お祭りもすっかり終わり(関連記事)、平穏な生活に戻りつつある(しみじみと)。
しかし周辺の町内会ではまだ個別に祭りをやっており、毎週土日にはどこかで夏祭りと盆踊りの音が聞こえてくる。
少し前の土曜日、駅前で隣町のお祭りの準備をしているのを目撃した。我が町内会と同程度の規模ではあり、同様にテキ屋は出ず、町内会の役員で切り盛りしているようだ。
「大変だなあ」と思いつつ、横目で見る。
しかし、その祭りには、我々とは異なる条件が一つだけあった。
それは、ゲリラ豪雨である。
用を済ませ、帰宅途中に、その祭りの付近を再び通りがかると、祭りは中止にならず、やっていた。
ゲリラ豪雨は止んだものの、依然として傘が必要でないと歩けない雨降りである。
テントの中には人気があるが、出店に近づく人はいない。要するに、閑散とした雰囲気の中で、スピーカーから祭囃子の音だけが虚しく広場に響き渡る。出店の中の人たちは、死んだような目で時間が過ぎていくのをただ待っているかのようだ。
よく見ると、奥の方で焼きそばの屋台が。同じ宿命を持った人間として、傘を差しながら、ちょろっと近づく。
オッさんが二人で汗だくで、ひたすら焼きそばを焼いていた。懐かしい光景であるが、近づく客はいない。
多分昼間に仕込んだ分はゲリラ豪雨を想定していないはずで、材料を焼き切らねばならなくなっているはずだ。
しかし客足は明らかに来ない。
売れ残りを半ば覚悟しつつも、運命として焼きそばを焼く男たちの哀愁に、たまらず焼きそば2皿(200円×2)を購入した。
地獄で仏を見たかのような表情で、喜ぶ男たち。いや、そんなに喜ばれても。心の中で同志として「わかるぞ、その気持ち」と思いつつ、口には出さず。
帰宅して焼きそばを食べてみた。
水気が多くて、お世辞にも「うまい」とは言えない。というか、あまり箸が進んでいかない。ソバは水っぽく、野菜の焼きも足りないし、ソースも中途半端にしか混じっていない。あからさまに投げやりな感じが反映している。しかし、その一方で町内会の男たちの無念の涙が詰まっているようで、味の素の力を最大限に借りることにより、ようやく完食することができたのだった。
写真はプロのテキ屋による焼きそば。
素人の価格の倍の400円であるが、ソバはパリッとしていてうまい。さすがプロの技。やはり素人は無理をしてはいけない(身も蓋もない結論)。