できない言訳だけが上手くなって

仕事はどうしても景気に左右される宿命にある。

設備投資は景気を測るバロメーターのようで、どうしても景気が悪く自社の経営数値が悪いときには、設備投資などは減価償却費の枠内に抑えて、といった形で縮小することになりがちだ。

ただ、将来に向けての投資については、景気や自社の経営とは無関係に「やるべきときに速やかにやる」という意思決定が必要なのではないかと思う。

近頃は昔より、景気や顧客の判断が急激に変化するようになった気がする。突然、生産計画を急激に変化させることが求められるようになったり、急に品種を切り替えてみたりと。

内部の生産性が旧態然としたまま、急激に増産が必要になって追いつかず、思うような成果が得られないことがある。折角の生産量増大なのに、うまく生産性が上がらず、成果の刈り取りができない。機会損失にもつながる。まずい。どうしてこんなチャンスに利益があげられないんだ・・・。

そんな場合の言訳として、”忙しくて改善に手が回らない”というものがある。

でも、こういう言訳はあまり信用できない。

なぜなら、この手の安易な言訳をする人は、逆に暇だった時期には、”お金がないので改善に手が回らない”という言い訳をしているはずだからだ。

-暇なときはお金がないからできない

-忙しいときは人がいないからできない

なんのことはない、どのみちやる気がないということを吐露しているに過ぎないのだ。


「で、こんな訳のわからないレポートを読ませて、何が言いたい訳?」

私「だから、今説明したでしょう。給料が少ないとか、家計が厳しいとか、そんな外部環境は言い訳にならなくて、やりたい時がやり時ってこと。だから、買っていい?一眼レフ」

「却下」

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面白い科学:「覆水盆に返る?」ーそんな液体がある!

本日紹介するのは、「覆水盆に返らず」ならぬ、「覆水盆に返る液体」について。

本日の論文

(1)岡小天「生物流体物理」日本物理学会誌.23(1968)p.828-837

著者はレオロジーの理論物理学者。シュレーディンガーの『生命とは何か』(岩波新書)の翻訳者でもある。

レオロジーとは複雑な液体や固体(例えばマヨネーズや歯磨き粉のようなネバネバしたりねっとりしたりするものとか)を対象として、その流動や変形を取り扱うジャンルである。

この具体的対象としては生物などに多く存在し、こうした”流れ”は通常の液体(例えば空気とか水とか)の範疇としては捉えきれない。

この論文(紹介記事か)でも、そうした例として

・ 細胞原形質の流動

・アメーバや白血球の運動

・血液、リンパ液の流れ

・関節液

・気管支分泌液

・眼の中の前眼房水

・カイコの絹糸、クモの巣の原料となるタンパク溶液

・ヤツメウナギの表皮分泌液

・植物内の樹液の流動

などが挙げられている。

それぞれ興味深いが、その中でも、著者自身がその文章で「覆水盆に返るである」と紹介する粘弾性液体がある。

パラフィンを主要液として、5%アルミニウムラウリン酸と1.5%のキシレノールからなる液体は、弾性(ワンピースのルフィみたいにゴムのように伸び縮みする性質)が強い液体だそうだ。

その様子を示した写真が掲載されており、コトバで説明すると、

①ビーカーからお皿に液体を注いでいる

②その途中に、ビーカーとお皿の間にある液体をハサミで切る

③すると、切られた残りはまだビーカーとつながっているが、お皿の上にある

④しかし、その残りの液体は落下せず、バネのようにビーカーの中に飛び上がってビヨーンと戻る。

日本語で説明したのでわかりにくくてすいません。原論文にはその動きがわかる写真がある(文献(1)の第13図)ので、興味がある方は参照されたい。

 

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