門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日」(PHP)を読んだ。(文中敬称略) 福島第一原発事故において、事故発生から現在に至るまで次第に情報が出てきたものの、現場の最前線の声というものはあまり明らか …
カテゴリー: 読書メモ
【書評】河野啓「デス・ゾーン 栗木史多のエベレスト劇場」–「自己実現」と「大衆からの承認」のサイクルの中で泳ぎ続けないと死んでしまう”マグロ”になった人間の悲劇
2020年の開高健ノンフィクション賞を受賞した河野啓「デス・ゾーン 栗木史多のエベレスト劇場」(集英社)を読んだ。(文中敬称略) ネット界隈で登山家ならぬ「下山家」と揶揄され、エベレストで最終的に命を落とした栗木史多 …
【書評】筒井康隆「川のほとり」(新潮2021年2月号)–生き残ってしまった老父・筒井の哀しみが伝わる感動作
一部で話題となった筒井康隆の小説「川のほとり」(新潮2021年2月号掲載)を読んだ。 筒井の「腹立半分日記」などでも頻繁に登場していた一人息子である「伸輔」–筒井伸輔が食道癌で51歳の若さで亡くなったこと …
【書評】ラズウェル細木『酒のほそ道』48巻–このところのラブコメ路線からの一時休戦で、オヤジ的には安心な一冊
新型コロナもあって酒飲みクラスタもなかなか活動が難しい。 そんな中で、ラズウェル細木『酒のほそ道』48巻を読んだ。 コロナの状況で飲み屋のような飛沫拡散上等のようなこともできず、かといって超高精度のグルメ漫画に持っ …
【書評】川田利明「開業から3年以内に8割が潰れるラーメン屋を失敗を重ねながら10年も続けてきたプロレスラーが伝える「してはいけない」逆説ビジネス学」–不器用をブランディングした器用なレスラーの、やはり不器用な生き方に痺れる
先日読んだ吉田豪のインタビュー集「超人間コク宝」(コアマガジン)で、プロレスラー川田利明との対談を読んだ。 プロレスラーをセミリタイヤした後、現在成城学園前駅でラーメン屋のような居酒屋のような少々迷走した店を経営して …
【書評】平井和正「超革命的中学生集団」50年前のSFスラップスティック小説で、楽屋落ちやギャグ連発でも古びてない凄さ
先日行きつけの古本屋で見つけた、平井和正「超革命的中学生集団」(角川文庫)を105円で入手。カバーはなかった。前から読みたいと思っていた作品である。 初出は1970年。もはや50年前の作品。そして内容は、ジュブナイル …
【書評】山田正紀「チョウたちの時間」–文学的・哲学的・科学的に重厚なテーマ《時間》を語りつくす、SFの力強さを感じる傑作!
山田正紀「チョウたちの時間」を読んだ。 初出は1979年。これは角川文庫の1980年の初版。装頓は横尾和則である。 山田正紀のSFの真骨頂であり、「時間」という重厚なテーマに対して、”表現できないものを表 …
【書評】山田正紀「氷雨」–どうしようもない”孤独感”が際立つサスペンス
山田正紀「氷雨」(ハルキ文庫)を読んだ。 ミステリ形式であるが、むしろ挫折した男が孤立無援の逆境の中で、ひき逃げにより交通事故死した前の妻子の死因の謎を解き明かしていく疾走感のあるサスペンスである。 とにかくこの主 …
トキワ荘マンガ家のリーダー・寺田ヒロオのこと:人格者のイメージと茅ヶ崎の家での隠遁と
藤子不二雄Aの名作「まんが道」でも描かれていたが、マンガ家たちの楽園「トキワ荘」でリーダー格であった寺田ヒロオの印象は大きいものがあった。 NHKドラマで演じた河島英五のイメージと同様、頼もしい兄貴分としての存在感が …
【書評】山田正紀「花面祭 MASQUERADE」華道を舞台にした、ハッピーエンドを許さない連環的な読後感を持つ本格ミステリ
山田正紀「花面祭 MASQUERADE」(講談社文庫)を読んだ。 華道を舞台にしたミステリであり、4人の若い女性華道師範による、秘伝の花”しきの花”をめぐる謎解きを縦糸にしながら、過去にこの流派で起こった”事件”をめ …