【書評】川原泉の新刊『バーナム効果であるあるがある』を読んだ

川原先生の6年ぶりの新刊が出たので、早速読んでみた(湯河原温泉旅館で)。

関連記事:『美貌の果実』で男子のココロを鷲掴みした川原泉の今の絵が”硬く”なってしまったような気がする

上記記事でコメントしたような、絵柄の硬質化=教条主義は残念ながら変わっていない。

また、川原先生の、”間違った楽屋落ち”の傾向も相変わらずそのままのようである。

川原先生のマンガのコンテクストには、何層もの地層のように形成されている”レイヤー”があるように思える。

①物語のレイヤー:これは完全な創作された物語の本筋

②なんちゃってレイヤー:今回の火星人グレイのような、創作のレベルではあるが、シリアスでは決してなく、おふざけに近いレベルの物語の筋。川原先生の自己韜晦や照れの部分の反映として現れる

③物語上の作者のレイヤー:カーラ君、友人Mのような川原先生自身のいわゆる楽屋落ちのレイヤー

④リアルな川原先生自身のレイヤー:ここは、川原先生が持っている人生体験や心理傾向、父性思考、ブラコン的な精神性の領域

これまで①と④の領域を往還する形で傑作を描いて来た川原先生が、②や③のレイヤーを作品世界に交通させたことは、一見無関係のように思えるが、前回記事で記載した絵柄の硬化傾向と相関があると思う。

今回の『バーナム効果であるあるがある』は、②のコンテクストとの連絡通路が多く描かれ、①の筋にノイズとして混入してしまう。正直言って、絵柄の硬質に加えて、物語として共感ができないのであった。

①の物語の主役たる二人も、そのキャラである必然性があまりない(バレーボール部のエピソードはそもそも関係あったのだろうか)。

川原先生と共に歩んでいるオッさんとしては、川原先生の真骨頂である①と④路線を往還する徹底した物語を読みたいと切に願うのである。

Share

再び湯河原温泉へ行くも、大渋滞(泣)、宿で「純米吟醸 美山錦五拾五 <隆>」を飲む【日本酒】

4月に引き続き2回目の湯河原温泉への”逃亡”である。

関連記事:湯河原温泉へ逃亡中

今回は二泊三日で休む気マンマンである。

日々の仕事の辛さを忘れるべくノンビリ・・・と思い描いていたが、今回は、最初からつまづいた。

大渋滞である。

圏央道から湘南、真鶴へと向かうルートがことごとく渋滞である。普通に行けば2時間かからないのに、今回に至っては5時間かかった。へとへとである。

まずはチェックインし、前回同様、リラックスモードである。場所見知りがない宿なので、その点は非常に良い。

しかし、先ほど荷物をチェックしたところ、

①ビニールサンダルで来てしまった(釣りがやりにくい)

②パソコンの充電ケーブルを家に忘れた

という細かいアクシデントに気づき、少々凹んでいる。

やはり出るときバタバタしていたからだろうか。

まあ、大したダメージはないのだが、細かいミスは意外とリラックスを妨げてしまうのだ。

日本酒4号瓶を注文して早速呑み始めている。

 

川西屋酒造店「純米吟醸 美山錦五拾五 <隆>」である。

辛口でうまい。

まずはこれで早めにへべれけになって、後は温泉でリラックスをするという予定である。

Share

【異世界】南武支線小田栄駅の鉄塔と電線がなかなかの過剰感

2016年に開業したばかりの無人駅、小田栄駅。浜川崎駅と川崎新町駅の中間に位置する。まわりは住宅街である。

台風5号が近づき、天気が下り坂の中、電車は20分待ちであった。

ふと、上を眺めると巨大な鉄塔が佇立している。

なかなかの存在感である。

給水塔は怖い(関連記事)が、構造体としての鉄塔はあまり恐怖心は呼び覚まされないようだ。しかし、線路も加えて電線が風景に加わると、なかなかの迫力。

ちょっと怖くなってきた。視界の中に電線が走り過ぎでしょうと。

Share