黒島伝治「渦巻ける烏の群 他三編」(岩波文庫)を読んだ。表題作「渦巻ける烏の群」は、作者じしんが参加した日本軍の「シベリア出兵」を題材とした、いわゆる”反戦文学”として名高い名作として知られている。 ここに納められた …
カテゴリー: 労働問題
【書評】福田恆存「人間・この劇的なるもの」進歩主義の欺瞞を暴いた”奴隷の思想”の瑕疵と、<部分の中にある全体>概念導入による修正
はじめに 福田恆存「人間・この劇的なるもの」(中公文庫版)を読んだ。1956年、戦後11年経た頃に発表された論争的な書である。 当時の世相状況は、第二次世界大戦敗北後のサンフランシスコ講和条約が成立(1952年)した …
シベリア抑留と強制労働
はじめに 1945年から1956年までの約11年にわたって行われた、ソ連による日本陸軍の捕虜約50万人に及ぶ強制労働、いわゆる「シベリア抑留」を整理した(第1章)。 続いて、いくつかの論点を提示する。 極寒のシベリ …
ビジネスで「ライフハック」を求めて彷徨う人々に、かけるアドバイスが無くて悩ましい
最近、組織の若いメンバーからの相談内容が変化してきた気がする。 何か仕事上の悩みがあったとして、 ○○を実行したら、こんな困難があって、そこをうまく解決するにはどうしたらいいですか? ではなく、 ○○をうまく …
【書評】田嶋雅巳「炭坑美人 闇を灯す女たち」(築地書店)–明治、大正生まれの女性たちが生きた過酷な炭坑労働の聞き書き
最近、笑いを提供するはずの職業の人々に関して、見る人間の気持ちをかき乱すような情報を見たくなくても目にするようになり、いたたまれない気持ちになっている。 そんな中、過酷な炭坑(炭鉱)労働に従事してきた女性の聞き書きを …
【人口ピラミッド】「定年退職の挨拶」ラッシュが起こり始めているような気がする
最近ふと感じたことであるが、以前よりも「定年(退職)の挨拶」メールが届く周期・数が多くなってきたようだ。 特に今年に入ってから、結構怒涛のように来ている。体感的には今まではせいぜい月1程度のペースで受けていたものが、 …
【書評】谷川雁という捉えにくく矛盾を孕んだ存在–「連帯を求めて孤立を恐れず」には”原典が存在する”
全共闘のスローガン「連帯を求めて孤立を恐れず」の出典 今この時代で、ほとんど忘れられている存在となっている谷川雁のことが気になっている。 先日読んだ、松本輝夫「谷川雁 永久工作者の言霊」(平凡社新書)は、複雑で捉えに …
【炭鉱労働】あまりにも過酷な労働と記憶の遺産【書評】
以前の記事:【炭鉱労働】上野英信と山本作兵衛を読んでブラック労働を考える【書評】 に引き続き、 ・真尾悦子『地底の青春 女あと山の記』(ちくまブックス) ・鎌田慧『去るも地獄残るも地獄 三池炭鉱労働者の20年 …
【書評】ビジネスパーソンは競技のプレイヤーなのだろうか:ケン・ブランチャード『社員の力で最高のチームをつくる《新版》1分間エンパワーメント』
今さらながら言うことでもないが、ビジネスは団体戦である。 私自身は個人の力を強く信じる立場のものであるが、団体戦の効果の優越ということは認めざるを得ない。 団体戦には「集団知」というような、個人の能力を単純合算した …
社内ニートおよび社内失業の研究
社内ニート、社内失業という言葉を聞くようになった。 wikipediaでは 社内ニートとは社員としてその企業に在籍しながら、十分な仕事も与えられず、机に座って終日暇をつぶしているものをいう。 と記載されている(要出 …