【書評】施川ユウキ「バーナード嬢曰く。」7巻–図書委員・長谷川さんの感情発露エピソード多めの巻

施川ユウキ「バーナード嬢曰く。」7巻を読んだ。帯にあるように12周年を迎えた模様。すごい。

いつもの4人メンバーの本をめぐる日常であるが、今回は図書委員の長谷川さんのリアクションが結構多いような気がしている。ホームズマニアの控えめな眼鏡っ子で、男性キャラの遠藤を慕っている。

あまり目立たたないキャラ、かつ、舞台回し兼ツッコミ系の役割なので、感情を顕にすることが少ないような気がしていた。

今回は結構、照れてみたり怒ってみたりと感情を発露するシーンが多いようにみえる。

図書委員というのは、成長期のほとばしるエネルギーがあり余って仕方ない高校生が部活に汗を流す放課後に、校舎高階にあるエアコンの効いた図書室の窓から体育会系のエネルギー消費する様子を眺めつつ、同じく自分も食欲だけはあるので内蔵したエネルギーを抱えつつ<本>に向き合い、精神エネルギーを消耗するという立場である(そうなのか?)。

ここにも青春はあるのだが、やはりちょっと汗とか肉体のぶつかり合いはない。

でもお腹は減る。

文化系高校生、かつ、吹奏楽部みたいな情熱もない読書好きというのは、そんな屈折しやすくバランスの悪い青春なのだが、本書ではこの空間を見事に成立させている。同様に窓からサッカー部を眺めていた自分の思い出が過去から照り返してきて、なんとも読後感が甘酸っぱくなるのであった。

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