カート・ヴォネガット「スローターハウス5」(ハヤカワ文庫)を読んだ。 この小説の構造としては、常識的な世界解釈とSF的な世界解釈の2通りで読解できる。 そのどちらが正しいかは未確定である。 常識的解釈では、眼科医 …
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【書評】オーウェル「1984年」と連合赤軍における”粛清”の現実
ディストピア小説の古典的傑作ジョージ・オーウェル「1984年」(新庄哲夫訳)を読んだ。 出版は1949年であり、科学技術の継続的発展を前提とした比較的明るい未来を描いた(誤解を恐れずに言うと、楽観的な)SF小説と異な …
【書評】メルヴィル「幽霊船」「バートルビー」は現代性に溢れる上質なホラーと不条理で、普通に面白い
先日読んだメルヴィル「白鯨」の重厚長大さに、いささか食あたり気味になっていたところで、続きとばかりに同じ作者の「幽霊船 他1編」(岩波文庫)を読んでみた。 関連記事: 【書評】メルヴィル「白鯨」とモーム「世界の十大小 …
【書評】メルヴィル「白鯨」とモーム「世界の十大小説」の関係
「バーナード嬢曰く。」2巻で、その長大さに対して、何故かヘミングウェイにとばっちりの怒りがぶつけられている、メルヴィル「白鯨」(岩波文庫版)の阿部知二訳を読んだ。 学生時代にも読んだような記憶があるが、今回の再読で内 …
【書評】J・P・ホーガン「星を継ぐもの」ー仮説形成そのものが小説となっているハードSF
もはやハードSFの古典であり、誰もが認める傑作、J・P・ホーガン「星を継ぐもの」(創元推理文庫)である。 先日再読したが、やはりエキサイティングで面白い。 小説としては、ひとつの「謎」に注目して、それを科学的な視点 …
【書評】ロバート・シェクリー「ロボット文明」ー対称性を持った奇妙なSF小説
ロバート・シェクリー「ロボット文明」(創元推理文庫)を読んだ。原著は1960年出版で、文庫の初版は1965年。この本自体は1970年の第10版である。そして装丁は「武器製造業者」と同様、司修である。 読了後に、どうも …
【書評】アーサー・C・クラーク「地球幼年期の終わり」ー人類の論理で記述できないものを記述すること
SFの古典的傑作として有名な、アーサー・C・クラーク「地球幼年期の終わり」(創元推理文庫版;旧版)を読んだ。 1969年初版、1973年9版の創元推理文庫。装丁は真鍋博で、地球を真っ黒で大きな鳥(鷹であろうか)がひ …
【書評】ヴァン・ヴォークト「武器製造業者」ー70年前の古典でありながら歴史・ファンタジー・恋愛・SF全てが凝縮
最近新版が出版された、ヴァン・ヴォークト「武器製造業者」(創元推理文庫)の旧版を読んだ。 原著の出版は1947年ということで、第二次世界大戦終了後2年しか経っていない。既に70年経過しているSF古典であるが、これがな …
【書評】施川ユウキ「バーナード嬢曰く。」ーセカイ系の構造を持った文化系学生の視る夢
施川ユウキ「バーナード嬢曰く。」(REX COMICS)1巻-4巻を読んだ。 図書室に集う高校生4人による読書ネタのほのぼのマンガであり、SF要素とブッキッシュ要素満載で面白く読める。 読書は個人で閉じている趣味な …
きだみのるが20年過ごした、八王子市恩方「医王寺」の現在
先日所用があって、八王子市恩方にある「医王寺」に行ってきた。圏央道の八王子西インターの近くにある小さなお寺である。 この「医王寺」は曹洞宗の小さなお寺であるが、フランス文学者「きだみのる」(山田吉彦)が戦中・戦後のあ …