ビジネス, プロレス

ジャイアント馬場のビジネスパーソンへの教えー出張続きで疲れている自分に捧げる


国内の日帰り出張が多い。色々な場所へ足を運んで(一人が多い)打合せをしたり、調整をしたり、折衝をしたり、話をつないだりしている。

住まいは東京なので、基本的に新幹線か飛行機を使って、比較的日帰りが可能になってしまう。

やはり悩みは移動中の車内やその待ち時間など。

移動を除く外出先に到着した後に進める仕事は”正味の仕事”であり、これはいいとして、”無駄な”移動時間をどう使うか?は悩みのタネだった。

一人で行動していることが多いので会話する相手もいないが、もともと道中一緒に行動するのが嫌いなのでこれは選択肢に入らない(複数人の場合には、基本的に現地集合・現地解散にしている)。

行きに関しては、事前に資料を見てイメトレなどの準備などをすれば、とも思っていた時期もあったが、ある程度慣れてくるとそうした、直前のインプットが情報過剰になってしまい逆に失敗する場合もあることがわかってきた。要するに適度な情報量でいけるようになる(別に自慢しているのではなく、慣れると誰でもそうなる)。さらに車中などで資料を広げること自体も、情報漏えいというほどではないが、あまり周囲にパワポのドン!とした大型活字を見せたくないし恥ずかしい。

帰りは、まあ、基本的には疲れているし夜なので駅弁で一杯ということで良いが、以前は私も意識高い系の感じで、移動中の時間を有効に使うべくガジェットを集めようとしたこともあった。帰りの新幹線でノートパソコンやポメラで議事メモをすぐさま作成、なんて。ノマドワークも興味があったのでそうした観点での、移動時間の業務化も考えて見たことがある。

しかしながらそれも今は諦めた。要するに隙間時間を効率で埋めることに疲れてきたのである。

やる気になればそうした隙間時間を埋められるし、自分の生産性を上げられるのもわかっている。私が生産性を上げれば、それは全体にとっても意味があるはずだ。

しかしながらそれも今は諦めた(2度目)。疲れてきたのである(2度目)。

ノマドワーカーのガジェットを見るのは楽しいが、実際に実行すると非常に疲れる(3度目)。そもそもの移動自体が私にとっては疲れる(4度目)。できれば自分の机が一番ストレスがない。ここで仕事をしていたい。

ノマドの人々は移動することをあまり負担とは思わず、むしろ旅のように捉えているようだが、私個人としては移動すること自体がストレスなのである。もちろん私の性格の問題で、向いていないのである。

移動がストレスだというのは、自分で決めていないからだと思う。そもそも移動していること自体が、相手の都合に自分が合わせている。自分のエゴだけで言えば、先方からこちらに来れば、その分私は移動時間がなくなるので正味の仕事の時間が増えるのである(注1) 。だからそうしたい。でもそうならないのは何故か。

トータルで考えて、先方が来ずに私が移動する方が、費用対効果が高いからである。

向こうがこちらに来ることによるコスト、機会損失と比較して、私が一人で移動した方が費用対効果で有利だからだ。それは私も納得している。だから、行くのである。しかし、疲れるのである(5度目)。

単純に言えば向こうが大人数だし、そもそもの議題がその現場だったりすれば、こちらが行くのが当然だ。

ただし、自分の生産性だけを考えた場合、自分が相手側の都合に合わせるのではなく、相手側を自分の都合に合わせる方が絶対に良い。虫が良すぎることは承知だが。

相手との力関係や地位のことを考慮に入れる必要があるが、私が見た中で優秀な人−限られた時間の中で他者より優れた質・量のアウトプットを出せる人−は、交渉フェーズで相手を無意識的に自分の都合に引き込んでいたことが多い。つまり、知らず知らずにこちらが相手のスケジュールに合わせているのである。そして、そうした人は驚くほどのマルチタスクをこなしていた。

つまり、仕事自体の処理能力に加え、相手を自分の土俵(都合)に引き込む力(オーラや雰囲気も含め)を持っていたと思う。

私が好きなプロレスで例えると、ジャイアント馬場は後継者と目していたジャンボ鶴田に、プロレスにおける帝王学を伝授していた。これは必殺技を教えたのではなく、相手に対して優位に見せる技術であった。

ジャンボ鶴田と長州力の60分シングルマッチで鶴田はそれを実行し、結果は60分フルタイム戦った末に両者引き分けであった。しかし、その試合内容が観客にジャンボ鶴田の強さ、格上さを強く意識させられたものとして知られている。

私も当時TVで試合中継を見てショックだった(注2)。当時は長州の方が人気があり、鶴田自身もあまり強さを前面に出していないこともあり「長州が勝つ、勝たないまでも圧倒する」と思っていたが、後半になると次第に長州が攻め込まれるシーンが多くなり、終わってみると鶴田の強さを認めざるを得ない結果になった。

wikipeda ジャンボ鶴田から引用

 リング中央でどっしりと構え、自身の周りを長州が動き回るようにファイトする(中略)。

  これは馬場がエース候補生たちに必ず教えていた心構えであり、また、自分が格上のレスラーであると印象付けられる上にスタミナの消費も少ないという効果を狙ったもの

—引用終わり

リング中央に留まる鶴田。長州はその周りを回り始める。惑星と衛星のような動きであり、中央と周縁のようなシンボリックなイメージすら想起される。

自分のペース、時間軸に相手を引き込む。こうした”惑星”になるためにはどうしたら良いか。椅子に座ってクルクル回りながら今日も考えている。


注1:テレビ会議とか電話会議とかSkypeといった手段があることは承知の上で(必要に応じてやっている)、ツールが進化してきたがFace to Faceが必要な場合も未だに結構あると思う。やはり迫力や雰囲気は画面越しでは伝わらないのだろうか。

注2:プロレスについてのミスター高橋的な話は当然知っている(その後知った)が、そのことは今は語りたくない。

 

 

Share

作成者: tankidesurvival

・男性 ・アラフィフ ・技術コンサルタント ・日本国内の出張が多い ・転職を経験している ・中島みゆきが好き ・古本屋が好き