先日のニュースで、地質時代の一時期、ネアンデルタール人が生きていた「第四紀更新世」の中期に当たる時期が「チバ二アン=千葉時代」と命名されるニュースがあった。
参考記事(産経ニュース) 地球史に「千葉時代」誕生へ 日本初の地質年代名、国際審査でイタリア破る
この記事によれば、地質年代は、その基準となる地層が明確になっている土地の名前から選択される。今回は、イタリアと千葉の2地層が候補にあり、より年代の境界が明確な千葉が選択されたとのことである。
この地球磁場逆転地層は、養老渓谷の川沿いにある。
そもそも地球磁場逆転とは、地球の磁場が時代によって変化してきた現象を言う。具体的には、現在は(概ね)方位磁石は北を示す。しかし過去にはこれが南を指す時代があったと言うことである。
これを確認する方法として地層がある。地層はその年代を地層学的手段で明確にできる。そこで、そこに含まれている岩石などの磁気的な性質の分析を行う。
ある種の岩石は、溶岩が固まってできた際に、地球磁場の向きによって、磁石のNS極が揃えられる。その着磁された時の磁気の向きが、地層に含まれる岩石の磁気の向きとして保存されているので、これを調べることにより、その地層ができた当時の地球の持つ磁気の向きがわかることになる。
地層によって含まれる岩石が受けた地球磁気の方向が異なる、すなわち過去に地球磁場は逆転していた時期があったという説(地磁気逆転説)を世界で初めて1929年に提唱したのは、京都大学の松山基範であった。
参考:Wikipedia(地磁気逆転)
過去360万年の間に11回は逆転し、現在では、2つの逆磁極期があったことが判明している。589.4万年前から358万年前の逆転期は、「ギルバート」と名づけられ、258.1万年前から78万年前の逆転期は「松山」と名づけられている。なお、国立極地研究所らの研究によれば、より精密な年代決定を行った結果、最後の磁気逆転の時期は約77万年前と報告されている
引用終わり
この77万年前の最後の磁気逆転の証拠となった地層が、千葉県市原市にある「地球磁場逆転地層」と現在呼ばれている地層である。
この「地磁気逆転」は結構SFのアイディアで使われている。例えば名作の諸星大二郎「孔子暗黒伝」では
このように地球磁場の逆転が、恐竜などのその時代の支配的な種族の大量絶滅や人類の進化を促したというアイディアが語られる。
さて、実際に逆転地層までの道中を紹介したい。以下の情報は2017年12月時点の情報である。
車で行く場合には、「田淵会館」に駐車場がある。スペースは広めで20台くらい駐車できる。
そこからは坂道を歩きである。約15分くらいであろうか。行きは下りなのでまあまあであるが、帰りは延々と登りなのでそこそこしんどい道のりである。
このような看板が立っているのでわかりやすい。
ただし最終的な地層の場所は川沿いで、粘土質の滑りやすく、すぐ水に覆われる場所なので靴は滑りにくいもの(できれば長靴)が必要であろう。晴れていて、水も少なければ問題ないが。
田淵会館から出てすぐの道。
ひたすら下る。
ひたすら下る。
だんだんと傾斜がきつくなる。帰りが厳しい。
小さい橋が。
竹で作られた手すりがあり、養老川に降りる階段。
川が見えてきた。
この河原の左側が地層である。このように増水すると覆われてしまう。
これが地層。わかりにくいが、緑、黄色、オレンジのマークがついている。
緑は現在と同じ向きの地層
赤は磁場が逆転していた時の地層
黄色は磁場がフラフラしていた時の地層
となっている。
より近くで見ることのできる階段があったが、工事中のため立ち入り禁止になっている。
観光客急増により、まだ整備が必要な感じである。
地磁気逆転という科学的話題で、かつ日本人の重要な業績でもあり、ぜひ観光的にも盛り上がって欲しい。