お酒, マンガ

【書評】ラズウェル細木『酒のほそ道』57巻 連載1500回記念回で麗ちゃんが忘れられる

ラズウェル細木『酒のほそ道』57巻を読んだ。今回の巻には連載1,500回の記念企画で、オールスター登場人物が出演して岩間をヨイショする記念回が収録されている。そこには、まさかの「麗ちゃん」が登場しておらず、本当かどうかわからないが作者が忘れていたということで、後に麗ちゃんのみ登場の特別フォーカス回もある。

相変わらず、”酒飲み版島耕作”主人公岩間の妄想系どっちつかずは変わらない。

麗ちゃんにもこのような自分に都合の良い妄想をかます岩間。

しかし、どうして自分が選ぶ側のポジションにいると、何も疑問を持つことなく思えるのだろうか?これがまさしくアルコールの力であって、このような自らに都合のよい世界を現前に創造できる酒の力は偉大だと読者に伝えてくる。

ただ、麗ちゃんのキャラ造形もすごく、オッさんとのサシのみで、こんな台詞がポロっと出てくる親父キラーぶり。やはり只者ではない。こんな台詞直撃されたら、常人ならもう陥落してしまいそうだが。

岩間の結婚にこの巻も結論は出なかった(多分今後も出なそう)。岩間のアルコールチャージ視点では確かにご本人の将来はよりどりみどりで安泰だが、実際には酔っている人間の主観と周囲による客観の視点の違いというものは、ままある。今回のケースをシラフ視点で見た場合、実はこの構図は大きく揺らぐような叙述トリックのどんでん返しがこの先に用意されていることも多少期待する。

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作成者: tankidesurvival

・男性 ・アラフィフ ・技術コンサルタント ・日本国内の出張が多い ・転職を経験している ・中島みゆきが好き ・古本屋が好き