ビジネス, 私について

カオスな2022年も終了した…勝負はまだつかず


 激動の2022年も終わりつつある。肉体的にもハードだった。昨年から、職場環境が大きく変わり、”ゼロから1を作り出す”ために目まぐるしく動き続けた1年であった。

 全く新しい出会いもあったし、新たな発見もあった。生活において、クライアントとサーバというか、顧客(お金を出す側)と提供者(お金をもらう側)の複雑さを身をもって学んだ。

 これは単純に言うと、ビジネスを含めた日々の生活の中で「顧客」と「提供者」の関係は固定ではなく、立場によって変化する関係性も持っている、という至極当たり前のことをあらためてしみじみと理解したのである。

 要するにお金の流れ的に「顧客」サイドは常に強いわけであるが、別の側面からは「顧客」ではなく「提供者」になることもある。単純には、我々は時にはお客様ポジションになるし、時にはお客様にモノやサービスを提供するポジションになる、ということである。

 当たり前のことだが、実は大きな組織にいると、このことに気づかないことが多いのだ。

 例えば調達部門にいる限り、常に「顧客」である立場で仕事をし続けることになる。また営業部門にいる限り常に「提供者」であるポジションである。法人を一つの人格と捉えれば当然、モノを買う立場では「顧客」、製品を売る立場では「提供者」となり、場面によってその立場は変わるわけだが、これが団体組織の中にいるとあまり理解できなかったのだ。このことが身に染みて経験できた。

 確かに「後工程はお客様」というフレーズもある。自分は結局実感できていなかったのだな、という反省もある。

 スタートアップの経営者などからは何を今更、という印象だろうが、「経験」で理解することは重要であった。それと同時に「顧客」というものが絶対的ではなく、いわば価値を巡る交渉の上に築かれる変動的な関係だったということも理解できた。要するに「顧客」と「提供者」の関係は、必ずしも王様と奴隷のような絶対的関係ではない(そう考えがちだが)ということも理解できたのだ。

 自らを振り返ると、あまり人前にも出たくないし、見ず知らずの他人と関係を作るのは苦手である。また思考するのは比較的好きだが、情報を集めるのはあまり好きではない。こんな状態であるが、今年1年は必要に迫られて、新しい業界や領域の情報を集め、そうした関係者との人脈を作る必要に迫られた。加えて、いわゆるGive&Takeで言うと、こちらがGiveできるものがない状態であり、交渉において取引材料も少ない。武器もないのに敵の領土を占領してこい、と言われているようなものなのである。

 無課金状態でゲームクリアしなくてはいけないような無理ゲープレイ状態とも言えるが、それでもなんとか今年は生き残ることができた。

 さきにスタートアップという表現を使ったが、まさにスタートアップのような少人数組織がもつ優位性とは、俊敏に分析、開発、意思決定のPDCAサイクルを高速に回すことだと思う。やはり大組織ではこんなことは不可能なのである。それと引き換えに少人数組織では、やはりリソースとしての「人」の問題もある。人材流動が激しいというのも、やはりこうしたサバイバル環境に耐えうる「素質」のようなものがある人間しか、やっていけないという事情もあるのではないか。

 要するに、初期段階というのは、その問題意識が尖っているため味方が増えず団体戦になりにくい。これは生き残るための攻撃力の増強が難しいということである。頻繁に方針も転換しなくてはいけないし、そのためには身軽である必要もある(そもそも方針転換についてこれないメンバーも出てくるはず)。

 なので、初期段階というものはえてして1点突破型の手法になりやすい。繰り返しになるが、壁を破って何か新しい価値を創造するには、既存の状況を「突破」しなくてはいけない。その突破力を高めるためには、尖った問題意識を集中させることだけで”アリのひと穴”を開けるしか手段はない。しかし、これは攻撃が面的にならないのでリソースの活用において効率が悪いという問題を抱えているのだ。

 そこで、来年の目標は攻撃力を上げることである。そのためには自分以外の味方を増やさなくてはいけない。だが、そこには「取引」がある。有形無形の何かを取引することによって、味方も参加してくるのは当然のことである。何を取引すべきか。ここが悩ましいのである。

除夜の鐘 吾が身の奈落 より聞ゆ

山口誓子

  

 

 

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作成者: tankidesurvival

・男性 ・アラフィフ ・技術コンサルタント ・日本国内の出張が多い ・転職を経験している ・中島みゆきが好き ・古本屋が好き