 餃子はシンプルであるが、これも美味い。返す返すも酒が飲みたいが、我慢の一手でサクッと食べて宿へトボトボと帰還するのであった。

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【ラーメン】草津市「らーめん FLYINGチキン野郎」でクリーミーかつ上品なスープと唐揚げ

 草津駅から琵琶湖に向かってひたすら歩くこと20分。約2kmくらいのところにあるラーメン屋「らーめん FLYINGチキン野郎」に行ってみた。

 食券を購入し、定番の「フライング野郎」880円+「麺大盛り」110円、そして「唐揚げ3コ」280円を注文。

 待つこと少々、このような真っ白な泡立ったスープでやってきた。うまそう。スープはコッテリと見せかけて鶏の出汁が効いた上品な感じだが、進むに連れて味が際立ってくる。

 チャーシューも美味い。

 唐揚げも国産鶏肉100%を謳うだけあって、肉厚でみっちりと肉が凝縮されている。

 満足である。腹も膨れて退店。

 ガッツリ食べて、これからまだ日もあるので、琵琶湖まで向かおうとしたが、まだ距離があるので断念(帰りのこともあるので)

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