先日古本屋で発見した、菊地秀行のデビュー作、1982年発行の「魔界都市〈新宿〉」(朝日ソノラマ)を見つけた。
表紙がなかなかの時代を感じさせるテイストである。
どことなく剣を構えた主人公や立ち向かうヒロインの姿は「スター・ウォーズ」を思わせる雰囲気もある表紙である。
著者自身があとがきで記載しているように、永井豪「バイオレンス・ジャック」のような、大地震によって都市が壊滅した後のアナーキーな「新宿」を舞台に、魔界の要素を入れたホラー+スペクタクル活劇となっており、一気読みである。
デビュー作ではあるが、著者の三人称的な「語り」は上手く、様々な魔界の姿や犯罪者やサイボーグが混在する魔界=新宿の姿を物語性強く描いている。
単純なバトルの連続(それはそれで面白い)だけでなく、物語の縦糸としての「神話的要素」(これは不完全にしか語られない)も、きちんと織り込まれており、サーガ的な読後感もある。