【ご当地グルメ】喉越しの”柔”ではなく、硬さの”剛”を独自に追求する”吉田のうどん”の特異性を愛する【うどん】

山梨県富士吉田市近辺の郷土料理に「吉田のうどん」がある。同じ地方の郷土料理「ほうとう」は比較的有名であるにもかかわらず、この「吉田のうどん」は、あまり全国区的な知名度を持っていない。

四国の讃岐うどんは長くブームを起こしているが、富士吉田の「吉田のうどん」も、それだけのポテンシャルはあると思う。しかし、あまりメジャーになっていない。

何故だろうか。

「吉田のうどん」の持つ、ちょっと変わった特徴ゆえであろうか。

「吉田のうどん」には、通常うどんの旨さの表現として持つ「喉越し」とは異次元の「こわさ」という概念がある。とにかく硬くて太い麺なのである。

顎への反力というか、徹底的に剪断応力に(何故か)拘った麺の硬さを持っているのだ。こうした特殊なうどんであるが、別に食べにくい訳ではない。

確かにツルツルシコシコではなく、硬い麺をひたすらガシガシと汗だくになって食べている。でも気がつくと何だか中毒性が出てくるのである。

最初の1回目は確かに、何これ?という感想なのである。

見た目からして、麺は極太で短く、かつ断面は四角である。最初はすいとん?あるいは小麦粉のカタマリ?と錯覚するくらいの硬さと剛性なのである。

しかし、繰り返すが、何故か中毒性がある。しかも安価で一杯300円くらい。店構えも普通の家のような佇まいで、山梨県の民家の一室で提供されるような、商売気のなさ。民家の一室から、スナックのような飲み屋風まで多様にあり、富士吉田周辺に沢山あるのだ。

あくまで日常に根付いているからか、営業時間も平日の昼だけ、というスタイルが多い。それでも地元民はどこからともなく昼過ぎには有名店に集い、私のような中毒者は先日の台風の中、高速を飛ばしてまで食べにくるのである。

硬い麺、醤油と味噌のスープ、茹でキャベツ、そして各店でオリジナルの薬味(唐辛子とラー油でできている)。あまり他のうどんと比べることができず、例えようがない。そして店によって微妙に異なる味。

小麦粉の塊のくせに、胃袋に優しいのか、何故か量もイケるのである。私は今やオーダーが、冷やしたぬきの大盛→肉うどん→かけうどんという、一回の食事でうどん3杯がイケる体になってしまった。

もともとは一杯だけだったのだが、以前同席していた(吉田のうどんでは相席が当たり前である)明らかに近所から来ている地元老人のまさかの三杯目おかわりを目の当たりににして、試してみたら、あっさりいけた。

最近は多摩地区のスーパーでも、吉田のうどんを見かけるようになり、家庭でも食べられるようになってきた。でも、やはり本場を食べたくなる。

数年前に河口湖周辺に仕事で滞在した際には、吉田うどんマップを片手に、クルマでひたすら店を探して朝昼晩と食べ比べをした。このマップでは富士吉田市中心だが、実際には河口湖町周辺にも広がっている。

先日の台風のなか、道の駅富士吉田では、フードコートに吉田うどんがあり、また地元特産品売場でもコーナーができていた。

吉田のうどんコーナーである。ここでしか買えないものもあり非常にテンションが上がってくる。麺だけでなく、数種類の薬味やめんつゆもある。

観光客向けや他県向けに保存性の高い、カップ麺も推している模様であるが、これはやはり再現性がいまいちで本質的でなく、生麺がベストである。

観光パンフレットの中にあった「吉田のうどん」のパンフ。懐かしい。

開くと、吉田のうどんマップが。しかもこれはまだ一部なのである。ちなみに全店制覇すると「マイスター」になるらしい。

”剛”よく”柔”を制すで、是非「吉田のうどん」にはメジャーになって欲しい。

正直テンションが上がるうどんなのである。ここからエンジンがかかり、今回の富士吉田訪問では2店訪問し3杯食べたので、次回以降紹介していきたい。

参考(外部リンク):富士吉田観光 富士吉田ってこんなトコ! 富士吉田市の名物 吉田のうどん

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