【書評】ラズウェル細木『酒のほそ道』49巻–コロナが「ない」世界線

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「酒のほそ道」最新刊49巻を読んだ。酒飲み的には新型コロナによる緊急事態宣言からの流れで、首都圏の居酒屋は休業だったり、営業しても酒を出せない、制限がある、だったりと、かなり風景やリテラシーが変わっている。

 最近は「電車飲み」のような、通勤電車(帰宅)でキオスクでお酒を購入、車内で飲む、という昔の常磐線上野発で良くあった光景すら通常に見るようになってしまった。

 また都市によってはあえて「酒あります」という看板を掲げて客を誘うが焼き鳥屋など、囚人のジレンマのような様相すら見えている。どうしたものか。悩ましい。

 そんなこのマンガの世界線は実はコロナの影響はない。作者が本書の前書きに述べているように「酒のほそ道の世界には、コロナは存在しない」のである。まあ、キャラクタがマスクをされて飲食するのも味気ないし、マンガの世界くらいコロナを忘れることも「あり」なのである(ただ、羨ましいが)。

 そしてもう一方の注目ポイント、主人公・岩間宗達の恋愛ラブコメの方向性であるが、ここ数巻での動きはない。

 正月に、岩間が松島さんとかすみちゃんとの結婚生活を妄想するシーンや、タラコ唇の課長が相変わらず、松島さんを推す上に、あまつさえ飲み屋の席で2人を前に「いつでも仲人の準備はできてる」という昭和の時代のセクハラ発言をしれっとかますシーンが見どころである。

 コロナのない世界というifだけでなく、恋愛要素的にもそういう意味では超・現実、すなわち別の世界線に突入しているような気がしてきて、もしやSF要素も入ってきたのか?と思うのであった。SF恋愛サラリーマン酒マンガ・・・なかなか味わい深い。

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