藤沢秀行という既に物故者となった囲碁棋士がいて、アル中にしてギャンブル中毒、外に女性を囲い子供を作り帰ってこない(書籍などでは3年も!)。それでいて囲碁は恐ろしく強いという、まさに無頼派の棋士だった。
藤沢秀行『勝負と芸 わが囲碁の道』(岩波新書)
藤沢モト『勝負師の妻 囲碁棋士・藤沢秀行との五十年』(角川oneテーマ21)
を連続して読んで、改めてその生活の凄絶さに驚かされた。
特に妻のモトの著書では、金銭感覚もなく、女にだらしなく、本妻のことを顧みない(家に金を入れないので妻が生活費を内職で稼ぎ、最後は家を売られてしまう)悪い生活者としての藤沢秀行の姿が描かれる。
結局、外の女性たちは藤沢秀行の最期を面倒見ることができず、老境にして藤沢秀行は本妻の所に帰ってくるのだが、まさに生活者としては完全に”悪人”だ。
本妻の息子たちは、本気モードでこんな父親を嫌悪しているような記述があり、囲碁の強さ、またその面倒見の良さといった囲碁界への功績と、生活者としての罪悪は、果たして合計してトータルこれこれと清算できるものなのだろうか?という思いを持った。
藤沢秀行はギャンプルが好きで、特に競輪が好きだったらしい。
前掲の岩波新書にも、わざわざご丁寧に、立川競輪で博打を打っている写真が載っている。
だいたい、囲碁の本に何で競輪新聞を持って予想している写真が必要なのか謎である。
そのエピソードでこんなものがある。以下、wikipediaから引用する。
京王閣競輪場で250万円の車券を1点買いしたが惜しくも外れ、観戦していた決勝線付近の金網を強く握りすぎて菱形にひしゃげてしまい、「秀行引き寄せの金網」として京王閣競輪場の名所になった
ー引用終わり
私もギャンプルはそこそこ好きで、競輪は人間がその対象なので競馬よりも好きだ(というか競馬は馬の感情がわからないので好きじゃない)。
京王閣競輪は比較的家から近く、何度も足を運んだことがあるが、「秀行引き寄せの金網」というのは初めて知った。wikipediaの引用では読売新聞の記事と将棋棋士芹澤博文(この人も無頼派)の著書があるが、これ以外に少しネットで調べて見ても、その写真などは見当たらない。今でもあるのだろうか?
本日から京王閣競輪がナイター開催しているので、「秀行引き寄せの金網」を探しに行ってみることにした。
次回に続きます。