【書評】酒寄希望「酒寄さんのぼる塾日記」–融和系お笑いカルテットの絶妙な間合いと酒寄さんの巧まざるユーモア

 年末に発売された、酒寄希望「酒寄さんのぼる塾日記」(ヨシモトブックス)を読んだ。4人組女性お笑いカルテットのリーダーかつブレーンである、育休中の「酒寄さん」が書いたエッセイである。

 発売前からnotewebエッセイで、なんとも抑制の効いた文体で、仲間であるぼる塾メンバーの面白エピソードを書いており注目していた。

 この酒寄さんが書く「田辺さん」のエピソードが非常に面白い。本当の田辺さんより面白いのではないかという感じであり、まさにプロデューサー視点である。

 ここで描かれる田辺さんのエピソードは、ある意味異常に変わった人でありつつも、同時に人情味も溢れるという多面性のある性格として描かれている。

 これはこれで読者にとっては、芸人をみつめる視線として、非常に元気づけられたり、ほっこりしたり、と良い印象を与えてくれるのであるが、そうはいっても人間としての田辺さん自身はきっとノーストレスではないはず、という点が少し気になる。

 その点はプロの芸人としては見せたくない部分であろうが、本書では、これと併せてぼる塾4人の強固な関係性が描かれることにより、そちらの心配についてもある程度安心させられもするのである。

 ちなみに本書で一番笑ったのは、相方とは親しく話している酒寄さんが、出産において自分の夫と会話する文体が、思いっきり他人行儀の「ですます」調であることであった(p.387)。田辺さんとはフランクな会話なのに・・・。酒寄さんと夫とのエピソードは本書では皆無。よって、この後の伏線回収もされていない。酒寄さん自身の変人性も垣間見えるような気もするが、解決はされていないのだ。

 こうした複雑さも込みで、”癒される”不思議な読後感であった。

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【お笑い】圧力高め+マシンガントーク+ハイテンション+ポジティブの男女コンビ「ポンループ」が面白い

 最近お笑いでハマっているのが、この男女コンビ「ポンループ」である。

 最近では「水曜日のダウンタウン」の企画では女性の「アミちゃん」が取り上げられ、少し話題になってきており、地上波の番組にも出演し始めている。


 漫才メインだが、先日はピンチヒッターで出演した「賞金奪い合いネタバトル ソウドリ~SOUDORI~」ではコントを披露、なかなか面白かった。

 同じく男女コンビである「フタリシズカ」と同様、大きめで個性のある女性(ボケ)と、頼りない男性(ツッコミ)という構造は似ている。

 しかし、テイストは明らかに異なっている。

 漫才を見てわかるように、この「アミちゃん」が超ハイテンション+強圧+激しい思い込みによるマシンガントークにより男性側を混乱に陥れていく。あまりの早口で、1人称あたし→「あーし」になっている。また、二人称は「あんた」である。

 他人(特に後輩)への礼儀なども厳しく、自分のキャラを理解した上で「他人に圧をかけまくる」のが、関西のオバはん風で面白い。そこには女性芸人にありがちな自己卑下などはなく、ポジティブさも際立っており、むしろ聴く側は好感を持ててしまうのである。

 トークでは、男性(鈴木)には喋らせず、人の話を聞かず話を奪い取り自分の論理を押し付け続ける。

 そして端々に「教養」のようなクレバーな部分もみえ、ある意味「気持ち良く」叩きのめすのである(ちなみに”裁判”ワードに敏感に反応し、かつて実体験として裁判を体験した風な雰囲気もあるが、本当なのだろうか)。

 相方鈴木も、きちんと受け止める融和型の草食系キャラで、ツッコミするときも「アミちゃん」と優しめ。これも現代風である。

 YouTubeを最近開設し、また、Spotifyでネットラジオ「でっかいあたし」も開始した(余談であるが、このネットラジオのネタコーナーで私のメールが読まれたのは嬉しい経験であった)。

おすすめ:漫才「銀行強盗」


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【書評】村松友視「トニー谷、ざんす」–まるで”ひとりエレパレ”のような戦後に現れた大スターの「謎」

 村松友視「トニー谷、ざんす」(毎日新聞社)を読んだ。

 戦後すぐに現れた芸人であり、”大スター”トニー谷についてのエッセイである。

 永六輔やトニーの妻など、関係者の証言も多く載せられている。

 トニー谷という存在は、日本の芸能史において特異な地位を占めている。

 太平洋戦争終戦後の混乱期に現れた、日本人のアメリカ文化へのコンプレックスをカリカチュアした、いわば「植民地芸人」と呼ばれるような露悪的な芸風(トニー・イングリッシュと言われるカタコト英語)や、本人の態度(マスコミへの敵意、同業者への不遜な態度)もあり、その真実の姿は見えない。

 本書においても、やはりその実像は見えないのである。

 太平洋戦争中に何をしていたかは、やはり「謎」のままであるし、トニー自身の悪評を産んだ行動の理由自体もまだ不透明である。ただし唯一の手がかりとして、トニーの複雑な家庭環境、不幸があったことは間違いなさそうだ。

 先日YouTubeで視聴した「ザ・エレクトリカル・パレーズ」という芸人のイケイケサークルについてのドキュメンタリーを見た際と同様のモヤモヤ感が残っている。「ザ・エレクトリカル・パレーズ」も非常に「謎」が多い動画なのだが、ここでトニー谷との類似性があるように思える。

 「エレパレ」では、吉本芸人の卵たちのカースト上位のエリート軍団が、その情熱と裏腹に生まれた排他性や党派性により、逆にプロの芸人集団の中では”原罪”のようになってしまう皮肉な結果を産んでいる姿が描かれる。

 トニー谷は、たった一人だが「エレパレ」であったように思える。

 当然のことながら、その排他的・独善的な態度は、結果的に周囲からは徹底的に浮き上がっていった。その運命を最後まで引き受けていった。

 そうした排他的な行動の原因として、芸人になる前の前半生での極めて「不幸な生い立ち」があったことが示唆される。本人がその過去を全く明らかにしなかったほどの。

 そして「エレパレ」でも明示的には描かれていないが、こうしたイケイケメンバーの「不幸な生い立ち」、そしてその遅れてきたスポットライトを取り戻すために足掻く様が、残された「謎」として提示されている。

 自己の生涯に対して幸福の収支決算を貪欲に追い求めること、それ自体は何ら非難されるべき行為ではないが、そこに乾いた焦りのようなものが随伴し、結果としてルサンチマンにまで増大してしまうケースもある。そうなると、周囲への極端な排他性を生み出すのであろうか。

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【お笑い】フタリシズカ・横井ちゃんのキレキレダンスと一途なポジティブ感が素晴らしい。そして相方加賀谷のフィジカルエリート振りのアンバランスさも面白い。

 二度目の緊急事態宣言で、またしても巣篭もりテレワークになりそうな勢いである。年末年始にしてもほぼ出歩くこともなく、インドア生活がまた始まろうとしている。

 そうなるとやはりテレワークへのストレス対策など、インドア生活で何か面白いネタはないかと、ネットで探し始めている。

 そこでたどり着いた年末年始に見つけた「フタリシズカ」という男女コンビが、なかなか面白く、YouTubeチャンネルを見てハマりはじめてきた。

 2021年のナイナイ「ぐるナイおもしろ荘」で準優勝したコンビである。

 ルームシェアしている男女コンビで、しかも、女性の横井ちゃん(横井かりこる)が、男性の加賀谷秀明に片想いをしているという強めのエピソードをもつ。

 コントなどでも、横井ちゃんのダンスなど、その身体表現に「キレ」と「リズム感」があり、「動き」の面白さが非常にある。

 大柄でビジュアルに決して恵まれているわけではない(←失礼)が、動きの面白さとあいまって、ジワジワと可愛く見えて来るから不思議だ。

 男性の加賀谷の方は、歯並びが悪く、ギャルから「お前砂利食ってんのか!」と言われるほどのスマホゲーム好きでインドアオタク系風貌であるが、実際は真逆で日体大卒の陸上部。

 なんと、100m10秒75というタイムを持つというフィジカルエリートなのである。下記の画像(男子400mリレー)では、日体大のアンカーで激走している。

 コントでも突然華麗なジャンプを軽くキメるシーンもある。

 首から下の体型はアスリート、首から上はアンガールズ系というアンバランスさも良い。

 私が今一番気に入っている動画は、以下の「【検証】ハッピーウエディング前ソングでノリで入籍できるのか」である。

 ヤバイTシャツ屋さん「ハッピーウェディング前ソング」に乗せて、横井ちゃんがフラッシュモブ風に勢いだけで入籍を試みるというもの。

 当然、予定調和的に失敗するのであるが、この横井ちゃんのダンスがキレキレで面白い。

https://youtu.be/pUcRqOofvAg

 まだまだ再生回数は少ないが、牧師の娘・横井ちゃんの真っ直ぐで一途なポジティブさに、見ていて安心できるコンビなのである。

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【感想】「めちゃイケ」「はねトび」になれなかった番組–DVD「1ばんふくらむスクラム‼︎」を観た

 2009年の頃を思い出してみる。

 今から11年前である。

 2008年9月のリーマン・ショックは、あの頃の日本経済に大きな影響を及ぼした。特に日本のハイテク産業、いわゆる半導体産業は、このタイミングで大きな地殻変動(いわゆる事業の再構築、要するにハードリストラ)を経験したのである。

 今、この時点でも、あのリーマン・ショックが我々の産業構造にとって一つの分岐点であったと痛感することがある。あの頃を境に、同僚が異動・退職など、自分の身近な生活圏すらも変化したことは紛れもない事実であった。

 そんな中のお笑い状況とはどうだったのであろうか。

 実は個人的にはあまり記憶がない。

 いわゆるバブル崩壊後に社会人生活を開始した私の心の支えは、「ガキの使い」や「めちゃイケ」であった。あの頃のバラエティ・お笑いには確かに同時代感がある。

 しかし、2009年となると、私のようなアラフィフ世代は、やはりキャリアも10年以上経過した状況だったのでめちゃくちゃ忙しく、あまりお笑いを観た記憶というか見る暇がなかった。

 その頃の”最先端”が記憶から欠落しているのである。

 翻って2020年の現時点で、先日記事(【お笑い芸人】ポンコツ風ロジカル芸人・”なかよしビクトリーズ”岡田の巨大な受容力にジワジワきている【岡田を追え‼︎】)にて、なかよしビクトリーズ・岡田に目が止まった。

 そして少しずつ調べていくうちに、2009年にあったバラエティ番組にたどり着いた。

 8年周期と呼ばれるフジテレビのバラエティの黄金パターン。「めちゃイケ」、「はねトビ」に続く「ふくらむスクラム‼︎」「1ばんスクラム‼︎」である。

かまいたち、ニッチェの色物風衣装と比較して、オレンジサンセットはメインで正装である。

 「1ばんスクラム‼︎」では、AKB48の前田敦子もメンバーに加え、まさに王道バラエティの様相であった。

 芸人メンバーは、かまいたち、ニッチェ、ヒカリゴケ、少年少女、しゃもじ、そして、メインキャストとしてオレンジサンセット(岡田、下村)がいた。この”オレンジサンセットの岡田”こそが、現在の”なかよしビクトリーズの岡ちゃん”なのである。

 今回DVDでコントを見たが、普通に面白い。

 ただ、気になる点は、メインキャストであるはずのオレンジサンセットが、完全に”お客さん”扱いなのである。

 下手をすると、アイドル枠の前田敦子と同じような扱いなのである。

 今回のDVDでセレクトされたはずのコントにもほとんど登場してこないかモブキャラで、まるで芸人とは異なる扱いをされているかのようなのだ。

(19歳のオレンジサンセットと前田敦子の絡み。後ろには少年少女)

 そして面白いコントの主軸は、かまいたち、ニッチェ、しゃもじが握っている。

 これは一体どういうことなのであろうか。

 パッケージやオープニングを見る限り、メインはオレンジサンセットなのに。

 当時のメンバー構成と年齢はこうなっている。

 かまいたち 濱家(1983年生)当時26歳

 かまいたち 山内(1981年生)当時28歳

 少年少女 阿部(1982年生)当時27歳

 少年少女 坂口(1980年生)当時29歳

 しゃもじ たーにー(1984年生)当時25歳

 しゃもじ しゅうごパーク(1985年生)当時24歳

 ニッチェ 江上(1984年生)当時25歳

 ニッチェ 近藤(1983年生)当時26歳

 ヒカリゴケ 国沢(1984年生)当時25歳

 ヒカリゴケ 片山(1980年生)当時29歳

 というメンバー。

 それに対してメインキャストのオレンジサンセットはどうだったかというと、

 オレンジサンセット 下村(1990年生)19歳

 オレンジサンセット 岡田(1990年生)19歳

 という未成年でもあり、他のメンバーからの年齢の開きがめちゃくちゃある状況なのである。そしてアマチュア上がりという、完全に”叩き上げ”とは異なるキャリア。

 これはなんとも番組運営上も、苦しい状況であろう。結果としてこうなったというべきか。だが、これはむしろ、本人たちを責めるべきではないと思われる。

 その意味では、元々実力のあったかまいたちやニッチェは、時間はかかったが売れていった。

 だが、一旦持ち上げられ、梯子を外されたようなオレンジサンセットの苦労や挫折、あるいは屈辱感は想像に余りある。一度こうなってからの復活というものは、イメージ的に非常に困難であることも事実であろう。

 だが、今回の「岡田を追え‼︎」によって再ブレイクの兆しは確実に見えてきている。

 私のような2009年を知らない世代、それどころではなかった世代もいるのだ。

 奇跡のような軌跡(ダジャレ)をぜひ見てみたい。

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【お笑い芸人】ポンコツ風ロジカル芸人・”(元)なかよしビクトリーズ”岡田の巨大な受容力にジワジワきている【岡田を追え‼︎】

 フワちゃんはすっかり完全ブレイクである。

 しかも、最近の息の長い芸人特有の、”ハチャメチャに見えるが実は真面目”、あるいは、”無礼に見えるが実は礼儀正しい”という、「裏面はいい人系エピソード」も同時併走しつつ売れており、結構この地位はしばらく盤石な気がする。

 そのフワちゃん周辺から、目に止まってきた漫才コンビ「なかよしビクトリーズ」(2020年10月に解散)のツッコミ担当・岡田康太(岡ちゃん)のYouTube動画がなかなか面白い。

 フワちゃん動画では、先輩なのに髪の毛をドッキリで切られたり、一番先輩なのに勝手に自宅に侵入されたり(宿泊されたり、トランポリンを放置されたり)、先輩なのにフワちゃんイベントの最後で募金箱の代わりに立たされいい感じの物乞いコスプレさせられたりと、完全に弄ばれている。

 岡ちゃんの動画(YouTubeチャンネル「岡田を追え‼︎」)で面白かった動画は、下記の「あべこべ忘年会」。一番先輩にもかかわらず、ひたすら奴隷以下のような扱いを受けている。でも、何か不快感は一切なく、単純に面白い。

 また別のフォーマットでは、3時のヒロイン・福田さんに、とんでもない一方的なビジネスを持ちかけ、ボロクソに罵られ断られ続けるというシリーズもある。

 これもドSの福田さんの下品かつ強烈ツッコミをガッツリ受け止め、ドM系なキャラだがひたすらめげず失礼という、かつての「ガキ使」の傑作・”ヘイポーの謝罪文”シリーズを想起させる。

 実際、見てくれも”シンバルを叩くお猿のおもちゃ”のような感じで、弱弱しく、スベリ系・弄ばれる系に見える。ダチョウ倶楽部・上島、出川哲朗のようなポンコツ系の雰囲気を漂わせる。

 しかし、実際には芸人コンビ”なかよしビクトリーズ”としてはツッコミ、そして福田さんとの以下の動画であるように、意外に内面はロジカルなのである。見た目と違ってお笑い偏差値は高め。ちなみに、ドSの福田さんとの相性も良い。

 岡ちゃんは現在30歳であるが、高校生の時点でM-1甲子園にも出場(地区大会3年連続優勝)しており、デビューは早い。

 芸歴は意外に長く、2009年頃、更に10代後半で次世代枠として地上波T V出演(「1ばんスクラム‼︎」「ふくらむスクラム‼︎」)もあったようで、かつてはプチブレイクをしていた。

 今回、入手したDVDでは人気絶頂の前田敦子の隣でセンターポジションである。

 フジテレビの”8年周期”芸人売出しフォーマットからすると、「めちゃイケ」→「はねトび」と続く王道バラエティ路線の番組センターに位置し、キャラ的にもポスト・岡村の大本命ポジションにもいたはずなのである。

(DVDパッケージにも明らかなポスト「めちゃイケ」「はねトび」が明確化されている)

 しかし、結果的にフェードアウトしてしまう。

 そして周りだけが売れていく状況、更に、相方・下村が腎臓の難病に罹患するという苦労のある状況の中でも、こうして少しずつ存在感を世間に見せてきている。

 交友範囲も広い。

 フワちゃん、かが屋・加賀、トンツカタン・森本、3時のヒロイン・福田、四千頭身・後藤、果てはラッパーchelmico・Mamico、ワタリ119、ZAZY(抱かれそうになっている)という錚々たるエッジの効いた面々(一部違うかな)。

 要するに、自分以外がめちゃくちゃ売れているという、小松左京「日本沈没」に対する筒井康隆「日本以外全部沈没」のような、恐ろしい状態、あるいは情報ハブが一番底辺という、異常な状態ともいえるのだ。

 ただ、これは良い意味で解釈すると、岡ちゃんの”受容力のキャパ”が巨大ということなのであろう。

 YouTubeチャンネル「岡田を追え‼︎」(ちなみにこの‼︎は、「めちゃイケ」になれなかったかつての次世代番組「1ばんスクラム‼︎」「ふくらむスクラム‼︎」のそれと同じである)でも、食に関する緩いトークも面白い。食に対する敏感度、こだわりもあり、知識もある。売れる条件である、コンテンツとしての多様性も十分である。

 なお「岡田を追え‼︎」は主に岡ちゃんの住む港区で家賃37,000円の激安部屋で撮影されることが多い。その周辺部分の補足テキストとしては、以下がある。(ひとり暮らし男子のお部屋拝見!Vol.5 表参道で暮らす「港区男子」の部屋が想像を超えて“東京のオアシス”だった)。

 総合的な印象として、コンビのチャンネル「なかよしビクトリーズ」での相方・下村への見舞いの動画もそうだが、ボケの方が合っているような気もする(ということを書いていて、なかよしビクトリーズのYouTubeを見てたら、2019年のNHK番組「笑けずり」あたりでボケ(下村)・ツッコミ(岡田)への切替をしていた模様←そうなんだ〜)。

 そして本業の漫才は意外に正統派であって、この立ち位置が少々微妙ではある。

 この相方・下村への見舞いの動画であるが、岡ちゃんのくだらないボケ倒したあとの、ラストのメッセージはなかなか泣かせる。

 そろそろブレイクしそうな雰囲気が漂うのである。

 2020年10月追記:GERAのネットラジオ「なかよしビクトリーズのオレンジサンセット」#25の「大事なお知らせ」、相方下村のTwitter、岡田を追え‼︎の生配信によると、コンビ解散するらしい。

 コンビ解散は色々あるだろうで我々には伺いしれないが、岡ちゃんの主張である「今年のM-1とR-1の1回戦敗退」という事実は確かに考えるものがありそうではある。

 「ナイツ塙の上石神井ラジオ#1」で、ナイツ塙が弟子の漫才コンビが今年のM-1の1回戦落ちという事実に対して「恥を知れ、恥を知れよ、恥ずかしいわ」(17:39からのくだり)と半分マジで説教していたことも考え合わせると、当事者にとって、やはり大きな意味を持つのであろう。

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この時代にこそ必要な要素、それはフワちゃん–日めくり「まいにち、フワちゃん」を3冊まとめ買いしてみた

 新型コロナはいよいよ非日常な局面に入りつつある。

 お笑いの巨匠、志村けんの逝去で正直落ち込む。そんな日に届いたamazonの予約注文。

 「まいにち、フワちゃん」3冊である。折角なので自分以外への配布分も含めて事前予約購入していたのだ(忘れてた)。

 

 複数あるとなかなかインパクトもあり、厄除効果もありそうだ。

 同じ八王子出身として頑張ってほしい、と思う。

 真面目な話、今回は東日本大震災の時とは異なり、ひとりひとりの行動が当事者となる状態になっている。つまり自分が感染者になりうる可能性を秘めていることで、他人への関わり方にも社会的責任による制限を受けてしまう。いわゆる「自己責任」論が通用しないのである。リバタリアニズムが通用しないというべきか。

 また、社会的な互恵、いわゆる相互援助のような、他人への援助行為自体が、場合によっては社会的な加害行為になってしまい指弾されるような状況が作られている。個人経営の飲食店が経営に困っているから、そこへ飲みに行くこと自体が、より社会的な意味で加害になるようなシチュエーションになっている。では、個人経営の飲食店はただ黙って社会の犠牲になるべきかのか、と言われる、そうではないという主張らしい。誰もその矛盾を本質的に解決していないのである。

 まさに今そうした矛盾を突きつけられている。それらの矛盾に目を伏せて、個別的な論理整合性のみを語っているように思える。誰も全体としてどうあるべきかを語れない。いや、語ることが倫理的にできないのであろう。要するに「社会的に何を優先的に犠牲にすべきか」を誰も明確に語れない状況になっていると思われる。

 そんな中でこのまいにち日めくりのフワちゃんカレンダーは、救いになるのである。言っている事はしょうもないが、それでも全く有効な言明ができない地上波TVの映像より、余程勇気づけられるのである。

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【感想】DVD「講談師 神田松之丞」–空間支配力と開放的なフラがある芸人

 既に巷の評判になっている講談の若手 神田松之丞のDVD「講談師 神田松之丞」(QUEST)を見たので、その感想を記載したい。

「新世紀講談大全 講談師 神田松之丞」(QUEST)

 先日2018年12月28日のニュースで、なんと9人抜きで2020年の真打昇進が報道されたばかりの、低迷する講談界でついに現れた逸材である。

落語芸術協会は28日、同協会所属の講談師・神田松之丞(まつのじょう)さん(35)が2020年2月に真打ちに昇進することを発表した。

朝日新聞デジタル「注目の講談師・神田松之丞、先輩9人抜きで真打ち昇進へ」

 DVDには3本、「違袖の音吉」「天保水滸伝 鹿島の棒祭り」そして、新作「グレーゾーン」の講談が収められ、その合間に本人へのインタビュー(師匠交え)が収められている。

 舞台での神田松之丞を観ると、まずその熱量、迫力に圧倒される。本人もインタビューで述べているように高座中は汗だくである。これは師匠の神田松鯉が述べているように”芸人としての若さ”の部分であろう。今、この時点(2018年時点で35歳)で、若い男性が珍しくなった講談の世界では、ある意味こうした迫力で推していくことは当然の戦略であろう。

 ただそれを差し引いても、この高座での神田松之丞の持つ雰囲気、場を支配する力は群を抜いていると思う。

 そしてその一方で神田松鯉が正しく指摘しているように、講談が持つ本質的な「重さ」に対して、「軽さ」がある。この「軽さ」は決して悪い意味ではなく、得てして閉じる方向に向かって働く講談の力に抗して、講談以外の世界に開いていく自由さを持つ「軽さ」であると感じた。これは演芸における”フラがある”という独特の雰囲気にも通じる。インタビューで見る限り、外見的には固く、内向的で暗めな雰囲気があるが、高座に立つと何とも言えないおかしみが感じられるのである。

 新作講談「グレーゾーン」については、プロレスの八百長暴露騒動に対するプロレスファンの屈折、さらに大相撲の世界の八百長事件、そして演芸の世界に対する構図を一つの線でつなげ、八百長とガチンコ(真剣勝負)の対立を軸に最終結末には、ある種の感動すら感じさせる。

 その感動とは何か。八百長、ガチンコと言われる二項対立、そして演者(内部)と観客(外部)の二項対立を全て飲み込んだ後に、それらに翻弄される人々たちを”救済”する意思が見えるからではないか。

 どちらが正しい、正しくない、ということではなく、それらを超えたところに実は解答があり、そしてそれらは仮に真実が暴露されてしまった後の過去も否定しないのである。

 私も含め「プロレスは八百長であるか否か」を、かつてプロレスファンの立場から幼稚な形であれ守ってきた。そして、暴露本によってその当時の論理は、ほぼ完全否定されている。しかし、敗戦の焼け野原にあっても、まだかつての自分の思いの一部は焼け残っていないはずだ、と信じてきた部分を救済された気持ちになったのである。

 そしてラストでは、この物語を閉じずに、その後の主人公の物語を予告して”残念ながら時間となりましたので”と終わる。むしろ、その後の主人公の物語こそがメインのストーリーである期待感を持たせながら。

 まさしくこれは講談の特徴であり、落語との差別要素である”物語としての連続性”が効果を挙げている。

「グレーゾーン」はまさに正統な講談の傑作と言えよう。

 

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【速報】ゲラニチョビ復活!

    昨日、ツイッターにてゲラニチョビの復活情報が流れた。今週金曜日6/29には配信がある模様。過去回も復活できそうだ。

   この1ヶ月、ツイッターで「ゲラニチョビ」と検索すると、ファンたちの待ちわびる声が溢れていた。あまり情報が無いなままに、不安を抱えつつも、皆行儀良く待っていたのには感心されられた。

    復活に尽力した関係者の方々には御礼を申し上げたい。いやぁ、良かった。

   取り急ぎ。

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(6/29更新:復活!)ゲラニチョビが視聴できなくなっていた理由【SunSetTVが404 Not Found】

(6/29追記)ようやく再開です。表題を変えました。名作「FUWA」も復活!現在は見れますが、当時の記録として残しておきますので、読む方はご注意ください。

 Aマッソやフワちゃんの話題をいくつか当サイトでも取り上げてきた。

関連記事:【お笑い】ハイブロウな言語感覚の漫才ーAマッソにハマる【ゲラニチョビ】

関連記事:【お笑い】Aマッソ「ゲラニチョビ」繋がりで、超ポジティブ&強メンタル女性芸人「フワちゃん」に到達!【あぁん!】

 今回(5/29時点)、Aマッソの「ゲラニチョビ」を放映していた静岡朝日テレビのインターネットTV局「SunSetTV」から全てのコンテンツが無くなっていることに気づいた。

 SunSetTVにアクセスすると上記のような「404 Not Found」表示が出る(現在は見れます)。

 そればかりかYouTubeのコンテンツも同様に削除されている。

 10万回再生に届く神回「FUWA」も見ることができなくなっているのである。フワちゃんが言うところの「もう!サイアクゥ!」なのである。

 この傑作がもう見れないとは・・・正直まだ信じられない。

 いったい何が起こっているのか。先日財政難という理由で広告収入を狙って、当初のYouTubeから自社サイトへの映像配信転換(独占)を図ろうとしたが、逆にユーザーが離れてしまい撤回して元に戻したばかりであった。

  今回の全削除の経緯が、公式に何か表明されているかと、静岡朝日テレビのサイトを一通りざっと確認したが、不思議なことに特にニュースリリースを出しているわけでもなさそうなのである。

 仕方がないので自力で少し調べると、どうやら以下の事件(日刊スポーツ)が関係あるらしい。

引用開始:

 静岡朝日TV社員、自宅で逮捕 麻薬密輸入した疑い

 静岡中央警察署は23日、麻薬及び向精神薬取締法違反(輸入)の疑いで、静岡朝日テレビ社員の●●●●容疑者(34)を、静岡市内の自宅で逮捕した。

 (中略)

 ●●容疑者は、同社に2006年(平18)に入社。逮捕当時は、編成業務局コンテンツ戦略部に所属していた。

 (以下略)

引用終わり

 記事には実名が掲載されているが、引用者が伏せ字にした。

 事件自体はマスコミ関係者+薬物(密輸)という合わせ技でニュースとしての格が倍付けになっているのか、色々なニュースサイトで普通に記事になっており、結構大きめのニュースになっている。顔写真が出ているサイトもある。ただ今のところ第1報のみで、続報はなさそうである(2018.06.08 続報が出ていた。本記事巻末に追記)。

 どうやらこの社員がSunSetTVの責任者(?)、プロデューサーらしく、おそらく番組中でアダ名で演者から言及されたり、掛け合いしていたりした人のようである。こうなってくると、彼自身の映像なり、声なりがコンテンツの中に色々な形で混入している可能性があり、なかなか今後の対応が難しいことは想像できる(志村けんの過去番組における田代まさし状態であろうか)。とはいえ、告知もなくコンテンツ全削除で放置って、今流行りの危機管理対応としてちょっと如何なものかとも思う。

  上記のYouTubeから自社動画サイトへの転換騒動の背景も、インターネットTV事業の採算性の悪さがトリガーだったはずである。

 霜降り明星へのインタビュー(上記)で言及されていたような。この右の人がひょっとして・・・。

 本社である静岡朝日テレビのSunSetTVへの事業認識として低い評価(要するに不採算事業)だとすると、このまま”渡りに船”的に自然消滅なんてことも無いとはいえなそうだ。いずれにしても公式発表がないのでわからないのだが。

 なんということであろうか。せっかくフワちゃんがプチブレイク兆候が出る寸前だったのに。なんという水差し。とほほ。

 こんな公式からの報告の無い中で、唯一の救いは関係者が色々動いてくれていそうなところである。

https://twitter.com/bakemonofilm/status/999309571993681920

 いちファンとしては、傑作「FUWA」の復活を祈っているが、まだこちらの脳みそも整理できていないのが正直なところである。

 取り急ぎ以上です。

(2018.06.09 追記)

 日刊スポーツから続報(リンク切れ)が出ていた。

 名古屋税関清水税関支署は7日、米国から麻薬を密輸したとして、関税法違反の疑いで元静岡朝日テレビ社員の無職●●●●容疑者(34)を静岡地検に告発した。

 (中略)

 税関によると、約1万5千円で購入したといい「自分で使うためだった」と容疑を認めている。 (中略)

静岡朝日テレビは5月31日付で●●容疑者を懲戒解雇した。(共同)

引用終わり。社内処分は終わったようだが、引き継ぎはどうなっているのであろうか。

2019.03.18 追記

3/12のピエール瀧の逮捕で、何故かこの件蒸し返されている。静岡出身で、静岡朝日テレビでレギュラー番組を持っていたことと、30代からという常習性から、薬物の入手に関して静岡ルートなどという言葉も出て、「ちなみに」という形で、この件も報道されている。でも、これはさすがにもらい事故では。

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