【ラーメン】成城学園前駅「麺ジャラスK」で、カレー白湯ラーメンと唐揚げハーフを食べると、流石のこだわりの味で激ウマだった!

 先日読んだ、プロレスラー川田利明のビジネス本の感想(下記リンク)で、不器用な生き方と同時に、そのこだわりで作るラーメンのことがすごく気になりだしたのである。

 参考記事:【書評】川田利明「開業から3年以内に8割が潰れるラーメン屋を失敗を重ねながら10年も続けてきたプロレスラーが伝える「してはいけない」逆説ビジネス学」–不器用をブランディングした器用なレスラーの、やはり不器用な生き方に痺れる

 上記著書にあるように、ここまで料理に対してこだわりを示すのであれば、きっとその料理はめちゃくちゃ旨いのであろうという期待値が日々高まっていく。それがだんだん抑えられなくなってきたのである。

 年末のある日曜日に、ついに12:00の開店を目指して、小田急線の成城学園前駅に向かったのである。

 駅から徒歩で12分。距離にして約1km(アプリで実測)。それほど苦にはならない距離を歩き、目指す川田の店「麺ジャラス K」に到着。

 半地下の店内は、前評判のような張り紙多めという感じもなく、店内は至極普通の店構えである。

 システムは事前に理解しており、著書で川田が”気難しい子”として描かれた食券機で、オススメの「カレー白湯ラーメン」980円と「唐揚げハーフ」580円を注文。

 店内の新型コロナ対策は万全で、店内も基本一人席になっている。

 この「カレー白湯ラーメン」は、一口スープを飲んだだけでどろっとしたスパイシーな濃厚スープが非常にいける。痺れる辛さと玉ねぎの甘味もマッチして、麺といい感じに絡んで、食の進行に従うスープ密度変化によって味が次第に変化していき、完食である。

 これは素晴らしい。やはり料理へのこだわりを感じさせるラーメンであった。

 ちなみに著書にあったように、この麺は外部調達とのことであるが、丸麺でありながらスープのカレーとの絡みが素晴らしいチョイスである。

 更に、前評判の高い「唐揚げハーフ」。これも骨付き肉なのかと思わせるくらいの太さでありながら、全て肉という贅沢な部位。コールスローとマッシュポテトもうまい。

 結果、非常に満足である。

 帰りも徒歩で駅までちょうど良い感じの歩き。ただ歩いたとしても片道100kcal以下の負荷なので、食べてしまったカロリーに対する影響はないのだが、まあそういう意味でも立地のデメリットも相殺できそうな感じもある。

 一部店内では、依然として元プロレスラーの雰囲気が漂っているが、既に一流ラーメン屋としての十分なブランディングができそうなラーメンと料理の味であった。

 

 

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【書評】川田利明「開業から3年以内に8割が潰れるラーメン屋を失敗を重ねながら10年も続けてきたプロレスラーが伝える「してはいけない」逆説ビジネス学」–不器用をブランディングした器用なレスラーの、やはり不器用な生き方に痺れる

 先日読んだ吉田豪のインタビュー集「超人間コク宝」(コアマガジン)で、プロレスラー川田利明との対談を読んだ。

 プロレスラーをセミリタイヤした後、現在成城学園前駅でラーメン屋のような居酒屋のような少々迷走した店を経営していることはネット界隈では知られており、少々偏屈な経営をしていると言われていたのである。

 しかし、このインタビューを読んで少々認識が変わったのである。ものすごく常識人でもあり、プロレスラーには似合わず社会性もあるのであった。

 そこで興味を持って対談の中でも言及されていた著書、川田利明「開業から3年以内に8割が潰れるラーメン屋を失敗を重ねながら10年も続けてきたプロレスラーが伝える「してはいけない」逆説ビジネス学」(ワニブックス)を購入、読んでみた。

 この本は間違いなく面白く良書である。フリーランスとサラリーマンの対比としても読める。個人事業主のビジネス本としても面白いし、個人営業のラーメン開業の苦労話としても面白い。 

 この本でも言及されているように川田のプロレスラーとしての印象は「不器用」、「無骨」であるが、本人の発言として、それは自分のプロレスラーとしてのブランディングであって実際には「器用」であることが語られる。確かに実際にこうした体験や料理へのこだわりなど、非常に繊細で細かい。

 実際には社交性もあり、かつ、社会性もあるのであろう。私のこれまでの認識も訂正が必要なことがわかり、この本によって川田のイメージは確かに大きく変化したのであった。これは成功であろう。

 また、ネットで言われていたシステムの複雑さ、お客へ要求する張り紙の多さなどは、川田に起因するのではなく、むしろプロレス ファンの無神経さ、もっと言えば幼稚さ、社会性の無さの方に起因することも十分よくわかったのである。

 この認識を理解した上で、読了した後に改めて思うことは、皮肉にも”やはり不器用だ”ということであった。

 プロレスラーがラーメン屋を経営する際に、そのブランドを利用するとしたら、やはりこうした飲食店にとって客単価が低く回転率も悪い”質の悪い客”が押し寄せてくることは、通常の飲食店経営者は理解しているはずである。そうしたことがないように、ある種の「敷居」を設定するのであろう。最初からそうした客は足切りするのである。

 だが川田自身はそうしない。その解決策として過剰なまでの張り紙になるのである。

 プロレスファンにとっては理解できないことであろう。チケットを購入し、CM付きのTV番組を見ていれば応援になったのだ。その意識はラーメン屋になった川田に対してもおそらく全く変化しないのであろう。これはプロレスファンが持つ幼児性であり、この幼児性を理解した上で「切り捨てる」選択をしない、あるいはできない経営者は「不器用」であろう。

 またそんな低レベルの客を前提とした場合、もうひとつの方法として、料理のこだわりなどを示す必要もなく、名義貸しや料理の質を落とすことも考えられる。しかし、それも川田はせず、ひたすら自分の時間を犠牲にしてラーメンや料理にこだわりを示すのである。

 洗浄などや効率のよい缶ビールや瓶ビールの提供に切り替えることなく、生ビールにこだわるのである。

 まさに「不器用」そのもの。

 本書で、川田に対するこれまでの見方は良い方向に変わったのは間違いない。確かに料理人としても、実際のレスラーとしても「器用」なのである。

 しかし、ブランディングとしての「不器用」と語る川田の生き方そのものは、この本を読むとやはり「不器用」なのだ、と思う。その不器用さには、ブランディングとは異なる説得力がものすごくあり、敬意を評したくなる。

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【書評】『吉田豪の”最狂”全女伝説』を読んでノスタルジックな気分になる

女子プロレスには思い入れがある。

世代としてはクラッシュ・ギャルズ世代であり、テレビ中継での極悪同盟との抗争に熱狂した。社会人になった頃には全日本女子の経営悪化、GAEA JAPANの台頭などの状況変化があり、時間とお金に余裕が出来たので会場に良く足を運んだりしていた。

全日本女子プロレスは、やはり経営危機になった後の頃の思い出が多い。

目黒でのガレージマッチなどを観戦していたら「週刊プロレス」の試合写真に観客として写り込んでしまい、会社の同僚や上司にバレて非常に恥ずかしかったことを覚えている。

多摩地区の全日本女子の興行は、極悪レフェリーとして知られる阿部四郎がプロモーターであった。

この興行では、試合途中に謎の演歌歌手の歌謡ステージが結構な時間あったり、リングサイド最前列の席を買ったはずなのに、何故かさらにその前に列があって、そこに明らかに堅気で無い人が水商売らしき女性を連れて座っている光景など、懐かしく思い出される。

ガチンコだ八百長だと物議を醸していたプロレス業界で、何故か全く独立な意味合いでガチンコ(真剣勝負)の小世界が存在していたことも、ある意味時代の先を行っている。

会場に足を運んでいた頃は、社会人になって色々と社内政治的なもどかしさを抱えている中で、実力の世界で精一杯表現している女子レスラーの姿に非常に勇気付けられていた。デビューした彼女たちと社会人として揉まれる自分を重ね合わせ、”同期”のような存在であった。

私にとっては、当時全日本女子では中西百重(既に引退)、GAEA JAPANでは里村明衣子(現在も仙台女子プロレスで現役)が気に入っていた。二人は1990年代後半デビューで、未来のエース候補であった。業界が沈下しなければもっとメジャーな存在になっていたはずである。

もちろん”デビュー”時期は同じでも、年齢は向こうの方が遥かに年下である。でも、先輩たちのシゴキに耐え、戦いながらハングリーに自己鍛錬し、もがいていく様は、当時の社会人デビューしたペーペーの私から見ると素直に敬意を覚えていた。

女子プロレスは本来、もっと報われていい世界だと思う。

そんな昔のことが、あれこれと想起される女子プロレスのインタビュー集である。Amazonで予約して購入した。

やはり期待通り、”デタラメ”な世界がそこにあった。経営者である松永ファミリーがとにかくめちゃくちゃなのである。お金などのトラブルも多数ある。しかし、それでいて、ここに出てくるレスラーは「全女」=「松永ファミリー」を完全に嫌っている訳ではなく、ある種の故郷のように語るのである。

一番面白かったエピソードは、ミゼットプロレスラーと松永ファミリーの”交流”で、確か事務所の屋上にプレハブを建てて住まわせていたと記憶している。私が直接試合を見たのは、リトル・フランキー、角掛留造、ブッダマンくらいであろうか。

松永兄弟はミゼットレスラーをどこにでも連れていくらしい。「銀行とかの大事な契約の時にも連れて」行ったらしい。ここは銀行の応接室とミゼットレスラーが何故か横にいるシュールな光景が思い浮かんできて、思わず笑ってしまった。

彼らもまた私の原風景の中にいる……ただ直ぐ思い出されるのが会場入場時に角掛留造に1,000円追加支払うと席がアップグレードできたこと位だけど。

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ベーシックインカムって?BI 砲のことじゃないの?

なるほど、だから噛み合わなかったのねと。今更ながら。

某掲示板でBIについて、長い時間、汚い言葉で応酬し合い、なおかつ相手と分かり合えない理由はそこだったのかと、先ほどようやく気づいた。

そういうことだったのか。

それなら、最終的に議論で負けそうになった末に、そこら中の参加者に、あんなに汚い言葉を捨て台詞気味に吐き散らして、レスを打ち切るんじゃなかった(←オイ)。

私としては、一貫して、かつての力道山なき後の日本プロレスを支えた黄金コンピ、ジャイアント馬場とアントニオ猪木のタッグチーム、略してBIについて熱く語っていたのだ。

レスの相手は、今にして思うと、どうやらベーシックインカムについて語っていたらしい。どうりて噛み合わないと思った。

で、でもさあ、普通BIと言えば、馬場、猪木でしょう。

・・・えっ、時代ってそんなスピードで流れてるの?いやいや、常識と敢えて言及しますが、BIってのは、ジャイアント馬場とアントニオ猪木のタッグチームでしょうが!このヤロー!

いや?違う?えっ、日本人なの?ちがう?、あぁ、わかった、パタゴニアの人?違う?ブラジル知ってる?コーヒー農園知ってる?移民も知っている?砲丸投げも?じゃあアントニオ猪木も知ってる⁉︎梶原一騎の「プロレス・スーパースター列伝」読んだことないの?

・・・え?そんな娯楽のことを語っていない?もっと切実な生活のことなの?

え〜おじさん、困っちゃう(「お父さんは心配症」の佐々木光太郎のコスプレで)

だめ?知らないの?

・・・これがジェネレーションギャップなのか。

まあ、よろしい。

とにかく馬場と猪木は凄かった。

これだけは言える。

そして、ベーシックインカムについては、今後勉強します(すいません)。

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私が最も感動したプロレスの名勝負:天龍源一郎vsR・サベージ

子供の頃から長くプロレスを見ているが、一番感動した試合をあげると、1990年4月13日東京ドーム「日米レスリングサミット」(WWE,全日本プロレス,新日本プロレス)のメインでもセミでもなく行われた

天龍源一郎 対 ランディ・サベージ

のシングルマッチである。今でもYouTubeなどで視聴可能なようだが、当時私はTVで見たが、非常に興奮したことを覚えている。その後、何度も映像を見返しても、今でも面白いし、興奮する。

試合自体は正調のアメリカンプロレスであり、当時の日本のプロレスファン(私含む)には本来受け入れられない文脈なのだが、トータルとしてみた時に、非常に両者がスイングして、何故か?面白い試合になったのである。

この試合に至るプロレス業界を示すと、第二次UWF(前田、高田、船木を擁していた)が絶好調の中、天龍も全日本プロレスで天龍革命(天龍同盟)という”硬い”ムーブメントを起こしていた。

日本のファンの志向としては、非常に格闘色の度合いが濃いプロレスを称賛する風潮が強く、ショーマン的なプロレスは基本的に敬遠される傾向にあった。

天龍はこの試合の前に、全日本プロレスの体制内革命である天龍革命を終了(解散)させている。これからは一人で活動する、と宣言して、孤独の中でこの試合を迎えていた。

この試合のマッチメークの意味は、いくつか想像できる。

・今後の天龍の全日本プロレスでの位置付けをどう捉えるか?

試合順は全13試合中、第9試合である。メイン、セミファイナルではなく、後ろから4番目の試合であり、それまでの全日本プロレスの功労者に対する格としては位置付けが低いとも思える。

しかし、日本人としてはジャイアント馬場(セミファイナルでアンドレ・ザ・ジャイアントとタッグを組んだ)に次ぐ二番目で、ジャンボ鶴田よりも後だ(ジャンボは第8試合でタッグマッチ)。

つまり全日本プロレスのエースとしての処遇は受けている。

・相手としてのランディ・サベージとのシングルマッチの意味はどう捉えるか?

ランディ・サベージはこのとき初来日。
まさしく”まだ見ぬ強豪”であることは間違いない。

1988年にはWWFの最高峰WWF世界ヘビー級王座についている(1990年時点では今回のメインに登場するハルク・ホーガンに奪われている)。

しかし、その一方で当時日本のプロレスファンが嫌っていたショーマン派(実力もないのに格好だけ良い)に属する前評判だ。

WWFのエンタテイメント路線は今でこそ日本でも受け入れられているが、この時は外道も外道だった。

天龍自体のこれまでのファイトスタイルは、ショーマン派に全く付き合わず、決して逃げない代わりに相手にもそれを求めるファイトを見せてきた。

今回のこのマッチメイクは、全日本プロレスがエース天龍への新しい方向性、いわば”踏み絵”のようなものではないかと私は当時考えていた。

つまり、天龍同盟のアウトロー的エースではなく、正統派エースへの転向を促すものであると。そして、それは天龍にとって決して望ましいものではなく、また天龍がかつての鬱屈したファイトに戻る原因になるのではないかと、勝手に心配していたのだ。

しかし、結果は全くそうではなかった。

とんでもなく面白い、興奮した試合になったのである。

天龍もうまかったが、それ以上にランディ・サベージというショーマンだと思っていたレスラーに、めちゃくちゃ実力があったのである。

天龍のファイトに付き合った訳でもなく、サベージのショーマン的なレスリングに、観客も完全に飲み込まれて、良いように踊らされていたのだ。

TV映像で見ると、観客が本気で興奮しているのがわかる。私もTVで見てそうだった。

試合前、試合中、試合後に、試合のひとつひとつの展開に、観客が波打ち、うねるように反応している。まさにこの試合は観客にとっても別格だった。おそるべし。

試合を以下に追って分析し、サベージのすごさを示してみたい。

驚くことに、サベージは、ほとんど技という技を使わないのだ。それでいて、リングを立体的に使うことで観客の視線をコントロールし、試合を複雑化している。

そして、試合時間のうち、ほとんどの試合時間でサベージの攻撃となっており、終始試合をリードしている。

0:00(試合経過時間、以下同じ)
ゴング、既に女子マネージャのシェリー・マーテルとともに、観客へのアピールは十分され、観客はヒートアップしている。なかなか組み合わない。サベージが天龍にロープへ振られるが、場外へエスケープしてかわす。その後コーナーポストに登ってアピール、観客ブーイング。

2:40
ようやく最初のロックアップ。
ブレーバスターの態勢から両者持ち上げるも上がらず、天龍が持ち上げるがサベージがかわして天龍の背後に着地。天龍は振り向き様に、逆水平チョップを喉元に打つ。その数13連発。天龍同盟で見せた、あの逆水平チョップである。コーナーポストにハリツケ状態でサベージ耐えるが、最後は崩れ落ちる。ここで、最初の見せ場がやってきた。天龍は雄叫びを上げる。
私はこのシーンは初見で一番感動した。ショーマン派レスラーが嫌う喉元へのチョップを何発も受けたサベージに対して、”こいつ本気でこの試合をやる気じゃん”と思った。

3:58
天龍がサベージをショルダースルーで場外へ。サベージはトップロープを掴んで一回転しながら場外へ転落。とにかくリングを垂直的に使う。その後マーテル介入により場外乱闘は一貫してサベージペースで天龍は攻め込まれている。放送席で徳光アナや一般の観客が本気で怒っているのがわかる。

6:00
リング上の攻防で天龍の延髄斬りが決まるが、足を痛めたか攻め込めず、体勢を立て直したサベージのラリアットを受け、ペースを握れない。サベージの攻撃、チョーク、パンチからフォール。カウント2。

7:07
サベージが天龍をロープに振ってラリアット。ロープを掴みながら、足でチョーク。更にマーテルが介入し、天龍はリング下へ転落。

7:58
リング下の天龍に対してコーナーポスト最上段から飛んで、得意技であるダブル・スレッジ・ハンマー!
(解説の竹内さんが教えてくれた)その後はマーテル介入により、天龍が一方的に攻め込まれる。
場外フェンス外でグロッキーの天龍。

9:05
天龍をリング内に入れて、コーナーポスト最上段から2回目のダブル・スレッジ・ハンマー。カウントは2。

9:30
サベージが天龍をボディスラム。ニーパッドでフォール。カウント2。

9:51
サベージ、別のコーナーポスト最上段に登る。解説の竹内さんが「そろそろエルボーですかねぇ!」
最上段でじっくり時間を溜めた末に、ダイビング・エルボー・ドロップが炸裂。フォームが美しい。
フォールでカウントは2.5。いよいよ天龍ピンチ。
しかし受ける天龍はさておき、ここまでのサベージの連続攻撃の運動量がすごい。だが、スタミナが全然切れていない。

10:18
再びサベージ、コーナーポスト最上段へ。3発目のダブル・スレッジ・ハンマーを狙うが、ここで天龍がボデイへのパンチで切り返す。素早くサベージを捉え、天龍の必殺技パワーボムの態勢に!観客総立ち!
・・・しかしサベージが踏ん張り、リバースで返す。まだスタミナあるのか。観客いっせいにため息。

10:40
またまたサベージはコーナーポスト最上段へ。今度はフライング・ボディ・アタック!
しかしここでサベージが膝を痛める。ちょうど前かがみになった姿勢に、天龍が延髄斬り!
そして今度こそパワーボム炸裂!カウント3が入り、観客が皆歓喜で飛び跳ねて、TV画面はすごいことになる。

第9試合
シングルマッチ60分1本勝負
天龍源一郎 vs ランディ・サベージ(w / センセーショナル・シェリー・マーテル)
○天龍(10分49秒・エビ固め)×サベージ

試合後天龍が小さくガッツポーズ。これも印象深い。”やったぞ!”という思いなのか?

経過を見ていくと、ほとんどサベージの攻撃だということがわかる。しかも、パンチを中心にした単純な組立であるが、まるでそれを感じさせない。

コテコテのマネージャ介入による反則などまさにヒートを買っている状態であるがゆえに、切れ目切れ目の天龍の反撃もインパクトを与えている。

また大会場であることも考慮して、コーナーポストをフルに使った立体的な視覚にも訴えかけている。

そして、最後のパワーボムに至る、1回目失敗→その後の成功によるカタルシスへのスピード感がある流れ。

まさに名試合だった。

サベージのうまさばかり書いたが、天龍のうまさも当然ある。

私はもともと天龍ファンなのであるが、それを差し引いても、この試合のサベージはすごかった。

繰り返すようだが、基本的にパンチなどの打撃しか使っていないのだ。

むしろショーマンレスラーだったら過激な技をバンバン使いそうだが、スープレックスなんかほとんど出さず、基本技のボディスラムがたったの1回だけなのである。

サベージに一流レスラーの凄みを見せられた思いで、WWF(現在WWE)についての思いも少しこの時から変わっていったと思う。

未だにこれを超える試合がないと私は思っている。

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ジャイアント馬場のビジネスパーソンへの教えー出張続きで疲れている自分に捧げる

国内の日帰り出張が多い。色々な場所へ足を運んで(一人が多い)打合せをしたり、調整をしたり、折衝をしたり、話をつないだりしている。

住まいは東京なので、基本的に新幹線か飛行機を使って、比較的日帰りが可能になってしまう。

やはり悩みは移動中の車内やその待ち時間など。

移動を除く外出先に到着した後に進める仕事は”正味の仕事”であり、これはいいとして、”無駄な”移動時間をどう使うか?は悩みのタネだった。

一人で行動していることが多いので会話する相手もいないが、もともと道中一緒に行動するのが嫌いなのでこれは選択肢に入らない(複数人の場合には、基本的に現地集合・現地解散にしている)。

行きに関しては、事前に資料を見てイメトレなどの準備などをすれば、とも思っていた時期もあったが、ある程度慣れてくるとそうした、直前のインプットが情報過剰になってしまい逆に失敗する場合もあることがわかってきた。要するに適度な情報量でいけるようになる(別に自慢しているのではなく、慣れると誰でもそうなる)。さらに車中などで資料を広げること自体も、情報漏えいというほどではないが、あまり周囲にパワポのドン!とした大型活字を見せたくないし恥ずかしい。

帰りは、まあ、基本的には疲れているし夜なので駅弁で一杯ということで良いが、以前は私も意識高い系の感じで、移動中の時間を有効に使うべくガジェットを集めようとしたこともあった。帰りの新幹線でノートパソコンやポメラで議事メモをすぐさま作成、なんて。ノマドワークも興味があったのでそうした観点での、移動時間の業務化も考えて見たことがある。

しかしながらそれも今は諦めた。要するに隙間時間を効率で埋めることに疲れてきたのである。

やる気になればそうした隙間時間を埋められるし、自分の生産性を上げられるのもわかっている。私が生産性を上げれば、それは全体にとっても意味があるはずだ。

しかしながらそれも今は諦めた(2度目)。疲れてきたのである(2度目)。

ノマドワーカーのガジェットを見るのは楽しいが、実際に実行すると非常に疲れる(3度目)。そもそもの移動自体が私にとっては疲れる(4度目)。できれば自分の机が一番ストレスがない。ここで仕事をしていたい。

ノマドの人々は移動することをあまり負担とは思わず、むしろ旅のように捉えているようだが、私個人としては移動すること自体がストレスなのである。もちろん私の性格の問題で、向いていないのである。

移動がストレスだというのは、自分で決めていないからだと思う。そもそも移動していること自体が、相手の都合に自分が合わせている。自分のエゴだけで言えば、先方からこちらに来れば、その分私は移動時間がなくなるので正味の仕事の時間が増えるのである(注1) 。だからそうしたい。でもそうならないのは何故か。

トータルで考えて、先方が来ずに私が移動する方が、費用対効果が高いからである。

向こうがこちらに来ることによるコスト、機会損失と比較して、私が一人で移動した方が費用対効果で有利だからだ。それは私も納得している。だから、行くのである。しかし、疲れるのである(5度目)。

単純に言えば向こうが大人数だし、そもそもの議題がその現場だったりすれば、こちらが行くのが当然だ。

ただし、自分の生産性だけを考えた場合、自分が相手側の都合に合わせるのではなく、相手側を自分の都合に合わせる方が絶対に良い。虫が良すぎることは承知だが。

相手との力関係や地位のことを考慮に入れる必要があるが、私が見た中で優秀な人−限られた時間の中で他者より優れた質・量のアウトプットを出せる人−は、交渉フェーズで相手を無意識的に自分の都合に引き込んでいたことが多い。つまり、知らず知らずにこちらが相手のスケジュールに合わせているのである。そして、そうした人は驚くほどのマルチタスクをこなしていた。

つまり、仕事自体の処理能力に加え、相手を自分の土俵(都合)に引き込む力(オーラや雰囲気も含め)を持っていたと思う。

私が好きなプロレスで例えると、ジャイアント馬場は後継者と目していたジャンボ鶴田に、プロレスにおける帝王学を伝授していた。これは必殺技を教えたのではなく、相手に対して優位に見せる技術であった。

ジャンボ鶴田と長州力の60分シングルマッチで鶴田はそれを実行し、結果は60分フルタイム戦った末に両者引き分けであった。しかし、その試合内容が観客にジャンボ鶴田の強さ、格上さを強く意識させられたものとして知られている。

私も当時TVで試合中継を見てショックだった(注2)。当時は長州の方が人気があり、鶴田自身もあまり強さを前面に出していないこともあり「長州が勝つ、勝たないまでも圧倒する」と思っていたが、後半になると次第に長州が攻め込まれるシーンが多くなり、終わってみると鶴田の強さを認めざるを得ない結果になった。

wikipeda ジャンボ鶴田から引用

 リング中央でどっしりと構え、自身の周りを長州が動き回るようにファイトする(中略)。

  これは馬場がエース候補生たちに必ず教えていた心構えであり、また、自分が格上のレスラーであると印象付けられる上にスタミナの消費も少ないという効果を狙ったもの

—引用終わり

リング中央に留まる鶴田。長州はその周りを回り始める。惑星と衛星のような動きであり、中央と周縁のようなシンボリックなイメージすら想起される。

自分のペース、時間軸に相手を引き込む。こうした”惑星”になるためにはどうしたら良いか。椅子に座ってクルクル回りながら今日も考えている。


注1:テレビ会議とか電話会議とかSkypeといった手段があることは承知の上で(必要に応じてやっている)、ツールが進化してきたがFace to Faceが必要な場合も未だに結構あると思う。やはり迫力や雰囲気は画面越しでは伝わらないのだろうか。

注2:プロレスについてのミスター高橋的な話は当然知っている(その後知った)が、そのことは今は語りたくない。

 

 

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