【年度末】この時期に、一つの電話番号を眺めながら

出会いと別れのシーズンである。

特に別れはいつになってもセンチメンタルになってしまう(バラを咥えて窓辺ではらはらと泣きながら)。

今、私の目の前には1つの電話番号があって、今日一日結局この番号にかけることができなかったのである。

別の会社にいる知合いで、彼が退職するという(転職)。その退職挨拶がすれ違ってしまった。やはり電話で挨拶したかったのだが、もう有給消化に入ってしまったとのこと。

もう会社にかけても連絡はできない。

ということで、挨拶メールに記載の携帯電話番号にかけようとして、そのまま、今日一日悩んでしまった。

 

何を悩んでいたのか。

 

急に、その電話番号の持つ、かつては確かであったはずの関係性が、陽炎のようにユラユラ揺れて不確かになってきたような気がしている。

会社の用件であれば、比較的時間帯はこだわらず、どうもどうも申し訳ないね、今何してたの?ゴメン、ちょっといいかな、みたいな感じでかけられる。向こうが仮に酔ってたとしても、なんとなく仕事を理由にして、話せそうだ。

しかし、今の彼との関係性には、仕事の繋がりは薄い。何故ならその会社を辞めるわけで。でも、電話をする理由は、確かに仕事関係でスタートした人間関係が根拠だから、それが無くなるという目的で、電話をかける理由にはなりそうだ。

でも、今の会社を辞めてしまうことで、関係性は少し揺らいでいるのも確かだ。特に酔っている時に電話したら、まずいんじゃないかとも思う。

ただ、わざわざ電話で話したいと私がこうして思っているということは、私はその人との関係に、仕事ではなく、対人間、つまり彼個人との関係、いわば友情のようなものを認め、これからもそれを維持したいと思っているに違いない。…自分の感情なのに、何でこんなに理屈が必要なんだろうか。

・・・まあ、よろしい。

とにかく私は電話をしたい訳で、屁理屈こねていても何も進展しないのだ。

・・・といいつつ、

午前中は休みなんだから寝てるかもしれない、と判断し保留。

昼には、今は春休みだし、家族で団欒しているだろうから、という理由で保留。

午後には、もしかしたら久々の休みで外出していて電話とりにくいかも、と推察して保留。

5時くらいになったら、ひょっとしたら折角の休みだしもう酒を飲み始めてるかも、だとしたらその平穏を邪魔してはいけないという遠慮で本日終了、となった。

「日本全国酒飲み音頭」じゃあるまいし、このままでは、この”病んでるロジック”により、私は永久に電話できない。ソリューションはないのか。いい年して。

2つ解決策を考えた。

案1. SMSで、私だけど今から電話してもいい?と許可をもとめる

案2. 黙って適当な時間(真夜中は避けるべきであろう)に電話してサクッと喋って切る

案1は、そこまでするのは気のつかいすぎだろうとも思う。

でも、私の電話番号を相手が知らない場合、まず知らない番号からはとらないだろう。だとしたら、ますます、今から電話するのは私ですけど、という前振りは必要だ。そもそも私の電話番号を知っているかどうかもわからない。そういや、あまり携帯からはかけてなかったなあ、会社電話からはかけたけど、じゃあ、個人携帯同士の電話番号交換してないかもなあ、ということに思い至った。

つまり案2はもしかすると、向こうが出ないパターンがあるかもしれない。とすると、解決策は案1しかない。

じゃあ二段構えでSMSからの電話コンボが最適解ということでよろしいか。誰に確認しているのか。

でもなあ…(四つ葉のクローバーを探しながら現実逃避)

2017.03.30 追記

あれから逡巡を繰り返し、ようやく電話した。あれだけ検討して、案2で。

話ができた。心残りの部分も正直に伝えることができ、非常に嬉しい。

 

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