ようやくだが谷川ニコ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』21巻を読んだ。
前回が10周年の記念巻だったこともあり見所満載であったが、今回は3年生の秋の文化祭からクリスマスまでのエピソードである。カラオケボックスでのクリスマスエピソードは、こうした風景が最近ご無沙汰だったことを改めて思い起こさせる。
相変わらずのリア充路線であり、もはや一匹狼ではなく、群れの中心になってしまっている。主人公もこっちが、むしろメンバー内の辺境感たっぷりなマージナルなキャラ(うっちー、ゆりちゃん、小宮山さん)の方へのツッコミ役になってしまっている。
そんなこともあり、もこっち自身も「キャラ薄」を自覚し始めている模様。
うーんこの調子で良いのだろうか。とはいえ、翻って我々のリアルな世界では、新型コロナの環境下で2年間くらいは”こうした学生生活が存在しなかった”のも事実。こうした密な世界空間に訴求される部分もあるのかもしれない(といいつつ、二郎系ラーメンへ行ったエピソードではカウンターに仕切りはあったが)。
コロナによるステイホーム&リモート環境により、”ぼっち”にとっては実は最も適正のある生活環境になっていたはずだ。しかし、作品世界にそれを導入しても、という葛藤もありそうである。そうした中でこの作品は「コロナなき世界」に進んでいくようだが、もう一つの世界線である”アフターコロナとぼっち”の世界も見たかったような気もする。
前回記事:【書評】谷川ニコ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』20巻–真の”ぼっち”であるキバ子がメインの、10周年で原点回帰した傑作巻!