立ち飲み屋に良く行くが、入店が口開けの早い時間に入店することが多いからか、「お客がその店で私一人」の時間が結構ある。
立ち飲み屋というものは、店主一人でやっていることが多いので、結果、”店主と私の無言のタイマン状態”になることがある。
私の注文を処理していない時間では、店主は手持ち無沙汰になるのか、あるいは、単純に一人で無言で飲んでいる私に気を使ってくれるのか、いろいろと話しかけてくるのである。
個人的には食事と同様、一人黙々と飲み食いするのが好きなので(関連記事:【ぼっち飯こそ正義】食事は一人ですることが、人類にとっての正解である(断言))、この会話は結構苦痛なのである。
特にこのように(【オススメ記事】立ち飲み屋ガイド(随時更新中))、各地の立ち飲み屋を巡っていると
「お客さん、ここ初めてですよね?お住まい(あるいはお仕事先)近いんですか?」
という、他愛のない店主からの質問が結構困るのである。
それと言うのも、得てして良くあるのが”その立ち飲み屋が自分のリアル住居からも、リアル職場からも、どう考えても違う場所にある場合”である。
これは説明が面倒くさい。店主もただの雑談で振った会話であり、「なぜ、全く住まいも勤め先からも離れているこの場所に、この人がいるのか」と言う新たな疑問が生まれるとは思ってもいないだろう。ここは面倒を避けるため、うまくすり抜けるしかないのである。
私もそこから更なる質問ループ「どうして、この場所に?」→「なんで知らない場所でこの店を知ったの?」→「何が目的?」などと言う生産性のない方向に展開したくない。
でも正直に答えたらそうなる可能性大なのである。
その場合の対処として、やむなく小さな嘘をつかざるを得ない。
咄嗟に自分の脳みそアプリ「ぼくの通勤案内」を起動して、この立ち飲み屋の最寄駅を通過点とする大きめの2つの駅を検索し、回答するのである。
「住まいはA駅、通勤はB駅で、ここはその途中(ないしは乗り換え駅)なのでふらりと立ち寄った」と言う当たり障りのない回答をするのである。
これでやれやれ納得された、と言う場合もあるが、追撃として「うちの店って快速が通過して、各駅しか止まらないのに、なんでこの駅で降りたんですか?」などという疑問をかまされることもある。その場合には、「いや、混んでいたんでね・・・・、あっ焼き鳥6本!」とごまかすしかない。
何故に飲み屋で小さいとはいえ、嘘をつかなくてははならないのか。ちょっとストレスになる。おまけに酒を飲んでいて次第に酔っ払ってくるので、会話が弾むと次第に辻褄が合わなくなってくる。話の整合性を保つのも、結構理性が必要で、酒で弛緩されるのである。
店主も「つまらなそうに一人で飲んでいるお客」に親切で話しかけてくれているのは理解していて、非常に申し訳無いのである。
そんなことをしていると「早く誰か他の客こないかな」という焦りが生まれてしまい、店主に電話が来たりすると訳もなく安心するという変な状態になる。一種のチキンレースになってしまうと、帰るのも忍びない。もうかれこれ1時間誰も来ない店だと、「今日の売上は大丈夫なのか」とか「さっき頼んだ焼酎の中の量が、その前と比較して5割増しになっているのは、俺に長居をして欲しい感情の現れなのだろうか」といった変な疑心暗鬼に陥ってしまうのだ。
もはや本末転倒である。
私としては、常連と店主が仲良く話をしているのをBGMに、のんびり無口で自分の世界に浸りたいのである。口に出すのは、「(焼きとんを食べたあと)・・・うまい」だけ。これでいいのである。
先日行った角打ちで、こうした問題を解決する先達の姿があった。それは「文庫本を読む」である。これが結構サマになっている。これは自分の世界を構築できており、なかなか良い一人飲みスタイルだと思う。ただ店主とのタイマン状態だと、会話を拒否しているメッセージを発信しているような感じもあり、結構きついかもしれない。
そんなこんなで、1人飲みスタイルは模索中である。
脳内BGMは中島みゆき「ひとり上手」でお願いします。