【書評】谷川ニコ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』22巻–文化祭の準備期間という最も楽しい時間で青春感が高まる


 谷川ニコ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』22巻を読んだ。今回は文化祭がテーマで、本番ではなく、まさにその準備過程、一番楽しい時期である。

 黒木さんが監督をやり映画を撮影するという、まさにここ最近の求心力がモロに出ている状況である。そして各自の個性も際立ち、今回のエピソードは傑作揃いである。

 結局こうした「設定」に対して、多彩なキャラたちが受け入れ、目標を共有して進んでいく訳であり非常に「青春」である。まあ、とはいえ彼女たちもこのマンガのキャラなので、そういう意味ではその部分は従順なのはあたり前なのだが。

 うっちーの乱入シーン。オーディションで即落とされるというオチ(結局出そうだが)付きである。

 相変わらずの小宮山さんの変態性。

 今回意味深なのは、将来イメージで「シェアハウス」という概念が提示されたことである。これは私の邪推では、作者による読者に対する「今後の展開のリサーチ」のような気がする。確かにこのテーマとしては「美しい」し、時間進行型のこの物語としても長期化可能である。どうなるのであろうか。

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