【感想】Aマッソ DVD「ネタやらかし」ー脳みそが刺激的に揺さぶられる、尖った笑い

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 ようやくAマッソのDVD「ネタやらかし」を視聴できた。単独ライブの映像が基になっているだけあって、やはり地上波TVで見るよりも内容・構成にエッジが効いていて、”尖った”笑いをストイックに追求した感じのコント、漫才が多い。

 ここに収められている作品群を見る限り、単独ライブのコンセプトとしては当たり前だが、笑いとしては大衆的な部分を初めから狙っていないようだ。大衆性からの逸脱具合=”どこまでなら笑いとして踏み込めるか”に対する試行も、このDVDのテーマとしてあったのではないかと思わせる。観る側としては、脳みそが刺激的に揺さぶられる感じがある。

 内容はコント、漫才、リズムネタ、映像作品など多岐に渡っており、内容も一般的な枠内に収まらない”特殊な”(褒め言葉)要素がふんだんに含まれている。

 静岡TVのインターネットTV(めんどくさい説明)であるSunSetTVの「ゲラニチョビ」などだんだんと世の中への露出が広がってきて、今後の展開がすごく期待されるのである。

 以下、含まれている主要映像の寸評を記載する。

注意!ネタバレはしないつもりで記載したが、内容について具体的に記載している部分はあるので、未視聴の方で予備知識を入れたくない方はこの先は読まない方が良いです。

1.「富松」
 ゲラニチョビの神回と呼ばれている#22『FUWA」で後輩フワちゃんが真似したことでもおなじみの”ノーテスターテスター”というリズムネタを含む小説家(加納さん)とお手伝いさん(村上さん)のコント。

 村上さんが歌っているパートでの、加納さんが踵を上げ下げしてリズムを取る仕草が可愛い。このフレーズも加納さんが考え付いたのであろうか。そうだとするともの凄い才能である。コントとしても面白く、”ゴールデンキャッチータイム”などの名言が連発されている。 

2.「ナインセカンド」
 2幕構成のコント。初めのシーンは、単独ライブの舞台裏を見せているようなメタ設定。弁当を大量発注しているのに水は113mlサイズ1本しか発注していないスタッフ(後日気がついたが一人は加納軍団の”まいあんつ”?)にブチギレる二人からスタート。
 そして後半は、1本しかないミニペットボトルの所有を巡って2人で競う「ナインセカンド」というゲームで、プロジェクタを使った異次元なゲームコントに突入する。オチは正直”しょうもない”(褒め言葉)。

3.「マサ」
 小学生に扮する加納さん(似合っている)と謎のアンダーグラウンドな老人”マサ”(村上さん)とのバス停でのコント。
 セットが”もう中学生”チックなチープ感があるなあと思って見ていくと、オチの加納さんの一言に納得。

4.「漫才①」
 よくある系のクイズネタから、だんだんと何故か政治風味が強くなり、政治クイズネタへ展開。クイズの内容で現実の政党名や主義主張を直截的に語り、加えて加納さんのどぎつい批評ツッコミが入る。おそらく地上波TVでは放映できないネタであるが、面白い。

5.「制裁」
 これも2部構成で、長いモノローグ(画面投影のみで演者は登場しない)で少女時代の祖母の思い出を語り、その伏線を受けて社会人になった加納さんが、職場の同僚(村上さん)を”制裁”するよくわからない世界。死者との対話や肉体的な罰を描き、お笑いの非現実感で緩和されているものの、グロテスクな感じで結構怖いネタである。これもなかなかの問題作で、地上波TV放映は無理であろう。

6.「進路相談」
 最も完成度が高いコントで、女性性をあえて女性の立場から批評してみるという高度なネタ。笑いと毒がたっぷりあり、加納さんのハイブロウなセンスが最もよく出ている。弱者としての女性、自分自身を含む女性漫才師の立ち位置など、コントとしてのレイヤーから敢えて逸脱してメタレベルで語ることで、高度な笑いを生み出している。

7.「漫才②」
 Aマッソの漫才ネタとして一番面白いと私が思っている、”毛沢東の嫁か!”のフレーズでお馴染みの
「今までの人生で一番楽しかった思い出ベスト3」のネタ。完成度が高く、ネタとしても面白いのだが、ちょっとだけ加納さんのツッコミが弱めなのが残念。TV地上波では放映されない「iOSのバージョンに関するくだり」が面白い。

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