パトリック・クェンティン「二人の妻を持つ男」(創元推理文庫)を読んだ。 いやあ、めちゃくちゃ面白かった。 ネタバレになりそうなので書きにくいのだが、読者には誰が真犯人かということ以外の「真実」が提示され、その真実を …
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【書評】辻井啓作「独立開業マニュアル これだけは知っといてや」(岩波アクティブ新書)–軽妙な関西弁で書かれた、非常に実際的な独立本!
辻井啓作「独立開業マニュアル これだけは知っといてや」(岩波アクティブ新書)を読んだ。 全編関西弁の語り口で面白く読め、かつ、その中身も2003年発行であるが、古びておらず、著者の実感に基づく役に立つことが書かれてい …
【書評】森時彦+ファシリテーターの道具研究会「ファシリテーターの道具箱」–「天然モノ」のファシリテーターと「養殖モノ」のファシリテーターの区別を考える
森時彦+ファシリテーターの道具研究会「ファシリテーターの道具箱」(ダイヤモンド社)を久々に読み返している。 この本は2008年初版であるが、会議のファシリテートに悩む際に、パラパラと読み返すと、”道具”と呼んでいる様 …
【書評】半藤一利他「昭和陸海軍の失敗 彼らはなぜ国家を破滅の淵に追いやったのか」(文春新書)にみる日本的な組織がおちいる陥穽
「昭和陸海軍の失敗 彼らはなぜ国家を破滅の淵に追いやったのか」(文春新書)を読んだ(文中敬称略)。 文藝春秋に2007年に掲載された座談会を元に編集されたもので、参加者は、半藤一利、秦郁彦、平間洋一、保坂政康、黒野耐 …
【書評】R.バックホート「目撃者の証言は信頼できるか」人間の知覚と記憶がバイアスによって容易に変換されてしまう心理学的実験例
R.バックホート「目撃者の証言は信用できるか」(日経サイエンス社)を読んだ。ワンポイントサイエンスシリーズの1冊であり、平易な日本語で科学解説をしたシリーズである。 著者はニューヨーク州立大学で心理学の研究者。表題の …
【書評】都筑道夫「三重露出」無国籍スパイ活劇と本格推理が同時並行で進み、解決できない謎があと1層残る問題作
都筑道夫「三重露出」(講談社文庫)を読んだ。 終戦直後を舞台としたアメリカ人作者によるスパイ活劇小説である「三重露出」の翻訳(という体裁の文)と、その翻訳者滝口が「三重露出」の登場人物である女性の名前が、かつて本人も …
【書評】岡崎守恭「自民党秘史 過ぎ去りし政治家の面影」”調整型”政治家の裏の一面にある”凄み”
岡崎守恭「自民党秘史 過ぎ去りし政治家の面影」(講談社現代新書)を読んだ。著者は元日経の政治部長を勤めた政治記者であり、55年体制の頃の自民党の政治家たちの”エグい”エピソードを収録している(文中敬称略)。 田中角栄 …
【書評】池田晧「漂民の記録 極限下の人間ドラマ」鎖国体制での過酷な漂流のエピソード
池田晧「漂民の記録 極限下の人間ドラマ」(講談社現代新書)を読んだ。1969年出版であり、現在の講談社現代新書とは装丁がかなり異なっている。カバーもない。また現在はついていない「スピン」(栞紐)がついている。 サバイ …
【書評】斎藤邦雄「シベリア抑留兵よもやま話 極寒凍土を生きぬいた日本兵」–ユーモラスなマンガ風イラストで綴る強制労働の記録
斎藤邦雄「シベリア抑留兵よもやま話 極寒凍土を生きぬいた日本兵」(光人社NF文庫)を読んだ。以前、シベリア抑留の文章を書いた際にも読んでいたが、やはり人によって経験が異なるのか、この体験記からの引用はできなかった。 …
【書評】土門周平ほか「本土決戦 幻の防衛作戦と米軍侵攻計画」–最終防衛としての総力戦による水際作戦
土門周平ほか「本土決戦 幻の防衛作戦と米軍侵攻計画」(光人社NF文庫)を読んだ。 昭和20年4月に沖縄に上陸を許し、太平洋戦争の敗戦が濃厚になってきた段階に、米軍が本州、九州に直接上陸することを想定した防衛作戦「決号 …