カテゴリー: SF

SF, 読書, 読書メモ

【書評】機本伸司「神様のパズル」ハードSFでは、作者にとって”天才の先端性”と”大衆への啓蒙性”のジレンマをどうやって解決するかが悩ましい

 2002年の小松左京賞受賞作である機本伸司「神様のパズル」を(今更ながら)読んだ。  本書のメインテーマは、ハードSFの王道とも言える「宇宙を作り出す方法の可能性」という設定。そこに素粒子物理や大型加速器施設などの物理 …

Share
SF, 読書, 読書メモ

【書評】小松左京「召集令状」(角川文庫)小松SFの原点としての戦争体験

 小松左京「召集令状」(角川文庫)を読んだ。  戦後五十周年にあたる1995年(平成7年)の「角川文庫で読む戦後50年」フェアで新たに編まれた、小松の”戦争もの”8編を集めた文庫である。実質的デビュー作「地には平和を」も …

Share
SF, 読書, 読書メモ

【書評】ヴァン・ヴォークト「終点:大宇宙!」-溢れ出る過剰なまでの物語性

 行きつけの古本屋に創元推理文庫のヴァン・ヴォークト作品が並んでおり、未読のものをいくつか入手することができた。100円均一であったが、その中でもちょっと高めの値段(といっても420円であるが)がついていたヴァン・ヴォー …

Share
SF, 読書, 読書メモ

【書評】カート・ヴォネガット「スローターハウス5」ドレスデン爆撃の経験と精神の受動性

 カート・ヴォネガット「スローターハウス5」(ハヤカワ文庫)を読んだ。  この小説の構造としては、常識的な世界解釈とSF的な世界解釈の2通りで読解できる。  そのどちらが正しいかは未確定である。  常識的解釈では、眼科医 …

Share
SF, 読書, 読書メモ

【書評】オーウェル「1984年」と連合赤軍における”粛清”の現実

 ディストピア小説の古典的傑作ジョージ・オーウェル「1984年」(新庄哲夫訳)を読んだ。  出版は1949年であり、科学技術の継続的発展を前提とした比較的明るい未来を描いた(誤解を恐れずに言うと、楽観的な)SF小説と異な …

Share
SF, 読書, 読書メモ

【書評】J・P・ホーガン「星を継ぐもの」ー仮説形成そのものが小説となっているハードSF

 もはやハードSFの古典であり、誰もが認める傑作、J・P・ホーガン「星を継ぐもの」(創元推理文庫)である。  先日再読したが、やはりエキサイティングで面白い。  小説としては、ひとつの「謎」に注目して、それを科学的な視点 …

Share
SF, 読書, 読書メモ

【書評】ロバート・シェクリー「ロボット文明」ー対称性を持った奇妙なSF小説

 ロバート・シェクリー「ロボット文明」(創元推理文庫)を読んだ。原著は1960年出版で、文庫の初版は1965年。この本自体は1970年の第10版である。そして装丁は「武器製造業者」と同様、司修である。  読了後に、どうも …

Share
SF, 読書, 読書メモ

【書評】アーサー・C・クラーク「地球幼年期の終わり」ー人類の論理で記述できないものを記述すること

 SFの古典的傑作として有名な、アーサー・C・クラーク「地球幼年期の終わり」(創元推理文庫版;旧版)を読んだ。   1969年初版、1973年9版の創元推理文庫。装丁は真鍋博で、地球を真っ黒で大きな鳥(鷹であろうか)がひ …

Share
SF, 古本, 読書, 読書メモ

【書評】ヴァン・ヴォークト「武器製造業者」ー70年前の古典でありながら歴史・ファンタジー・恋愛・SF全てが凝縮

 最近新版が出版された、ヴァン・ヴォークト「武器製造業者」(創元推理文庫)の旧版を読んだ。  原著の出版は1947年ということで、第二次世界大戦終了後2年しか経っていない。既に70年経過しているSF古典であるが、これがな …

Share
SF, マンガ, 読書, 読書メモ

【書評】施川ユウキ「バーナード嬢曰く。」ーセカイ系の構造を持った文化系学生の視る夢

 施川ユウキ「バーナード嬢曰く。」(REX COMICS)1巻-4巻を読んだ。  図書室に集う高校生4人による読書ネタのほのぼのマンガであり、SF要素とブッキッシュ要素満載で面白く読める。  読書は個人で閉じている趣味な …

Share