年に1,2回日本橋付近に用事ができ、その度に立ち寄るのが「分身ロボットカフェDAWN ver.β」である。ここはカフェなのであるが、ロボットがたくさんいて、働いている。接客対応の多くが「分身ロボット」で行われているのである。ファミレスで見かける自動で動く配膳ロボットと違い、こちらは別の場所に操縦者がいて注文した料理などを持ってきてくれたり接客をしてくれる。無人ではなく有人のコンセプトのロボットカフェである。

このような人型ロボットが配膳をしてくれるだけでなく、マイクもあり直接リアルタイムに会話もできる。ハンドも動くので、簡単な挨拶などもできる。
操縦は遠隔操作で行われており、ロボットのカメラで操縦者を通じてこちらも見えている。この操縦者は、主に怪我や病気によって身体が不自由でも(例えば寝たきりで体の一部しか動かせなくても)操作できるようなインターフェースになっているらしい(ということを教えてくれた)。

注文でもこのようにロボットが対応できる。待ち時間などでも、小さいロボットが相手をしてくれたりもする。さらには、操縦者一人で複数のロボットをコントロールすることもできるという。
ロボティクスの将来像である”人間の機能の拡張”ができているのである。
こちらはコーヒーをドリップするバリスタロボットで、コーヒーの粉を入れお湯を注ぎ、抽出する一連の精密な作業を遠隔で行なっていた。

ロボットがいるエリアは入場料+飲食代になる(入場料がいらないエリアもある)。今回はケーキのプレートを注文してみた。BARもあり、お酒も飲めるようだ。

ロボットは床に書かれたガイドに沿っても動くし、操縦者が自由に動かすこともできる(と聞いた)。このようなロボット同士が、うまく動線を調整してすり抜ける、ということも行われている。

空間は未来感があり、ロボットの姿をした人間の接客に不十分さもなくむしろ色々な話題も提供してくれる。外国人のお客には外国語で対応することもできるスキルもあり、未来を体感するカフェとして「サービス」や「ホスピタリティ」をまさに提供できている、と感じられた(偉そうな目線で恐縮だが)。また、私のようなコミュ障系だと、フィジカルな人間同士と会話がしづらいのであるが、遠隔でワンクッションあると話がしやすい、というメリットもあることもわかった。
介護ロボットなどにも個人的に興味があり調査しているが、なかなか社会実装は難しい。やはり画像センサ系(見守りカメラ系)や介助系(パワーアシスト系)が中心となり、被介護者自身とフィジカルに接続するようなロボットの答えはまだ見つかっていないように思える。しかし、人は皆平等に老いていくはずで、最終的にはそこに向かうべきなのであろうとも思う。
ロボットを通じて、人間の機能を拡張する、という視点はまさにこれから我々の社会が直面する社会課題の重要な解決手段であり、こうした世界が日常になりうる、という実経験を提供してくれるこの運営と、その意思に賛同し参画する人々のパイオニア精神に感銘を受けた。